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ストレスチェックを集計・分析する際に気を付けることは? ~事前に確認すべき3つのポイント~

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従業員数が50名以上の企業に義務付けられているストレスチェックその実施後の集計・分析には、ルールがあることはご存じでしょうか。
本記事では、今さら聞けない集計・分析のルールについてお伝えします。

なぜストレスチェックの分析が必要なの?

ストレスチェックは、労働者がストレスを自覚しセルフケアを促すだけでなく、組織が社内のストレスの要因を把握する目的もあり、職場環境の改善につなげることができます。
そのため、ストレスチェック結果の集計・分析は非常に重要です。
また、事業場や部署ごとに分析することで、労働時間や業務内容などの情報と合わせて、より具体的に労働者のストレス状況やストレス要因について把握できます。

【ポイント①】分析ができる集団の下限人数を確認しよう

ストレスチェック結果を分析をする際には、「下限人数」を決めなくてはなりません。
分析の対象となる集団(グループや部署)が少ない人数だと、個人の特定につながるおそれがあります。
そのため、厚生労働省の「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」では、原則として10人を下限の人数としています。

なお、この10人は在籍労働者数(対象者数)ではなく、実際の受験者数であることに注意しましょう。
例えば、10人以上の部署であっても、実際に受検した社員が9人であれば、その部署の集団・分析を行うことはできません。
そのため、ストレスチェック前にあらかじめ、部署の人数や分析したい集団が10人以上であるか、また、受験者数が10人を下回る可能性がないか確認しておきましょう。

【ポイント②】下限人数を10人未満にする場合には、衛生委員会等で協議しよう

では、分析した集団が10人未満となる可能性がある場合はどうしたらよいのでしょうか。
特に中小企業では、分析したい集団が10人を下回ってしまうこともあるでしょう。
実は、原則10人以上となる下限人数ですが、個人特定につながり得ない方法(ストレスチェックの質問57問のすべての合計点について集団の平均値だけを求めるなど)で、分析を行う場合には、10人未満に設定することが可能です。
ただし、10人未満に設定する場合には、あらかじめ衛生委員会などでの調査審議が必要ですのでご留意ください。

では、10人未満の人数はどのように決めればよいのでしょうか。
ストレスチェック制度実施マニュアルには以下の記載があります。

極端に少人数の集団を集計・分析の対象とすることは、個人特定につながるため不適切です。
出所元:厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル(令和3年2月改訂)」

つまり、具体的な人数については記載されていませんが、会社の実情も踏まえて、明らかに個人が特定される恐れがある少人数は避けて頂くのが望ましいでしょう。

調査審議の結果、下限人数を引き下げることが難しい場合には、少人数の部署同士をグループ化したり、同じ業務をしている集団を合算したりするなど、下限人数を10名以上にするといった対応をご検討ください。

【ポイント③】集団分析の共有範囲は?

集団分析結果は全社員に共有してもよいのでしょうか。
結論からいうと、無制限に共有することは不適当です。
集団分析の対象となった集団の責任者(管理職など)にとっては、ストレスチェックの結果がその人の評価などにつながり不利益が生じる恐れがあります。
また、結果について誤った捉え方をしてしまう場合もあるでしょう。
そのため、衛生委員会などで、どこまでに共有するのか、どういった情報を共有するのか、どのように結果を利用するのかなどをあらかじめ協議しておく必要があります(管理職には自部署の結果まで共有する、衛生委員会で会社全体結果について話し合うなど)。

ただ、社員にとっては、ストレスチェック後に、結果がどのように活用されているのか、会社として改善に向けて取り組んでもらえているのか、気になるところでもありますよね。
そのため、受検の御礼や結果を受けて対策を考えていくなど、会社として対応していることについて周知するのも、社員に安心して受験いただくひとつの方策でしょう。

まとめ

今回は、ストレスチェック後の集計・分析のルールについて、3つのポイントをお伝えしました。
ストレスチェックは、上記以外にも細かなルールが定められているため、実施に不安を感じられるご担当者さまもいるかと思います。
ドクタートラストでは経験豊富なスタッフが、実施前の準備から、実施、実施後のフォローをサポートさせていただきます。
お悩みの際はぜひ一度ご相談ください。

DL

<参考>
・厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル(令和3年2月改訂)」

ABOUT ME
【保健師】根本 裕美子
【保有資格】保健師/看護師/第一種衛生管理者/人間ドック健診情報管理指導士 【コメント】行政保健師として住民の方々の健康のサポートをしたのち、働く人々の健康づくりをサポートをしたいと考え、現在産業保健領域で活動しています。ストレスチェックの分析やセミナーなどを通して、働く皆さんが、体も心もいきいきと過ごせるよう、そして、楽しく安心して働ける職場を増やすことにつながるよう、情報をお伝えしていきます。