コラム

ストレスチェック・受ける側のホンネ ―私が知らなかった“本当の意味”

第1話

ストレスチェックテストがストレス?

今年4月に入社したての新入りです。とはいえ、社会人経験はそれなりの “年季の入った新入り”です。ストレスチェックに関わる業務を任されることになり、3か月前に転職してきました。それまでは疾患の治療効果を評価する、ある分子の解析法を研究していました。

さて、ストレスチェックといえば、つい4か月ほど前、転職直前にやっつけ気味に提出したばかり。受検する側の私たちにとっては、マークシートを埋めるだけの面倒な作業でしかなく、職員の健康管理の一環、とはいうけれど、なんのためにやらされているのかさっぱりわからない。 「こんな簡単なマークシートで、本当に何かわかるの?」そんな疑問を抱いたまま、去年は受け忘れたけど特に問題はなかった気がしました。時間かかるしほーんとストレス、みんなで口々にボヤいたものです。ちなみに、医者も看護師もたくさんいる職場でした。みんな忙しいのです。本当に、大変なんです…

ストレスチェックとはなにものか…

入社してすぐ、「ストレスチェックQ&A」という冊子を渡され、月末に口頭試験を課されました。ストレスチェックを規定する法律と、それを実行する企業や機関の体制など、21章93項目に及ぶ、ごくごく基本的な知識を得ることから始まりました。

私たちは“なにも知らされていなかった”?

今思えば、私は何も知らなかったのです。だってストレスチェックの意義というものが受検する側には全く伝わっていなかったのですから。

正直に言って、私はこのテストをまったく軽んじていました。

そもそも、よくわからないモノサシで「ストレス」と決めつけられるなんて、プライドが許さない。ちょっと気になったのは、上司に関する質問です。とっても助けていただいているものの、自分の望むコミュニケーションが取れているかどうか?正直にこの番号を選んだら失礼かな?がっかりされないか?―こんなことが頭をかすめるのは、きっと私だけではないはずです。

このコラムを読んでいる皆さんは、こんな知識不足を笑うかもしれません。けれど、3か月前の私は知らなかった。ストレスチェックは無責任なストレス検出ツールではないこと、上司とのかかわりにたとえ厳しい点数をつけても、クビになることなどないこと。むしろ、全員が正直に取り組むことで、環境改善がより現実に近づくことを。

56万人の声が教えてくれたこと

さて、新入りの私は、2024年度分、1777社、56万人分の結果について、アナリストチームが解析してくれたデータを、ひたすら睨み続けました。すると気づいたことがあったのです。例えば業種によって独自の忙しさや仕事の量、ノルマや対人関係の困難があります。それは簡単に変えることはできません。でも、すべての業種で上司との連携信頼できる先輩や同僚の存在簡単な目標設定で、精神的負担が改善される事実が見えてきたのです。これこそ改善の余地です。

詳しくは、ストレスチェック研究所 アナリスト押切愛里さんの「ドクタートラスト2025年度 全業種分析レポート」をご覧ください。(共同通信prワイヤー・プレスリリース配信サービス)

変えられるところから変えていく。それを会社に気付かせる手掛かりとなるストレスチェック!ストレスチェックはストレスだなんてブツブツ言っていた数か月前の自分に教えてあげたい気持ちでいっぱいです。とりあえずは前の職場の皆さんにお伝えすることにいたします。

ストレスチェック、10年経ってどうなった?

このように無知だった私は、ストレスチェックを提供する側に立ち、改めて考えました。

2025年、この制度も11年目を迎え、受検結果を積極的に還元される会社や官公庁も増えています。さらに現在は努力義務である50人未満の事業所に対しても、2025年5月14日に公布された改正労働安全衛生法により、2028年5月までに義務化される見込みです。このように、今後ますます多くの労働者が受検することになるストレスチェックテスト。

けれども受検側にはまだ、かつての私のようにストレスチェックを受けてはいるけれど、正直に書けなかったり意味がないと考えていたりする人は少なくないはず。

ストレスチェックご担当者のみなさまへ

ストレスチェックを担当されている皆様へ。まずは、受検される方々に十分な情報を提供してください。上司や会社のことを気にせず安心して正直に受けられることを教えてあげてください。それが会社側からの環境改善に役立つことを、それが第一にご自分の健康のためであることを。それはご家族のためでもあり、会社の収益アップ、もしかしたら給料もアップ(!?)のためでもあることを教えてあげてください。

年齢、性別、勤務地、業種、事業形態、そのほか皆様のご希望に応じた最大20項目もの解析軸による集団分析が、会社の中の見えないストレス傾向を明らかにします。私たちストレスチェック研究所は、その傾向を丁寧に分析し、労働環境の改善と業務向上につながる最適なアドバイスをご提供します。 働くすべての人々が、現在よりも健康で幸せに過ごせるように。私たちはこれからも、そのお手伝いをしていきます。

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