現在は、従業員が50名以上の事業場を対象に、毎年の実施が義務づけられているストレスチェックですが、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法(令和7年法律第33号)により、50名未満の事業場についても実施が義務化されることになりました。
遅くとも2028年5月までには、すべての事業場においてストレスチェックの実施が求められます。

メンタルヘルス対策をするメリット
いまの時代、メンタルヘルス対策は、規模を問わず企業活動を行ううえで、必要不可欠なものとなります。
ではメンタルヘルス対策を実施することで、企業にとってどんなメリットが期待できるでしょうか?
① 生産性の向上
働きやすい環境づくりは、従業員のパフォーマンス向上につながります。
快適な作業環境が整うことで、同じ業務量でも効率よくこなせるようになり、成果の質やスピードが高まり、結果的に生産性の向上が期待できます。
② 人材の確保
メンタルヘルス対策に取り組むことで、休職や退職といった人材の離脱を防ぐことができます。
定着率が高まり、職場に安定感が生まれることで、企業イメージの向上や社会的評価の強化にもつながります。
結果として、採用活動における人材確保もしやすくなるでしょう。
③ 職場内の人間関係の向上
メンタルヘルス対策を進めることで、職場内の人間関係の改善も期待できます。良好な関係づくりには、円滑なコミュニケーションが欠かせません。働きやすい環境が整うことで、会話や相談が活発になり、ハラスメントの予防にもつながります。
メンタルヘルス対策の基本となる「4つのケア」
こちらでは、メンタルヘルス対策の基本となる4つのケアをご紹介いたします。

① セルフケア
従業員自身によるストレスや心の健康についての理解、ストレスへの予防や対応があげられます。(例:ストレスチェックの実施、疲労蓄積度チェックシートなど)

② ラインケア
管理監督者による職場環境などの改善や従業員への相談対応があげられます。(例:上司と部下の1on1ミーティングなど)

③ 事業場内産業保健スタッフ等によるケア
産業医、保健師などの産業保健スタッフによる従業員や管理監督者への支援があげられます。(例:産業医面談、保健師面談など)

④ 職場外資源によるケア
医療機関、相談機関などの専門家を利用することがあげられます。(例:医療機関の受診、EAPサービスなど)

企業で実際に行われたメンタルヘルス対策
上記でご紹介したラインケアの取り組みの中でも、実際によく行われている「1on1ミーティング」についてご紹介します。
1on1ミーティングとは、上司と部下が特別な用事がなくても定期的に行う1対1の対話です。
週1回、あるいは月1回など、継続して実施することがポイントであり、部下の育成やエンゲージメント向上を目的としています。
この対話を通じて、人間関係の改善や部下のスキルアップ、職場の一体感の醸成、人材定着など、さまざまな効果が期待できます。
一方で、よくある失敗例として「時間が確保できない」という課題が挙げられます。
プレイングマネージャーが多い中、上司自身も業務に追われ、複数の部下との定期的な対話時間を確保するのが難しいケースも少なくありません。また、いざ1対1の場を設けても、何を話せばよいのかわからないという声も多く聞かれます。

メンタルヘルス対策から考える組織づくり
このように企業の発展にはメンタルヘルス対策が必要不可欠な時代です。
メンタルヘルス対策を実施していくうえで、まずは自社の現状の把握が根底にあります。
自社の状況がどのような状況なのか?自社の強み弱みはどこにあるのか?部署間の負荷の掛かり方の違いはどこにあるのか?これらの現状を把握するために最も適しているのがストレスチェックとなります。ストレスチェックの80問の設問には、組織の現状を数値化するための多くの設問があります。


メンタルヘルス対策の第一歩として、ぜひストレスチェックの実施をご検討ください。

