2025年に成立した改正労働安全衛生法を受け、これまでストレスチェックの実施が努力義務だった50人未満の事業場も、2028年以降は義務付けられるようになります。
義務化が迫り、ストレスチェック実施に向けた準備が現実的なテーマになってきました。
とはいえ、初めて実施する企業ほど「どこにストレスチェックを委託すればいいのかわからない」「安ければいいのか、それともサポート重視なのか」「実施者や個人情報の扱いまで見ないと危ないのか」と迷いやすいものです。
特に50名以下の企業では、人事労務の専任担当者がいなかったり、産業医との連携が十分でなかったりするケースも少なくありません。
だからこそ、ストレスチェックの委託先選びは、単なる“業者比較”ではなく、今後の対応を無理なく続けられる運用体制づくりという視点で考えることが大切です。
本記事では、50名以下・初めてストレスチェックを実施する企業を想定し、委託先を選ぶ際に確認したいポイントを整理します。
あわせて、2028年の義務化を見据えて、今のうちにどこまで準備しておくべきかも解説します。
- まず押さえたい、50名以下企業を取り巻くストレスチェックの動き
- 50名以下・初めて実施の企業が委託先選びで迷いやすい理由
- ストレスチェックの実施委託先を選ぶ際のチェックポイント
- 初めて実施する企業ほど「委託先の伴走力」が重要な理由
- まとめ
- よくある質問(Q&A)
- Q1. 50人未満の事業場も、いつからストレスチェックが義務化されますか?
- Q2. まだ義務化前ですが、今から準備する必要はありますか?
- Q3. 委託先を選ぶとき、費用の安さだけで比較してもよいですか?
- Q4. ストレスチェックの「実施者」には誰でもなれますか?
- Q5. 50名以下の企業は、産業医がいなくても大丈夫ですか?
- Q6. 委託先を選ぶ際、個人情報の扱いについて何を確認すればよいですか?
- Q7. 高ストレス者が出た場合、委託先はどこまで対応してくれますか?
- Q8. ストレスチェックはWEB実施と紙実施、どちらを選べばよいですか?
- Q9. 担当者の業務負担を減らすには、何を確認すればよいですか?
- Q10. ストレスチェックを実施した後、結果はどう活用すればよいですか?
まず押さえたい、50名以下企業を取り巻くストレスチェックの動き
ストレスチェック制度は、2015年12月から常時50人以上の労働者を使用する事業場で年1回の実施が義務付けられてきました。
一方、50人未満の事業場はこれまで努力義務でしたが、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、2028年4月1日以降は義務付けられることとなりました。
厚生労働省では、2026年2月に、小規模事業場向けのストレスチェック実施マニュアルを公表しています。 こうした一連の動きは、50人未満の事業場でも制度運用を前提にした準備が必要になってきたことを示しているといえるでしょう。
また、厚生労働省の「こころの耳」でも、50人未満事業場向けの専用案内ページや実施支援情報が整備されています。つまり、制度上の対象拡大を見据えて、“小規模企業向けの実務”がすでに具体化され始めている状況です。
この段階で重要なのは、「義務化されたら考える」ではなく、今のうちに無理なく回せる委託先を選んでおくことです。
初回実施でつまずくと、翌年以降も担当者負担や従業員の不信感が残りやすいため、最初の設計がかなり重要になります。
50名以下・初めて実施の企業が委託先選びで迷いやすい理由
50名以下の企業がストレスチェックの実施を初めて検討する際、迷いやすいのには理由があります。
①社内に制度を理解している人が少ない
ストレスチェックは単なるアンケートではなく、法令に沿って実施体制を整え、個人情報を適切に扱い、高ストレス者への対応まで含めて運用する必要があります。
そのため、担当者が総務や労務を兼任している小規模企業では、「何を委託できて、何を自社で決める必要があるのか」が見えにくくなりがちです。
②「安さ」で比較してしまいやすい
初回導入では、どうしても費用が気になります。もちろんコストは大切ですが、ストレスチェックは実施して終わりではない制度です。
未受検者への案内、受検結果の返却、高ストレス者対応、集団分析の活用まで見据えると、単純な最安値比較ではかえって手間やリスクが増えることもあります。
③実施者や個人情報の扱いが見えにくい
ストレスチェックでは、結果の扱いに対する従業員の不安が受検率に直結します。
「誰が結果を見るのか」「会社にどこまで共有されるのか」「高ストレス者への案内はどう行うのか」といった点が曖昧だと、制度そのものへの不信感が生まれやすくなります。初回実施だからこそ、ここをきちんと説明できる委託先かどうかが大事です。
ストレスチェックの実施委託先を選ぶ際のチェックポイント
ここからは本題となります。
50名以下・初めて実施する企業が、委託先を選ぶ際に最低限見ておきたいポイントを整理します。
①実施者体制が明確か
ストレスチェックでは、実施者になれるのは医師、保健師など一定の有資格者に限られます。
そのため、委託先を選ぶ際は、「誰が実施者になるのか」「自社の産業医との連携はどうなるのか」を最初に確認したいところです。
ここが曖昧なまま進めると、制度上の役割分担が不明確になり、運用でつまずきやすくなります。
特に50名以下の企業では、産業医の選任義務がないことから、社内や現在のリソースだけで完結させるのが難しいことがあります。
だからこそ、実施者の確保まで含めて支援できるかは、委託先選びの重要項目です。
②個人情報保護の説明が具体的か
ストレスチェックは、従業員のメンタルヘルスに関するセンシティブな情報を扱います。
委託先の説明資料や提案書を見るときは、次の点を確認したいところです。
- 個人結果を会社が勝手に見られない運用になっているか
- 結果データの保管・管理方法が明確か
- 管理者画面や権限設定の考え方が整理されているか
- 問い合わせ時に、情報の取扱いについて明快に説明できるか
このあたりが曖昧な委託先は、従業員説明の段階でも不安を残しやすく、受検率にも影響しがちです。
受けてもらえる制度設計になっているかという観点で見たほうがいいでしょう。
③高ストレス者対応まで見据えた支援があるか
ストレスチェックは、実施そのものよりも、高ストレス者が出たあとにどう対応するかが実務上の山場です。
面接指導の案内、申出の受付、医師との連携など、初回実施の企業にとっては不安が大きい部分です。
そのため委託先は、単に「受検URLを配布して回収します」で終わるところより、以下のように実施後まで見た支援があるほうが安心です。
- 高ストレス者対応の流れを説明してくれる
- 面接指導に関する案内や運用整理を支援してくれる
- 実施後に担当者が何をすればよいかを明文化してくれる
④50名以下の運用に合った実施方法を提案できるか
50名以下の企業では、PC利用環境や働き方が企業ごとにかなり違います。
現場職が多い、紙のほうが運用しやすい、拠点が分かれているなど、事情はさまざまです。
そのため、委託先がWEB実施・紙実施(マークシート等)を含めて柔軟に提案できるかは大きなポイントです。
「標準プランしかありません」という委託先より、現場実態に合わせて方法を選べる委託先のほうが、初回導入の失敗は起きにくくなります。
⑤担当者の業務負担をどこまで減らせるか
小規模企業では、ストレスチェック担当者が専任ではないことが多いため、実施そのものよりも周辺業務の多さが負担になります。
たとえば、受検者リスト整備、案内配信、未受検者フォロー、問い合わせ対応、結果返却、社内説明資料の準備などです。
委託先選びでは、以下を確認しておくと、導入後のギャップが小さくなります。
- どこまで委託先が代行・支援してくれるのか
- 担当者がやるべきことが一覧化されているか
- 初回導入時の説明やフォロー体制があるか
“安いけれど担当者が全部回す前提”のサービスは、初回実施の小規模企業にはあまり向かない場合があります。
⑥実施後の活用まで提案できるか
義務化対応として始めるにしても、せっかく実施するなら「やりっぱなし」にはしたくないところです。
集団分析の見方や、職場環境改善へのつなげ方まで提案できる委託先であれば、ストレスチェックが単なる法対応ではなく、組織改善の材料になります。
初めて実施する企業ほど「委託先の伴走力」が重要な理由
50名以下で初めてストレスチェックを実施する企業にとって、いちばん怖いのは「制度上は実施したことになっているが、社内では不安や混乱が残る」状態です。
たとえば、以下のようなことは珍しくありません。
- 従業員に制度説明がうまくできない
- 個人情報の扱いに不安が出る
- 高ストレス者対応で担当者が止まる
- 実施はしたが、翌年も同じ苦労を繰り返す
だからこそ、初回実施の委託先選びでは、価格表だけではなく、「初めての企業を前提に、何をどこまで伴走してくれるか」を見るべきです。
小規模事業場向けに国の実施マニュアルが公表されているのも、まさにこの“初回導入の難しさ”を前提としているからです。
その意味で、以下の要素を持つ委託先は、比較検討の候補に入れやすいでしょう。
- 小規模事業場向けの情報発信がある
- 実施だけでなく活用まで提案している
- 担当者負担の軽減を打ち出している
- 問い合わせ導線が明確である
まとめ
50名以下・初めてストレスチェックを実施する企業が委託先を選ぶときは、「実施できるか」ではなく、「無理なく、安心して、継続的に運用できるか」で見ることが大切です。
特に確認したいのは、次の6点です。
- 実施者体制が明確か
- 個人情報保護の考え方が具体的か
- 高ストレス者対応まで見据えた支援があるか
- 自社に合った実施方法を提案できるか
- 担当者負担をどこまで減らせるか
- 実施後の活用まで伴走できるか
2028年の義務化を見据えると、50名以下の企業でも「そのうち対応する」では遅れやすくなります。
初回実施だからこそ、制度に詳しく、運用面まで相談しやすい委託先を早めに選んでおくことが、結果的に最も効率的です。
「何から確認すればいいかわからない」「自社に合う実施方法を相談したい」という企業は、まず小規模企業の実務に詳しい外部支援サービスに相談してみるのが現実的です。
ドクタートラストのように、制度理解から実施、活用まで一貫して情報提供しているサービスであれば、初回導入のハードルを下げやすいでしょう。
よくある質問(Q&A)
Q1. 50人未満の事業場も、いつからストレスチェックが義務化されますか?
2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、2028年4月1日から義務化されます。これまでは努力義務でしたが、対象がすべての事業場に拡大されます。
Q2. まだ義務化前ですが、今から準備する必要はありますか?
早めの準備が望まれます。初回実施でつまずくと、翌年以降も担当者の負担や従業員の不信感が残りやすいため、最初の設計が重要です。厚生労働省も2026年2月に小規模事業場向けの実施マニュアルを公表しており、対象拡大を見据えた実務がすでに具体化され始めています。
Q3. 委託先を選ぶとき、費用の安さだけで比較してもよいですか?
おすすめしません。ストレスチェックは実施して終わりではなく、未受検者への案内、結果の返却、高ストレス者対応、集団分析の活用まで含めた制度です。単純な最安値比較では、かえって手間やリスクが増えることがあります。
Q4. ストレスチェックの「実施者」には誰でもなれますか?
いいえ、実施者になれるのは医師、保健師など一定の有資格者に限られます。委託先を選ぶ際は、誰が実施者になるのか、自社の産業医との連携はどうなるのかを最初に確認することが重要です。
Q5. 50名以下の企業は、産業医がいなくても大丈夫ですか?
50名以下の企業には産業医の選任義務がないため、社内のリソースだけで実施体制を完結させるのが難しいケースがあります。実施者の確保まで含めて支援してくれる委託先を選ぶことが大切です。
Q6. 委託先を選ぶ際、個人情報の扱いについて何を確認すればよいですか?
以下の点を確認することが推奨されます。
- 個人結果を会社が勝手に見られない運用になっているか
- 結果データの保管・管理方法が明確か
- 管理者画面や権限設定の考え方が整理されているか
- 問い合わせ時に、情報の取扱いについて明快に説明できるか
Q7. 高ストレス者が出た場合、委託先はどこまで対応してくれますか?
委託先によって異なりますが、単に受検URLを配布して回収するだけでなく、高ストレス者対応の流れの説明、面接指導に関する案内や運用整理の支援、実施後に担当者が何をすればよいかの明文化まで対応してくれる委託先だと安心です。
Q8. ストレスチェックはWEB実施と紙実施、どちらを選べばよいですか?
企業の状況によって異なります。現場職が多い、拠点が分かれているなど、事情はさまざまなため、WEB実施・紙実施(マークシート等)の両方を柔軟に提案できる委託先を選ぶと、初回導入の失敗が起きにくくなります。
Q9. 担当者の業務負担を減らすには、何を確認すればよいですか?
以下を委託先に確認しておくと、導入後のギャップが小さくなります。
- どこまで委託先が代行・支援してくれるのか
- 担当者がやるべきことが一覧化されているか
- 初回導入時の説明やフォロー体制があるか
Q10. ストレスチェックを実施した後、結果はどう活用すればよいですか?
集団分析の見方や職場環境改善へのつなげ方まで提案してくれる委託先を選ぶと、ストレスチェックが単なる法対応で終わらず、組織改善の材料として活用できます。


