研究レポート

職場改善には上司のサポートが重要!究極のメンタル予防~ほかの項目との関係は?~

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2021年度、ドクタートラストのストレスチェックは940社、324,642人に受検いただきました。
ストレスチェック制度の目的「職場環境改善」のためには、上司の役割が非常に重要です。
本コラムではシリーズでストレスチェックの結果をもとに、上司の役割がいかに大切であるか、そして何を求められるかを全3回で解説していきます。

第1回では、上司からのサポート(=上司との会話の頻度)が高ストレス判定と低ストレス判定の分かれ道となっていることを解説しました。

■職場環境改善には上司のサポートが重要!究極のメンタル予防

第1回:上司からのサポートと高ストレス者の関係性

第2回となる今回は、上司からのサポート設問とほかの設問の関係性を解説していきます。
まずは第1回同様に、ストレスチェックで上司からのサポートを算出する設問と回答選択肢からみていきましょう。

「上司からのサポート」とは

設問にそれぞれ「どのくらい」という言葉があるため、この3つの設問に対しての回答選択肢は、「非常に/かなり/多少/全くない」の4択となります。
「どのくらい」という言葉と回答選択肢からわかるとおり、「上司からのサポート」は上司との会話の頻度がポイントになっています。この設問に対して最も良好な回答をした人達と最も不良な回答をした人達がその他の設問に対して、どのように回答をしているかを2021年度の約32万人の回答結果からみていきます。

「上司からのサポート」×「その他の設問」①(部下個人の要素)

「私は上司からふさわしい評価を受けている」(尊重報酬)

上司からのサポート
最も良好回答 最も不良回答
良好回答者 94.6% 5.4%
不良回答者 15.6% 84.4%

「一人ひとりの価値観を大事にしてくれる職場だ」(個人の尊重性)

上司からのサポート
最も良好回答 最も不良回答
良好回答者 81.3% 18.7%
不良回答者 9.1% 90.9%

「努力して仕事をすれば、ほめてもらえる」(ほめてもらえる職場)

上司からのサポート
最も良好回答 最も不良回答
良好回答者 94.4% 5.6%
不良回答者 10.5% 89.5%

上記のように、上司からのサポート(=上司との会話の頻度)の充実が、部下の承認欲求、自己肯定感が満たされるか否かにもつながっていきます。そのような環境に身を置くことで、安心感も生まれ、部下が同僚の様子を気にする余裕ができるようになるのです。

「上司からのサポート」×「その他の設問」②(組織の風土)

「あなたの個人的な問題を相談したら、どのくらいきいてくれますか?」(同僚からのサポート)

上司からのサポート
最も良好回答 最も不良回答
良好回答者 92.4% 7.6%
不良回答者 17.3% 82.7%

「あなたが困った時、どのくらい頼りになりますか?」(職場の同僚)

上司からのサポート
最も良好回答 最も不良回答
良好回答者 92.6% 7.4%
不良回答者 20.0% 80.0%

上記のように、同僚同士で相談しあうこと、助け合うことを習慣化させることが大事であり、それを構築していくのも上司からのサポート(=上司との会話の頻度)が重要であるとわかります。その習慣化により、活気が生まれ、イライラ感や不安感をうすめることにつながっていくのです。

上司からのサポートは、組織の信頼関係にもつながる

ドクタートラストのストレスチェックでは、組織内の信頼関係を可視化する「TRUSTY SCORE~職場環境指数~」を集団分析で提示しています。

TRUSTY SCOREでは、①尊重・尊敬、②問題解決・挽回、③助け合い・挑戦、④話しやすさ・自然体の4要素が満たされていると、信頼関係が強く、生産性が高くなるとしています。

TRUSTY SCOREは以下の設問のように、一つの要素につき、5つの設問で構成されています。
このうち、青色の設問が上司からのサポートを算出する設問です。

そして上記「上司からのサポート」×「その他の設問」①②で解説したとおり、TRUSTY SCOREの要素を算出する設問は、部下個人の要素、組織の風土にも影響を及ぼします。

「上司の要素⇒部下個人の要素⇒組織の風土」という流れで満たされる環境に身を置くことで、ストレスチェックの高ストレス判定に最も影響を及ぼす個人のストレス反応にも良好な状況がみられます。
そしてこのTRUSTY SCOREは過去に解説した通り、ストレスチェックの各指標にも関係があります。

さいごに

今回は、以下3点を解説しました。

① 上司からのサポートの設問は、その他の設問に対しても影響を及ぼす
② 上司からのサポートの設問に最も不良な回答者は、部下個人の要素、組織の風土の設問に対しても約8割が不良回答をしていた
③ 上司からのサポート、部下個人の要素、組織の風土の設問のほとんどが、組織の信頼関係を可視化するTRUSTY SCOREを算出する設問である
(TRUSTY SCOREの結果と各指標の結果の関係性は、過去コラムを参照)

次回は、上司に求められる役割を解説します。

DL
ABOUT ME
【シニアコンサルタント】杉山 敏之
【職位】株式会社ドクタートラスト執行役員/シニアコンサルタント 【コメント】長年、営業職として多くの顧客と接してきました。年々労働力人口は減り続け、優秀な人材を確保することが、企業の発展に直結する時代になります。ストレスチェックの結果からは企業の現状を可視化できます。ストレスチェックを通じ、「元気に・楽しく・働きやすい」職場環境構築への情報発信ができるように努めていきます。