組織や部署としてのストレスの状態、傾向や特徴を把握できる集団分析には、たくさんの情報がつまっています。
その集団分析結果のなかにある指標のひとつが「健康リスク」です。
今回は、「健康リスク」がどのように導き出されているのか、また職場環境改善への活かし方についてお伝えします。
集団分析について
ストレスチェックの実施後に集団分析を行うことで、組織や部署ごとのストレスの状態や傾向、特徴を把握できます。
分析結果はそのままにせず、正しく把握・共有して、職場環境改善に活用していくことが大切です。
組織における「健康リスク」とは
「健康リスク」とは組織の中で疾病休業が発生するリスクを示す指標です。
基準値を100として、数値が高いほどリスクが高くなっていきます。
「健康リスク」には3種類あるため、それぞれストレス判定図を用いて詳しく説明します。
仕事面の健康リスク
仕事面の健康リスクは、ストレスを促進させる状態を判定しており、「仕事の量的負担」と「仕事のコントロール」の数値から導き出されます。

横軸:仕事の量的負担
仕事の量の多さや時間内に仕事を処理しきれないことによる業務負担を表しており、ストレスチェックの設問から以下の項目が使用されています。
・ 非常にたくさんの仕事をしなければならない
・ 時間内に仕事が処理しきれない
・ 一生懸命働かなければならない
数値が高い(横軸が右にいく)ほど、ストレス度合いが高いことを示します。
縦軸:仕事のコントロール
仕事の内容や予定、手順などを自分で決められる程度を表しており、ストレスチェックの設問から以下の項目が使用されています。
・ 自分のペースで仕事ができる
・ 自分で仕事の順番・やり方を決めることができる
・ 職場の仕事の方針に自分の意見を反映できる
数値が高い(縦軸が上にいく)ほど、ストレス度合いが低いことを示します。
つまり、量-コントロール判定図では、「仕事の量的負担」が高く、「仕事のコントロール」が低いほど、リスクが高いことを意味します。
サポート面の健康リスク
サポート面の健康リスクは、ストレスの緩衝要因を判定しており、「上司の支援」と「同僚の支援」から導き出されます。

横軸:上司の支援
上司が部下に行う支援を表しており、ストレスチェックの設問から以下の項目が使用されています。
・ どのくらい気軽に話ができますか?(上司)
・ あなたが困った時、どのくらい頼りになりますか?(上司)
・ あなたの個人的な問題を相談したら、どのくらいきいてくれますか?(上司)
数値が高い(横軸が右にいく)ほど、上司との関係性が良好でストレス度合いが低いことを示します。
縦軸:同僚の支援
同僚同士での支援を表しており、ストレスチェックの設問から以下の項目が使用されています。
・ どのくらい気軽に話ができますか?(職場の同僚)
・ あなたが困った時、どのくらい頼りになりますか?(職場の同僚)
・ あなたの個人的な問題を相談したら、どのくらいきいてくれますか?(職場の同僚)
数値が高い(縦軸が上にいく)ほど、同僚との関係性が良好でストレス度合いが低いことを示します。
つまり、職場の支援判定図では、「上司の支援」と「同僚の支援」が少ないほどリスクが高いことを意味します。
総合健康リスク
総合健康リスクは、「仕事面の健康リスク」と「サポート面の健康リスク」を掛け合わせて算出された数値です。
総合健康リスクの基準値は100で、数値が高いほどリスクが上昇します。
2021年度にドクタートラストのストレスチェックサービスを利用した組織の平均値は97であり、基準値よりもやや良好な結果でした。
一般的には、総合健康リスクが150を超えると健康問題が顕在化していくとされています。
しかし、ドクタートラストのコンサルタントがお話を伺っていくと、実態としては120を超えた段階で健康問題が発生している傾向があり、シビアに総合健康リスクをチェックしていく必要があるでしょう。
「健康リスク」の活用方法
職場環境改善には「サポート面の健康リスク」を上昇させましょう。
総合健康リスクを下げて職場環境の改善を目指す場合、ストレスを促進させる状態を判定する「仕事面の健康リスク」を下げる、もしくはストレスの緩衝要因を判定する「サポート面の健康リスク」を上げるという2つの視点があります。
仕事面の健康リスクの値を下げようとしても、コストや業務内容、役職などの問題があり一筋縄ではいきません。
また、業務量が増える時期はどの企業にも存在するため、業務負担を減らしていく取り組みには限界があり、現実的な改善方法とは言いにくい面があります。
つまり、仕事の負担や裁量の度合いを考えるよりも、労働者が気軽に相談したり頼ったりできる環境を整えるほうが効果的な場合が多いのです。
日ごろから上司や同僚からのサポートを充実させ、サポート面の健康リスクを上昇させることは、組織や部署として業務負担を乗り越える強さにつながります。
健康リスクは有用な指標
本記事では、健康リスクがどのように導き出されているのか、また活用方法について解説しました。
健康リスクはストレスチェックの一部の設問(12問)を使って導き出された非常に有用な指標ですが、万能なものではありません。
ストレスチェックの結果は、健康リスクを含めたさまざまな指標と、実際に見聞きする情報を考慮し、総合的に考えていく必要があります。
Q&A(よくある質問)
Q1. ストレスチェックの集団分析における「健康リスク」とは何ですか?
A. 健康リスクとは、組織の中で疾病休業が発生するリスクを示す指標です。基準値を100として、数値が高いほどリスクが高くなります。健康リスクには「仕事面の健康リスク」「サポート面の健康リスク」「総合健康リスク」の3種類があります。
Q2. 仕事面の健康リスクは何から算出されますか?
A. 仕事面の健康リスクは、「仕事の量的負担」と「仕事のコントロール」の数値から導き出されます。仕事の量的負担が高く、仕事のコントロール(自分で仕事の順番ややり方を決められる程度)が低いほど、リスクが高くなります。Q3. サポート面の健康リスクは何から算出されますか?
A. サポート面の健康リスクは、「上司の支援」と「同僚の支援」から導き出されます。上司や同僚との関係性が良好でない、つまり支援が少ないほどリスクが高くなります。
Q4. 総合健康リスクはどのように算出されますか?
A. 総合健康リスクは、「仕事面の健康リスク」と「サポート面の健康リスク」を掛け合わせて算出された数値です。基準値は100で、数値が高いほどリスクが上昇します。一般的には150を超えると健康問題が顕在化していくとされていますが、実態としては120を超えた段階で健康問題が発生している傾向があります。
Q5. 健康リスクが高いとどのような問題が起こりますか?
A. 健康リスクが高いと、疾病休業が発生するリスクが上昇します。総合健康リスクが120を超えると健康問題が発生しやすく、150を超えると健康問題が顕在化していく傾向があります。
Q6. 健康リスクを改善するには何をすればよいですか?
A. 職場環境改善には「サポート面の健康リスク」を上昇させることが効果的です。仕事面の健康リスクを下げることは業務内容やコストの問題で困難な場合が多いため、上司や同僚からのサポートを充実させ、労働者が気軽に相談したり頼ったりできる環境を整えることが現実的な改善方法です。
Q7. なぜサポート面の健康リスクを改善することが重要なのですか?
A. 仕事の負担や裁量の度合いを変えることは、コストや業務内容、役職などの問題があり一筋縄ではいきません。一方、日ごろから上司や同僚からのサポートを充実させることは比較的実現しやすく、組織や部署として業務負担を乗り越える強さにつながるため、より効果的な改善方法といえます。
Q8. 健康リスクはストレスチェックのどの設問から算出されますか?
A. 健康リスクはストレスチェックの一部の設問(12問)を使って導き出されています。仕事の量的負担に関する3問、仕事のコントロールに関する3問、上司の支援に関する3問、同僚の支援に関する3問が使用されています。
Q9. 健康リスクの基準値100とは何を意味しますか?
A. 基準値100は、健康リスクを測る際の標準値です。100より高いとリスクが高く、100より低いとリスクが低いことを示します。2021年度にドクタートラストのストレスチェックサービスを利用した組織の平均値は97で、基準値よりもやや良好な結果でした。
Q10. 健康リスクだけで職場環境を判断してよいですか?
A. いいえ。健康リスクは非常に有用な指標ですが、万能なものではありません。ストレスチェックの結果は、健康リスクを含めたさまざまな指標と、実際に見聞きする情報を考慮し、総合的に考えていく必要があります。





