近年、ストレスチェック制度の導入において「WEB上での実施」が主流となりつつあります。
人事・労務担当者の方にとっても、管理画面から一括で対象者を登録し、受検状況をリアルタイムで追跡できるWEB実施は魅力的に映るかもしれません。
しかし、実際の労働現場に目を向けてみると、必ずしもすべての事業場でWEB実施が適しているわけではないという現実に直面します。
ストレスチェックは紙でも法律上問題ない?
労働安全衛生法においてストレスチェックの実施方法(WEBか紙か)に関する特定の指定はありません。
したがって、WEB実施・紙実施のどちらを選択しても法的に何ら問題はありません。
法的に求められているのは実施の「媒体」ではなく、制度の要件を正しく満たしているかどうかです。
具体的には、以下の点が厳格に守られているかが重要となります。
- 医師、保健師等の「実施者」が適切に関与していること
- ストレスチェック結果が適切かつ厳重に管理されていること
- 受検者の同意なしに、個人結果が事業者に開示されない「秘密保持」が徹底されていること
紙だからNGになるケースとは?
「紙で実施したら違法になるのでは」と心配されるケースがありますが、紙という媒体そのものが問題になることはありません。
NGとなるのは、紙の運用において秘密保持やプライバシー保護が崩れてしまった場合です。
たとえば、受検した紙の問診票を折りたたんだだけの状態で回収箱に入れたり、人事担当者が回収時に記入内容を覗き見できる状態になっていたりするケースです。
これらは「個人のストレスチェック結果を事業者が把握してはならない」という法律の秘密保持規定に抵触する恐れがあります。
つまり、適切な回収フローと管理体制を整えていれば、紙での実施も法令上問題なく、安心して導入いただけます。
紙(マークシート)実施が向いている職場の特徴とは?
紙によるストレスチェックは、どのような組織・現場に適しているのでしょうか。
主に以下のような特徴を持つ職場では、WEB実施よりも紙実施の方が圧倒的にスムーズに進行します。
PCやスマートフォンを業務で使用しない職場
工場、建設現場、配送拠点、店舗、医療・介護施設など、デスクワーク以外の業務がメインの現場では、WEB受検のための端末環境を用意するだけでも大きな負担となります。
従業員間のITリテラシーに差がある職場
ログインIDやパスワードの入力、画面切り替えなど、普段デジタル機器に触れていない層が多い職場では、操作トラブルによる問い合わせが殺到しがちです。
セキュリティ規定によりWEB利用が制限されている職場
ネットワークセキュリティが極めて厳しく、外部のWEBサービスへの接続制限やメールアドレスの取得制限がある場合、紙実施の方がスムーズです。
短時間で一斉回収したい現場
朝礼や安全衛生教育、全体会議などの集まる機会を利用して、その場で記入・回収を完結させたいケースです。
紙実施のメリットとは?
紙によるストレスチェックには、下記のとおりWEB実施にはない現場ならではの大きな強みがあります。
操作説明やログインサポートが不要
「IDを忘れた」「ログイン画面が開かない」といったシステム上の問題が発生しないため、受検者・管理者ともにIT面のサポートに時間を割く必要がありません。
現場の運用だけで完結できる
ネット接続環境に左右されないため、地下の作業場や電波の届かない現場、移動先など、いつでもどこでも記入が可能です。
デジタル操作に抵抗がある層でも安心
鉛筆やボールペンでマークするだけの馴染みある形式のため、年齢やITスキルに関わらず、すべての従業員が戸惑うことなく受検できます。
紙実施のデメリット・注意点って?
一方で、紙実施をスムーズに進めるためには、特有のデメリットや注意点をあらかじめ把握しておく必要があります。
配布と回収の手間がかかる
拠点や部署ごとに紙を配送し、手渡しで配布・回収する物理的な労力が発生します。
記入漏れや記入ミスの発生リスク
WEBのように「未入力項目があると送信できない」といった自動チェック機能がないため、無回答や重複マークが発生する可能性があります。
個人情報・プライバシー管理のリスク
回収作業の過程で、第三者の目に触れたり、紛失したりするリスクを物理的に防ぐ設計が必要となります。
紙(マークシート)のコスト
紙(マークシート)で実施する場合、用紙の発注や印刷コストが発生するため、WEB受検よりも費用が高くなりやすくなります。
紙ストレスチェックを失敗させないためのポイント
紙実施に伴うデメリットやリスクを最小限に抑え、安全かつ効率的に運用するための重要なポイントを3つ解説します。
① マークシート方式を選ぶ
紙で実施する場合は、自由記述の手入力方式ではなく、必ず「マークシート方式」を採用しましょう。手入力や手集計は膨大な時間がかかるだけでなく、読み間違いや入力ミスといった人為的エラーが避けられません。専用読取装置などで高速・正確に処理できるマークシートを選ぶことで、集計作業の精度とスピードが飛躍的に向上します。
② 回収・保管ルールを明確にする
個人のプライバシー保護と秘密保持を徹底するため、回収と保管の厳格なフローを構築します。
- 受検者一人ひとりに「専用の個人返信用封筒」を配布し、受検者自身で厳封させる
- 社内に設置する場合は、鍵付きの専用回収箱を用意する
- 回収箱の鍵や返送用パックの取り扱いは、法令で定められた「実施事務従事者」のみに限定する
このような運用にすることで「誰がいつ回収し、どのように保管・送付するか」のルールを明確にし、受検者に周知することで、従業員も安心して回答できるようになります。
③ 集団分析まで含めて設計する
「紙で配布して、回答を集めて、個人のストレス度を出して終わり」にしてはいけません。ストレスチェック制度の本来の目的は、集計結果を部署ごとに分析(集団分析)し、職場環境の改善につなげることにあります。
紙実施であっても、マークシートのデータを、細かな部署別・属性別の集団分析レポートまでスムーズに出力できる体制をはじめから組み込んでおくことが不可欠です。
WEB実施との比較
紙実施とWEB実施の特性を理解し、自社の環境に合わせた最適な手法を選択するための比較一覧です。
| 項目 | 紙(マークシート) | WEB |
|---|---|---|
| 受検しやすさ | ◎(手元に届き、誰でも即座に記入可能) |
△(PC・スマホ未所持層やIT苦手層にはハードル高) |
| 管理工数 | △(配送・配布・回収の物理的な作業が発生) |
◎(進捗管理や未受検者催促が自動化できる) |
| セキュリティ | △(封かん回収や保管管理の物理的注意が必要) |
◎(アクセス権限設定や暗号化でデータ保護) |
| 集団分析 | ○(データ化処理を挟むことで問題なく出力可) |
◎(回収完了と同時にリアルタイム集計が可能) |
◎優れている○問題なし△注意が必要
ドクタートラストの紙ストレスチェックが選ばれる理由
株式会社ドクタートラストでは、WEB実施だけでなく、紙実施における手間の多さやセキュリティ不安を解消する充実したサポートを提供しています。多くの企業さまから選ばれている主な理由は以下の通りです。
紙とWEBのハイブリッド実施に対応
「本社はWEB受検、工場や店舗は紙受検」といった、部署や拠点ごとの柔軟な併用が可能です。
マークシート読み取りから集団分析まで一括対応
マークシート処理システムにより、回収後のデータ化、個人結果の作成、集団分析までスピーディにワンストップで対応しています。
集団分析レポートの無料提供
基本情報のみの集団分析レポートであれば追加費用なしで、職場改善に活用できます。
現場の負担を最小化する運用設計
個人用封筒のセット組みや対象者別の梱包など、人事・労務担当者様の物理的な手間の削減に徹底的にこだわっています。
まとめ
ストレスチェックは「WEBでやらなければならない」ということは決してありません。
紙(マークシート)による実施であっても、法令に則った適切な回収・管理フローを構築すれば、何ら問題なく安全に運用することができます。重要なのは、WEB受検に無理に合わせることではなく、「自社の従業員にとって最も受検しやすく、回答しやすい方法は何か」という現場視点で選択することです。
「自社では紙実施が適しているけれど、回収や集集計の手間が心配」という場合は、ぜひドクタートラストまでご相談ください。
よくある質問(Q&A)
Q1. ストレスチェックを紙(マークシート)で実施しても法律上問題ありませんか?
A1. 法的に全く問題ありません。労働安全衛生法ではWEBか紙かといった実施手法の指定はなく、「実施者(医師・保健師等)の適切なかかわり」「結果の厳重管理」「本人の同意なしに事業者に開示されない秘密保持」などの要件が守られていれば、紙での実施も法令に完全準拠します。
Q2. 紙でストレスチェックを行う際、違法(NG)となってしまうのはどんなケースですか?
A3. 回収フローにおいてプライバシーや秘密保持が保たれないケースです。たとえば、問診票を折りたたんだだけで回収箱に入れたり、回収担当者が記入内容を覗き見できる状態だったりすると、「個人結果を事業者が把握してはならない」という法令規定に抵触する恐れがあります。専用封筒で密封して回収するなどの運用徹底が必要です。
Q3. WEB受検よりも「紙(マークシート)受検」が向いている職場の特徴を教えてください。
A3. PCやスマートフォンを業務で使用しない現場(工場、建設現場、店舗、医療・介護施設等)や、従業員間のITリテラシーに差がある職場、セキュリティ規定で外部WEBサイトへの接続が制限されている職場、朝礼や会議などで短時間に一斉回収したい現場などに最適です。
Q4. 紙でストレスチェックを実施する主なメリットとデメリットは何ですか?
A4. メリットは、ログイン設定やシステム上のトラブル対応が不要で、デジタル操作に慣れていない方でも安心して受検できる点です。一方デメリットは、用紙の配布・回収の手間、マークミスや記入漏れのリスク、印刷・配送等のコストがかかる点が挙げられます。
Q5. 紙でのストレスチェック実施を成功させるための運用ポイントは何ですか?
A5. 自動読み取りが可能な「マークシート方式」を採用して集計負担を減らすこと、中身が見えない個別封筒を用いて回収・保管ルールを明確にしプライバシーを守ること、そして受検結果から職場環境改善につなげるための「集団分析」まで見据えて運用を設計することが重要です。

