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ストレスチェック外部委託業者の選び方【失敗しない7つのポイント】

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ストレスチェックの外部委託は、企業にとって“時間と労力を大きく削減できる”一方で、業者選びを誤ると法令違反や情報漏えいなどのリスクにもつながる重要な業務です。
特に初めて外部委託を検討する企業では、「どの業者を選べばよいのか」「委託できる範囲はどこまでか」など、判断に迷う場面も少なくありません。

この記事では、ストレスチェック外部委託で失敗しないための7つのポイントを中心に、外部委託の基本知識からメリット・デメリット、委託可能業務の範囲までをわかりやすく解説します。
これから委託先を選定するご担当者さまは、ぜひ参考にしてください。

ストレスチェックとは

厚生労働省の「令和5年労働安全衛生調査」によると、仕事で強い不安やストレスを感じている労働者は約8割にのぼります。
ストレスが蓄積すると、メンタルヘルス不調や休職、離職につながる恐れがあり、職場の生産性低下や労災リスクの増大にも直結します。
こうした状況を防ぐために導入されたのが「ストレスチェック制度」です。
従業員が質問票に回答して自らのストレス状態を把握し、職場全体のストレス状況を分析することで、健康保持と職場改善を目的とする制度です。

外部委託可能な業務・難しい業務

ストレスチェックの実施には、調査票作成・面接指導・集団分析など多くの工程があり、特に中小企業では負担が大きいのが現状です。
そこで注目されているのが「外部委託」です。
専門業者に依頼することで、制度に沿った適正な運用ができ、ミスや法的リスクを回避できるほか、従業員の安心感や回答率向上にもつながります。

しかし、外部委託といっても、すべての業務を任せられるわけではありません。
委託可能な業務と、企業が自ら行わなければならない業務を明確に区別することが大切です。

委託可能な業務

外部業者に任せられる代表的な業務は次のとおりです。

・実施者・実施事務従事者の代行
・ストレスチェックの実施(紙・Web)
・結果の集計・通知
・集団分析
・面接指導の実施や勧奨

これらの業務を委託することで、企業の負担を大幅に軽減できます。

委託が難しい業務

一方で、次のような業務は原則として外部委託できません。

・ストレスチェック担当者の選任
・衛生委員会での審議
・社内規程や就業上の措置の決定
・労基署への報告書提出

外部に任せられる部分と、企業が責任を持って対応すべき部分を明確に分けることが大切です。

外部委託のメリット・デメリット

外部委託には多くのメリットがありますが、同時に注意点も存在します。
両方を理解したうえで、自社に合った方法を検討しましょう。

外部委託のメリット

・企業の業務負担を軽減:実施・集計・報告を一括で任せられる
・匿名性の向上:従業員が安心して回答できる
・専門的な分析:分析はもちろん職場の課題が明確になる

外部委託のデメリット

・コストが発生する
・社内での進捗把握が難しくなる場合がある
・柔軟かつ迅速な対応が難しい可能性がある
・委託先選びを誤ると情報漏えいリスクが高まる

外部委託を活用する最大の利点は、業務負担の軽減と専門性の確保です。
また、専門業者による匿名性の高い運用は、従業員の回答率や信頼性を高める効果もあります。
一方で、委託にはコストが発生し、社内での進捗管理がしづらくなるケースもあります。
業者選びを誤れば情報漏えいや法的トラブルにつながるリスクもあるため注意が必要です。

外部委託業者を選ぶ7つのポイント

ここからは、ストレスチェック外部委託で失敗しないための7つの選定ポイントを紹介します。
それぞれの観点から比較検討することで、自社に最適なパートナーを選ぶことができます。

1. 実績・専門性

ストレスチェック制度に精通した医師や保健師など、専門職が在籍しているかを確認しましょう。
経験豊富な業者であれば、制度の最新動向や法改正にも対応しやすく、信頼性の高い運用が可能です。

2. セキュリティ体制

ストレスチェックは個人情報を扱うため、セキュリティ体制も重要な選定ポイントです。
ISMS認証やプライバシーマークの取得状況、データ保管の方法、アクセス制限体制などを必ず確認しましょう。

3. サポート体制

実施後のトラブルや従業員からの問い合わせに対応できるかも重要です。
問い合わせ窓口や緊急時の連絡経路、サポート時間帯が明確に定められている業者を選びましょう。

4. 料金体系の明確さ

費用の安さだけで選ぶのではなく、基本料金に何が含まれているのか、オプション料金が発生する項目はどこかなど、その内訳が透明な業者を選びましょう。

5. カスタマイズ性

業種や企業規模によって課題は異なります。
質問票の設計や集団分析の単位など、自社に合わせた柔軟な設計ができるかをチェックしましょう。

6. アフターフォロー

集団分析の結果をもとに、職場改善や健康経営施策までサポートできる業者を選ぶと、長期的な成果につながります。

7. 法的対応力:労働安全衛生法・個人情報保護法への対応

産業保健に係る法令を正しく理解し、適切に運用しているかは必須条件です。
法令違反やデータ管理の不備があると企業の信頼を損ねるため、法的根拠に基づいた運用方針を明示している業者を選びましょう。

ストレスチェック外部委託の進め方——導入から完了まで

外部委託を決めたら、次のような流れで進めます。

STEP1|社内での事前準備

衛生委員会で実施方針を審議・決定します。
対象者数の把握と、担当者の選任もこの段階で行います。

STEP2|委託先の選定・契約

複数の業者に見積を依頼し、7つのポイントをもとに比較検討します。
契約時は個人情報の取り扱いに関する条項を必ず確認してください。

STEP3|実施に向けた準備

委託先と連携しながら、従業員への案内文・スケジュールを決定します。回答方法(Web・紙)の選択もこの時点で確定します。

STEP4|ストレスチェックの実施

委託先が調査票の配布・回収・集計を行います。
企業側は受検率を把握し、未受検者へのフォローを行います。

STEP5|結果の通知・高ストレス者への対応

結果は委託先から従業員に直接通知されます。
高ストレス者への面接指導の勧奨は、委託先と役割分担を明確にしておきましょう。

STEP6|集団分析・職場環境改善

集団分析の結果をもとに、衛生委員会で課題を共有し、改善策を検討します。

STEP7|労基署への報告

報告書の作成・提出は企業側の責任です。
委託先がサポートしてくれる場合もありますが、最終的な提出義務は企業にあります。

まとめ

ストレスチェックの外部委託は「負担軽減」と「専門性確保」を両立できる有効な手段です。
しかし、業者選びを誤ると、法令違反や社員の不信感を招く恐れもあります。

大切なのは「価格」だけでなく、専門性・対応力・信頼性のバランスを見極めることです。
特に、ストレスチェック結果を活用した職場環境改善や健康経営の推進までサポートできる業者は、長期的なパートナーとして大きな価値を発揮します。

慎重な比較検討を行い、信頼できる外部委託先を選定することが成功のカギです。

よくある質問(Q&A)

Q. 外部委託すると費用はどれくらいかかりますか?

ストレスチェックの外部委託費用は、従業員1人あたりの単価で算出されることが一般的です。
紙での実施かオンラインか、面接指導の有無などによって変動します。追加費用やオプションの有無を明確に示してくれる業者を選ぶと安心です。

Q. 外部委託した場合、従業員の個人情報は安全ですか?

ISMS認証やプライバシーマークを取得し、厳格な情報管理体制を整えている外部委託先を選びましょう。
契約前に管理方法を確認することが重要です。

Q. 外部委託だけで法令対応は問題ありませんか?

外部委託できる業務は実施・集計・分析などに限定されます。
担当者の選任や衛生委員会での審議、労基署への報告などは企業側の責任で行う必要があります。

Q. 委託先はどうやって選べばよいですか?

実績や専門性、セキュリティ体制、サポート体制、料金体系の明確さ、カスタマイズ性、アフターフォロー、法的対応力の観点で比較しましょう。

Q. 小規模事業所でも外部委託は可能ですか?

50人未満の事業所でも外部委託は可能です。
人数規模に合わせて柔軟に対応してくれる業者を選ぶことで、負担を最小限に抑えながら制度を適切に運用できます。

Q. ストレスチェックを外部委託する場合、どのような流れで進めますか?

大まかには①社内での事前準備(衛生委員会での審議・担当者選任)、②委託先の選定・契約、③実施準備(従業員への案内・スケジュール確定)、④ストレスチェックの実施、⑤結果通知・高ストレス者対応、⑥集団分析・職場環境改善、⑦労基署への報告、という流れで進みます。
委託先が担う工程と企業側が対応すべき工程を事前に明確にしておくことが、スムーズな運用のカギです。

<参考>
厚生労働省「『令和5年労働安全衛生調査(実態調査)』個人調査 結果の概要」

ABOUT ME
【コンサルタント】 景山 晶子
【コメント】新卒で入社した会社のメンタル不調者が多かったことから、働き方や職場環境について興味を持つようになりました。ストレスチェックを通じて、一社でも多くの職場環境改善に繋がればと考えています。多くの人々が健やかに働くことができるよう、情報発信していきます。