コミュニケーション

ピグマリオン効果とダブルバインドとは?職場のコミュニケーション改善に活かせる心理学を解説

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職場環境の良し悪しは、社員のモチベーションや業務効率に大きな影響を与えます。なかでも、上司や同僚とのコミュニケーションの質が、働きやすさやパフォーマンスに直結します。
本記事では、職場のコミュニケーション改善に役立つ2つの心理学的概念を解説します。

「ピグマリオン効果」は、期待をかけることで相手の成長を引き出す効果です。
一方「ダブルバインド」は、矛盾したメッセージが部下のストレスを高める状態を指します。
それぞれの意味と職場での活用・回避方法を具体的に紹介します。

ピグマリオン効果とは

ピグマリオン効果とは、「人は他者からの期待に応えるように成長する」という心理効果です。
たとえば、上司が部下に「君ならきっとできる」と期待をかけると、部下はその期待に応えようと努力し、実際に能力を発揮しやすくなります。
これは1968年にロバート・ローゼンタールらが発表した実験(ローゼンタール効果)に基づく知見です。
教師が生徒に高い期待を寄せると、その生徒の成績が向上することが実験で示されており、教育だけでなく職場においても広く応用されています。

ピグマリオン効果の活用法

職場でピグマリオン効果を活用するには、日常的にポジティブなフィードバックを行うことが大切です。
たとえば、「君の〇〇のようなアイデアはいつも助かっているよ」や「次のプロジェクトでも君の○○の力に期待している」といった声掛けによって、部下の自信を高めることができます。
また、個々の強みに注目して、それを引き出すような期待をかけることで、チーム全体のモチベーション向上が可能です。

ポイントとしては、「頑張れ」や「期待している」だけではなく、「〇〇のスキルがあるから、この業務に向いていると思う」といった具体的な言葉をかけることで、部下は自分の強みを意識しやすくなります。
また、部下の小さな成功についてフィードバックを積み重ねいくのも、皆さんの期待が部下に伝わりやすくなる方法として有効です。

ダブルバインドとは

ダブルバインドとは、矛盾するメッセージを同時に受け取ること、そしてその状況から逃れられない状態を指します。
ダブルバインドの状態が繰り返されると、メッセージの受け手はどのように行動すればよいのかわからなくなり、ストレスを感じてしまいます。
ダブルバインドが特に問題になるのは、上下関係など「その場を離れることができない状況」で発生する場合です。
部下は上司の矛盾したメッセージに従わざるをえず、どう行動しても批判される状態に追い込まれます。こうした状況が続くと、慢性的なストレスや無力感につながります。

ダブルバインドを回避するには

ポイントとしては、自分の発言や態度に矛盾が生じていないかを振り返ることが大切です。
たとえば、会議などで「自由にアイデアを出してみて」と部下に伝えたにもかかわらず、部下のアイデアを強く否定してしまったりはしていませんか?
また、言葉だけではなく、話を聞くときに不機嫌な表情や肘をついて話を聞いたりしているなど、非言語的な情報がダブルバインドの発生源となることがあります。

普段から安心したやりとりができるように、心理的安全性の確保を心掛けることも大切です。

まとめ

ここまで2つの心理学の概念についてお伝えしていきました。
どちらもシンプルではありますが、コミュニケーションの質を見直すときには大切なポイントです。
もちろん職場環境は複数の要因が絡み合っているため、本記事で紹介した方法だけを意識すれば職場環境全体が良くなるとは限りません。
ですが、小さな声掛けや態度の変化が、大きな成果を生む可能性もあります。
できることからでいいので、本記事がコミュニケーションを振り返るきっかけとなれば幸いです。

<参考>
・日本家族研究・家族療法学会編『家族療法テキストブック』(金剛出版、2013/7/1)
・田中正人著、斎藤勇監修『図解 心理学用語大全:人物と用語でたどる心の学問』(誠文堂新光社、2020/5/11)

Q&A(よくある質問)

Q1. ピグマリオン効果とは何ですか?

A. ピグマリオン効果とは、「人は他者からの期待に応えるように成長する」という心理効果です。1968年にロバート・ローゼンタールらが発表した実験(ローゼンタール効果)に基づく知見であり、上司が部下に期待をかけることで、部下がその期待に応えようと努力し、実際に能力を発揮しやすくなります。

Q2. 職場でピグマリオン効果を活用するにはどうすればよいですか?

A. 日常的にポジティブなフィードバックを行うことが有効です。「頑張れ」「期待している」だけでなく、「〇〇のスキルがあるから、この業務に向いていると思う」といった具体的な言葉をかけることで、部下は自分の強みを意識しやすくなります。また、部下の小さな成功に対してフィードバックを積み重ねることも、期待が伝わりやすくなる方法として有効です。

Q3. ダブルバインドとは何ですか?

A. ダブルバインドとは、矛盾するメッセージを同時に受け取り、かつその状況から逃れられない状態を指します。職場では上下関係の中で生じやすく、たとえば「自由にアイデアを出して」と言いながら部下のアイデアを強く否定するといった行動が該当します。ダブルバインドが特に問題になるのは、上下関係など「その場を離れることができない状況」で発生する場合で、どう行動しても批判される状態に追い込まれ、慢性的なストレスや無力感につながります。

Q4. ダブルバインドを回避するにはどうすればよいですか?

A. 自分の発言や態度に矛盾が生じていないかを振り返ることが重要です。言葉だけでなく、不機嫌な表情や肘をついて話を聞くといった非言語的な情報もダブルバインドの発生源になります。普段から安心したやりとりができるよう、心理的安全性の確保を心掛けることが大切です。

Q5. ピグマリオン効果とダブルバインドは、職場環境にどのような影響を与えますか?

A. ピグマリオン効果を意識した関わりは、部下の自信やモチベーションを高め、チーム全体のパフォーマンス向上につながります。一方、ダブルバインドが繰り返される職場では、部下はどう行動すればよいかわからなくなり、ストレスの増大や生産性の低下を引き起こします。どちらもシンプルな概念ですが、上司の日々のコミュニケーションの質が職場環境全体に大きく影響します。

ABOUT ME
【公認心理師】福田 築
【保有資格】公認心理師、臨床心理士、臨床発達心理士 【コメント】 家族療法やブリーフセラピー、発達支援を中心に学んできました。現在は心理師としてコミュニケーションやメンタルヘルスなどのセミナーを実施しています。悩みが生じたときに、「bestの解決」よりも、「betterの変化」を探すことで状況が好転することもあるので、セミナーやコラムを通して皆さんのちょっとした変化につながるよう、情報をお伝えしていきます。