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企業の人事担当者必見!職場のストレス対策とストレスチェック導入のポイント

職場のストレス問題と人事の役割

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職場でのストレスは、従業員の健康だけでなく、企業の生産性や経営にも深刻な影響を与えています。
厚生労働省の「令和5年労働安全衛生調査」では、82.7%の労働者が現在の仕事や職業生活で強いストレスを感じていることが明らかになりました。
これは、従業員の集中力やモチベーションを下げ、休職や離職の原因にもなり、企業にとって大きな損失です。
そのため、人事担当者には、従業員の心身の健康を守り、働きやすい職場環境を整える重要な役割が求められています。

職場のストレスの主な原因

従業員がストレスを感じる主な原因は多岐にわたりますが、「令和5年労働安全衛生調査」によると、特に「仕事の失敗、責任の発生等」(39.7%)、「仕事の量」(39.4%)、「対人関係」(29.6%)の3つが主要な要因となっています。
上司や同僚とのコミュニケーションが不足すると、職場で孤立感を感じ、大きなストレスにつながります。
最悪の場合、必要なときにさえSOSを出せず、1人で抱え込んだまま休職や退職に至るケースもあります。
また、長時間労働や休日出勤が常態化すると、心身の疲労が蓄積し、ストレスを増大させます。
仕事とプライベートのバランスが取れない状況は、生活の満足度を低下させ、働く意欲を削ぐ原因にもなります。
さらに、室温や騒音などの物理的環境のほか、風通しの悪い人間関係といった心理的な労働環境もストレスに直結します。
特に注目すべきは、「顧客、取引先等からのクレーム」によるストレスが26.6%と、前回調査から4.7ポイント上昇し、最大の伸びを示していることです。
ハラスメントが放置されている職場では、当事者でなくとも従業員は常に居心地の悪さ、不安感を抱えて働かなくてはなりません。

企業が取り組むべきストレス対策

企業は、ストレスの原因を取り除き、従業員が安心して働ける環境を整えるために、さまざまな対策を講じる必要があります。

(1)社内でできるストレス対策

まず、社内で実践できる対策としては、従業員の負担を軽減する業務改善が挙げられます。
業務の効率化や人員配置を見直すことで、一人ひとりの業務量の適正化を図りましょう。
また、合わせてコミュニケーションの強化も重要です。
1on1ミーティングやチームビルディング活動などを通して円滑な人間関係を築き、チームのサポート力を高めることで、一人当たりの業務量の軽減にもつながります。
さらに、メンタルヘルス研修の導入することで、従業員自身がストレスとうまく付き合うスキルを持つことも有効です。

(2)制度面でのサポート

制度面でのサポートとしては、まずストレスチェック制度の活用が不可欠です。
従業員自身のストレス状態を把握し、高ストレス者に対しては医師による面接指導を促すことで、メンタルヘルス不調の早期発見と対応が可能になります。
また、社内相談窓口やカウンセリングサービスを設置し、従業員が気軽に相談できる場を提供することも大切です。
これにより、悩みを一人で抱え込ませない仕組みを作ることができます。
加えて、フレックスタイム制度やリモートワークの導入など、フレキシブルな働き方を取り入れることで、従業員が自身でストレスをコントロールしやすくなります。

ストレスチェックの目的と導入のメリット

ストレスチェック制度は、2015年12月に労働安全衛生法により、常時50人以上の労働者を使用する事業場に義務付けられた制度です。
先にも述べたように、本人にストレス状態への気づきを促し、メンタルヘルス不調の早期発見と未然防止を目的としたものですが、ほかにも以下のようなメリットが挙げられます。

(1)従業員満足度の向上

会社が従業員の健康を気にかけているというメッセージとなり、エンゲイジメントが高まります。

(2)離職率の低下

早期の段階でメンタル不調の兆候を把握し、対策を講じることで、休職や離職を未然に防ぎます。
厚生労働省の調査によると、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業した労働者がいた事業所は10.4%、退職した労働者がいた事業所は6.4%となっています。

(3)生産性の向上

従業員が心身ともに健康になることで、集中力や創造性が高まり、業務効率が向上します。

企業がスムーズに導入するためのポイント

ストレスチェックを効果的に導入するためには、専門家への委託と、高ストレス者への配慮が不可欠です。
まず、ストレスチェック制度に精通した専門機関に実施を委託することで、法令を遵守しながらスムーズな実施と分析ができます。
また、検査結果は個人のプライバシーに関わるため、情報保護に細心の注意を払い、高ストレスと判定された従業員への配慮ある対応を徹底することが重要となります。

なお、2024年10月に厚生労働省が検討を開始した制度拡大により、2028年春以降は50人未満の事業所にもストレスチェック義務化が拡大される見込みです。
小規模事業所の皆様も早めの準備をおすすめします。
ドクタートラストでは50人未満の事業場に特化したストレスチェックサービス「ストレスチェック50」をご用意しています。お気軽にお問合せください。

ストレスチェック制度は、メンタルヘルス対策の第一歩として非常に有効です。
従業員の心の健康状態を「見える化」し、適切な対策を講じることで、より健康的な職場環境を実現することができます。
今すぐストレスチェックを導入して、職場環境を改善しましょう!
ドクタートラスではパンフレット類や資料をさまざまご用意しています。お気軽にダウンロードください。

<参考>
・ 厚生労働省「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)」
・ 独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)「国内トピックス:ビジネス・レーバー・トレンド 2024年10月号」

ABOUT ME
【コンサルタント】池田 三菜子
子育てをしながらのチームマネジメントの経験から、自身の失敗談も含めて、現場の声に寄り添った情報を発信してまいります。 「残業時間を減らす業務改革」と「個人の得意分野を生かすチーム作り」をモットーに、一社でも多く働きやすい職場づくりのお手伝いをさせていただきます。