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ストレスチェックを集団分析する際に気を付けることは?~事前に確認すべき3つのポイント~

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ストレスチェックの集団分析では、「10名未満の部署でも分析できるのか」「結果はどこまで開示してよいのか」といった判断に迷うケースが多く見られます。
たとえば「8人部署はどうする?」「経営層への共有は問題ない?」など、実務担当者が悩みやすいポイントは少なくありません。
本記事では、集団分析を行う際に事前に確認すべき3つのポイントをわかりやすく解説します。

なぜストレスチェックの分析が必要なの?

ストレスチェックは、労働者がストレスを自覚しセルフケアを促すだけでなく、組織が社内のストレスの要因を把握する目的もあり、職場環境の改善につなげることができます。
そのため、ストレスチェック結果の集計・分析は非常に重要です。
また、事業場や部署ごとに集団分析することで、労働時間や業務内容などの情報と合わせて、より具体的に労働者のストレス状況やストレス要因について把握できます。

ストレスチェック集団分析とは?

ストレスチェックの集団分析とは、部署や職場単位で実施結果を集計・分析し、職場環境の傾向や課題を把握することです。
個人が特定されない形で行われ、職場全体のストレス状況やリスク要因(長時間労働、人間関係の問題など)を明らかにします。
分析結果は、職場環境改善のための対策立案や労働者の健康保持に役立てることが目的です。企業にとって、職場の健全性を高める重要な指標となります。

【ポイント①】10人未満でも集団分析できる?

特に中小企業では、分析したい集団が10人を下回ってしまうこともあるでしょう。
実は、原則10人以上となる下限人数ですが、個人特定につながり得ない方法(ストレスチェックの質問57問のすべての合計点について集団の平均値だけを求めるなど)で分析を行う場合には、10人未満に設定することが可能です。
ただし、10人未満に設定する場合には、あらかじめ衛生委員会などでの調査審議が必要ですのでご留意ください。

では、10人未満の人数はどのように決めればよいのでしょうか。
ストレスチェック制度実施マニュアルには以下の記載があります。

極端に少人数の集団を集計・分析の対象とすることは、個人特定につながるため不適切です。

出所元:厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル(令和3年2月改訂)」

つまり、具体的な人数については記載されていませんが、会社の実情も踏まえて、明らかに個人が特定されるおそれがある少人数は避けていただくのが望ましいでしょう。
調査審議の結果、下限人数を引き下げることが難しい場合には、少人数の部署同士をグループ化したり、同じ業務をしている集団を合算したりするなど、下限人数を10名以上にするといった対応をご検討ください。

【ポイント②】分析ができる集団の下限人数を確認しよう

ストレスチェック結果を分析する際には、「下限人数」を決めなくてはなりません。
分析の対象となる集団(グループや部署)が少ない人数だと、個人の特定につながるおそれがあります。
そのため、厚生労働省の「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」では、原則として10人を下限の人数としています。

なお、この10人は在籍労働者数(対象者数)ではなく、実際の受検者数であることに注意しましょう。
たとえば、10人以上の部署であっても、実際に受検した社員が9人であれば、その部署の集団分析を行うことはできません。
そのため、ストレスチェック前にあらかじめ、部署の人数や分析したい集団が10人以上であるか、また、受検者数が10人を下回る可能性がないか確認しておきましょう。

【ポイント③】集団分析の開示範囲は?

集団分析結果は全社員に開示してもよいのでしょうか。
結論からいうと、無制限に開示することは不適当です。 集団分析の対象となった集団の責任者(管理職など)にとっては、ストレスチェックの結果がその人の評価などにつながり不利益が生じるおそれがあります。
また、結果について誤った捉え方をしてしまう場合もあるでしょう。
そのため、衛生委員会などで、どこまでに共有するのか、どういった情報を開示するのか、どのように結果を利用するのかなどをあらかじめ協議しておく必要があります(管理職には自部署の結果まで共有する、衛生委員会で会社全体結果について話し合うなど)。

ただ、社員にとっては、ストレスチェック後に、結果がどのように活用されているのか、会社として改善に向けて取り組んでもらえているのか、気になるところでもありますよね。
そのため、受検の御礼や結果を受けて対策を考えていくなど、会社として対応していることについて周知するのも、社員に安心して受検いただくひとつの方策でしょう。

まとめ

今回は、ストレスチェック後の集団分析のルールについて、3つのポイントをお伝えしました。
ストレスチェックは、上記以外にも細かなルールが定められているため、実施に不安を感じられるご担当者さまもいるかと思います。
ドクタートラストでは経験豊富なスタッフが、実施前の準備から、実施、実施後のフォローをサポートさせていただきます。
お悩みの際はぜひ一度ご相談ください。

DL

Q&A(よくある質問)

Q. 8名の部署でも集団分析はできますか?

原則は10人以上が下限ですが、個人が特定されない方法(全57問の合計点の平均値のみを算出するなど)で分析する場合は、10人未満でも実施可能です。ただし、事前に衛生委員会での調査審議が必要です。また、極端に少人数の集団は個人特定につながるため不適切とされていますので、会社の実情に合わせて慎重に判断してください。

Q. 結果はどこまで社内に共有してよいですか?

無制限に開示することは不適当です。衛生委員会などで、開示範囲・共有方法・結果の利用方法をあらかじめ協議しておく必要があります。一般的には、管理職には自部署の結果まで共有し、会社全体の結果は衛生委員会で話し合う形が取られています。

Q. 経営層への報告は問題ありませんか?

経営層への報告自体は問題ありません。ただし、個人が特定される形での共有は避ける必要があります。集団分析の結果として職場全体の傾向や課題を報告する形であれば、職場環境改善の推進につながる有益な取り組みです。報告の範囲や方法については、衛生委員会であらかじめ協議のうえ決定しておくことをおすすめします。

Q. 集団分析は義務ですか?

集団分析の実施自体は努力義務とされており、法令上の強制ではありません。ただし、ストレスチェック制度の本来の目的である職場環境改善につなげるためには、集団分析の実施が重要です。

Q. 受検率が低い部署は集団分析できますか?

下限人数の基準は在籍者数ではなく実際の受検者数で判断します。そのため、受検率が低く実際の受検者数が10人を下回った場合は、原則として集団分析の対象外となります。受検率向上への取り組みも合わせて検討しましょう。

Q. 集団分析の結果を管理職の人事評価に使ってよいですか?

集団分析の結果を管理職の人事評価に直接使用することは適切ではありません。結果はあくまで職場環境改善のために活用するものであり、特定の管理職への不利益な取り扱いにつながる使い方は避ける必要があります。

Q. 外部委託先に集団分析を依頼することはできますか?

はい、外部機関に集団分析を委託することは可能です。委託する場合は、個人情報の取り扱いや情報管理について契約上明確にしておくことが重要です。

<参考>
・厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル(令和3年2月改訂)」

ABOUT ME
【保健師】根本 裕美子
【保有資格】保健師/看護師/第一種衛生管理者/人間ドック健診情報管理指導士 【コメント】行政保健師として住民の方々の健康のサポートをしたのち、働く人々の健康づくりをサポートをしたいと考え、現在産業保健領域で活動しています。ストレスチェックの分析やセミナーなどを通して、働く皆さんが、体も心もいきいきと過ごせるよう、そして、楽しく安心して働ける職場を増やすことにつながるよう、情報をお伝えしていきます。