2028年4月1日から、50名未満の事業所にもストレスチェックが義務化されることになり、導入の準備を進めている企業が増加しています。
ドクタートラストでは、外部相談窓口でストレスチェックを受検した後に高ストレスと判定された方からのご相談をお受けしており、さまざまな内容の相談が寄せられます。
今回は、前回の産業医面談申込編に続き、「産業医面談のイメージがつかない」という従業員の悩みを取り上げてみたいと思います。
面談は個室で行われますので、イメージがつかめず不安を感じる方も多いでしょう。
一方で、企業としては安全配慮義務違反や、休職者・退職者の増加といったリスクもありますので、高ストレス者をそのまま放置することは避けたいところです。
産業医面談における従業員が悩みやすい点について、少しでも理解が深まれば幸いです。
悩み①:産業医面談を受けると診断名を付けられてしまうのではないか
産業医と、いわゆる街のお医者さん(病院やクリニックの医師)を、同じ役割であると誤解している方も多いようです。
医師免許を保有しているという点では同じですが、産業医の場合、診断や治療、処方箋の発行などは行いません。そのため、産業医面談で診断が下されることはありません。
産業医面談では一般的に、最近の体調、睡眠、食欲、疲れの程度、仕事上のストレスや困っていることの確認などが行われます。
そのうえで、医学的な知識をもとに必要な助言や、本人の同意を得たうえで、会社側に勤務時間や業務内容、休養の必要性などに関する意見が共有されます。
悩み②:産業医は会社側の人間なのではないか
こちらはある意味では正解でもあり、ある意味では誤解でもあります。
産業医は会社から選任され、面談以外にも職場巡視や安全衛生委員会への出席、休職者の復職判定なども行うため「会社と全く無関係」ではありません。
一方で、産業医は会社の利益を追求することが目的ではなく、従業員の健康を守ることが目的です。
実際のところ、産業医の話し方やその場の雰囲気によっては、会社側の人間のように映ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、あくまで会社と従業員の間で一定の距離を置きながら、中立的な立場であることが産業医にも求められています。
悩み③:話した内容が全部会社に伝わってしまうのではないか
こちらも多くの方が不安に思っている悩みのようです。
まず、産業医には守秘義務が課せられており、面談で話した内容がそのまま会社に筒抜けになるわけではありません。
しかし、「高ストレス」と判定されたからには、その従業員には仕事やプライベートにおいて何らかのストレス要因があるはずです。
そのため、その要因が業務に関することであれば、産業医から就業上の適切な配慮を行うために会社側に情報を共有することがあります。
その場合も、話した内容がすべて伝わるわけではなく、「従業員の健康を守る」という視点から、本人の同意を得たうえで、必要な情報のみ共有されます。
産業医と連携する部署の方や、実際に産業医面談を受けたことがある方はイメージしやすい内容だったかもしれません。
一方で、従業員が持つこうした不安や悩みを知っておくことは、社内周知の内容や方法を考えたり、問い合わせを受けたりする際に役立ちます。
会社ができる工夫
従業員が不安に思っていることについて適切に情報を提供することで、「産業医面談を受けてみよう」と考える従業員も増える可能性がありますので、ストレスチェック実施の際の参考にしてください。
よくある質問(Q&A)
Q1. 産業医面談を受けると、病名を診断されるのですか?
いいえ、産業医は診断や治療、処方箋の発行は行いません。街のクリニックの医師とは役割が異なり、面談では体調や睡眠、食欲、仕事のストレスなどを確認し、医学的な知見をもとに助言を行う立場です。
Q2. 産業医は会社側の人間なのですか?
産業医は会社から選任され、職場巡視や安全衛生委員会への出席なども行うため、会社と無関係ではありません。しかし、目的は会社の利益ではなく従業員の健康を守ることであり、会社と従業員の間で中立的な立場をとることが求められています。
Q3. 面談で話した内容は、すべて会社に伝わってしまうのですか?
いいえ、産業医には守秘義務が課せられており、話した内容がそのまま会社に伝わることはありません。業務に関するストレス要因がある場合、就業上の配慮のために会社へ情報共有することはありますが、その際も本人の同意を得たうえで、必要な情報のみが共有されます。
Q4. 高ストレス者と判定されたら、必ず産業医面談を受けなければいけませんか?
必須ではありません。ストレスチェックの結果、高ストレスと判定された場合でも、面談を受けるかどうかは従業員本人の意思に委ねられています。企業側としては、「相談だけでもOK」「話したくないことは話さなくても大丈夫」といった一言を添えることで、従業員が面談へのハードルを感じにくくなるよう工夫することが推奨されています。
Q5. 産業医面談を申し出たことで、会社から不利益な扱いを受けることはありますか?
産業医面談を理由に、会社が解雇、減給、人事評価の引き下げなどの不利益な扱いをすることは法律で禁止されています。企業はこの点を従業員に周知することが求められます。
Q6. ストレスチェックの実施事務従事者は、人事に影響力を持っているのですか?
いいえ、実施事務従事者は人事権がない立場であり、守秘義務も課せられています。この点を従業員に周知することで、安心して制度を利用してもらいやすくなります。
Q7. 50名未満の事業所も、ストレスチェックが義務化されるのですか?
はい、2028年4月1日から、50名未満の事業所にもストレスチェックの実施が義務化されます。これに伴い、導入の準備を進める企業が増えています。

