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ストレスチェックの受検率を上げるには?

みなさんの企業のストレスチェック受検率はどのくらいでしょうか。
ストレスチェック実施後のフィードバックを行う際に、「受検率は何%くらいが目安なの?」「受検率ってどうやってあげればいいの?」「受検率が昨年よりも下がったけど対策は?」というご質問をいただくことがあります。
そこでこの記事では、ストレスチェック受検率の目安となるデータや受検率向上のための方策についてお伝えしていきます。

成功と呼べる受検率はどのくらい?平均値は?

さっそくですが、受検率の目安はどれくらいなのでしょうか。
厚生労働省の調査によると、ストレスチェックを実施した企業の受検率は図1のとおりです。

(図1)厚生労働省調査によるストレスチェックの受検率

受検率が80%を超える事業場は77.5%、90%以上を達成した企業も61.4%となっており、90%を超えることがひとつの目標となるでしょう。
ただし、職場の状況をより正確に把握するためには対象者全員の受検が求められるため、100%の受検率を目指していく姿勢が重要です。

なお、ドクタートラストで受検する940社の受検率の平均は、90.5%で、図2から分かるように、受検率が90%を超える企業の割合は66.1%に上ります。

(図2)ドクタートラストで受検した企業の受検率

一方で、受検率が80%を下回る企業も13.9%ほどあることが分かります。

義務化当初の2017年度、ドクタートラストでの受検率の平均は78%であり、ここ数年で大幅に受検率平均が上昇しました。
受検対象者のストレスチェックへの理解や定着が進んでいることがうかがえます。

ストレスチェックの受検率を上げる方法は?

では、ストレスチェックの受検率を上げるためにはどうしたらよいでしょうか。
受検率を上げる工夫についていくつかご紹介します。

従業員に受検のメリットを伝える。

まずは受検者にストレスチェック行う目的やメリットを伝えましょう。
ストレスチェックは、客観的に自分にストレスがどの程度あるのか、何が原因となっているのかの確認が可能です。
自分のストレス状況が分かれば、不調が起こる前にセルフケアを行ったり、なんらかの対策をとったりすることができるため、自身の健康につながります。

また、高ストレス者となった場合には、産業医などの面接指導を受けられるので、専門的な視点からストレスについてのアドバイスを受けることもできます。
こうしたメリットや仕組みについて、ストレスチェックの案内文などで伝えましょう。

ストレスチェックに対する不安を取り除く

また、受検者の心配事のなかで大きなものが「個人情報の取り扱い」です。
「結果が上司にばれたらどうしよう」「評価に繋がってしまったらどうしよう」と悩む方も少なからずいるでしょう。
そういった不安から受検を思いとどまってしまう方もいるため、「受検者の同意なしに会社に受検結果を見る権限はないこと」「集団分析結果は個人の情報が分からない状態で集計されること」など、受検者にとって不利益な取り扱いがされないことの十分な周知が必要です。

受験しやすい方法や受検期間を考える

ドクタートラストのストレスチェックでは、紙による受検とWEB受験、紙とWEBの併用受検が選択できます。
ドクタートラストの2021年度の受検結果では、WEB受験が71.5%を占めており、WEB受験を選択する企業が多いことが分かります。
WEB受験では、パソコン以外にもスマホやタブレットなどで受検可能なので、社外での業務が多い企業などの受検率アップにも役立つでしょう。

また、受検期間を見直してみるのも一つの方法です。
受検期間を1ヶ月や2ヶ月で設定すると「いつでも受けられる」という意識から受検率が低くなってしまう傾向があるため、受検期間を1週間や2週間などの短い期間で設定する企業もあります。
効果的な受検方法や受験期間を実施前に検討しましょう。

受検結果をもとに会社としての姿勢を見せる

受検後の対応も重要です。
ストレスチェックを実施するだけで、会社としてなんの対応もしていない企業もあるのではないでしょうか。
これでは、「なんのために受けさせられたのだろう……」「結局ストレスチェックをしても一緒か……」と社員の諦め感につながり、次年度の受検率の低下につながりかねません。
ストレスチェックの受検が終わったら、受検協力の御礼や受検率の周知、会社としてどのように結果を受け止め改善を検討しているのかの発信などを行い、会社としてストレスチェックに真摯に向き合っている姿勢を周知しましょう。
こうした姿勢が見られれば、受検者が「自分の回答が活かされている」と感じることができるため、受検率の向上にもつながるでしょう。

ストレスチェックの受検率を上げ、改善すべき課題を抽出

ストレスチェックの受検率が上がれば、それだけ社員の状況が反映された集団分析結果が確認できます。
集団分析結果をもとに、会社としての強み、そして改善すべき課題を把握し、適切な取り組みを行っていきましょう。

まとめ

今回は、ストレスチェックの受検率向上についてお伝えしました。
ドクタートラストでは、ストレスチェックが初めての企業でも安心して実施ができるように、専門部署の徹底サポートを行っています。
また、集団分析結果の活用や職場環境改善についてもコンサルティングサービスを提供しています。
ストレスチェックの実施や活用に関してお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

DL

<参考>
厚生労働省「ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて(令和4年3月)」

執筆者

【保健師】根本 裕美子
【保有資格】保健師/看護師/第一種衛生管理者/人間ドック健診情報管理指導士
【コメント】行政保健師として住民の方々の健康のサポートをしたのち、働く人々の健康づくりをサポートをしたいと考え、現在産業保健領域で活動しています。ストレスチェックの分析やセミナーなどを通して、働く皆さんが、体も心もいきいきと過ごせるよう、そして、楽しく安心して働ける職場を増やすことにつながるよう、情報をお伝えしていきます。

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