研究レポート

職場のいじめなどストレスチェックからわかるハラスメント被害者の4大特徴

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今回は2019年度にストレスチェックサービスを利用した受検者のうち、「職場でいじめにあっている(セクハラ、パワハラを含む)」と回答した人の結果を分析し、ハラスメントを受けている人の特徴を導き出しました。

ドクタートラストのストレスチェック研究所では、ストレスチェックサービスを利用した累計受検者100万人のデータを活用し、さまざまな分析を行っています。

 

目次
  1. 職場でいじめやハラスメントを受けていると感じている人のストレスチェック項目における特徴
  2. 調査結果【職場でいじめやハラスメントを受けていると感じている人の特徴】
  3. 参考データ【ストレス判定と職場でいじめにあっている人の割合】
  4. よくある質問(FAQ)
  5. 調査概要

職場でいじめやハラスメントを受けていると感じている人のストレスチェック項目における特徴

ストレスチェックで「職場でいじめにあっている(セクハラ、パワハラを含む)」と回答した人たちは、次の特徴がみられることがわかりました。

① 「自分の職場は、互いに理解し認め合っていない」と感じている
② 「内心腹立たしい」と感じ、イライラ感が強い傾向にある
③ 「上司は誠実な態度で対応してくれない」と感じている
④ 「職場の雰囲気は友好的ではない」と感じている

調査結果【職場でいじめやハラスメントを受けていると感じている人の特徴】

1. 始めに~調査対象の概要~

ストレスチェック制度は、従業員のメンタル不調の予防やその気付きを促すこと、また、ストレスが高い人の状況把握やケアを通して職場環境改善に取り組むことを目的として制定されました。2015年12月以降、従業員数50名以上の事業場で年1回の実施が義務づけられています。
ドクタートラストが提供するストレスチェックサービスは、設問数80項目と57項目の2種類を用意しており、ご利用いただく法人さまに、どちらを使用するか選んでいただいています。設問数80項目のストレスチェックは職場環境改善の参考とするべく作られたものですが、今回の調査では、2019年度にドクタートラストで80項目のストレスチェックを受検された66,457人の結果を分析いたしました。

2. 「職場でいじめにあっている(セクハラ、パワハラを含む)」と回答した人たちには、4つの大きな傾向がみられる

ストレスチェックは、各設問に対して「そうだ」、「まあそうだ」、「ちがう」、「ややちがう」の4択形式で回答します。
ストレスチェックの設問「職場でいじめにあっている(セクハラ、パワハラを含む)」で「そうだ」と回答した方と「ちがう」と回答した方について、各問の回答傾向を比較しました。
その結果、「職場でいじめにあっている(セクハラ、パワハラを含む)」で「そうだ」と回答した方について、すべての設問での回答結果が不良(「そうだ」、「まあそうだ」と「ややちがう」、「ちがう」のうち、よくない回答)であるとわかりました。
特に大きな差異がみられたのは次の4項目です。つまり、いじめなどのハラスメントを受けている人たちは、これらの点で特に困難を感じているということです。(図1)

(図1)

以下では上記4設問の詳細をみていきます。

3. いじめなどのハラスメントを受けていると感じている人の所属部署は、一体感に欠けている可能性が高い

ストレスチェックの設問「私たちの職場では、お互いに理解し認めあっている」は、職場の一体感を確認するために設けられています。
この項目において不良回答が多いことから、いじめやハラスメントを受けていると感じている人が所属する部署では、話を最後まで聞く姿勢に欠けていたり、互いの立場や頑張りなどを認め合うことが稀であったりする様子がうかがえます。
相互理解が不足することで、従業員は一体感を得にくいと考えられます。(図2)

(図2)

4. いじめなどのハラスメントを受けていると感じている人は、怒りっぽい可能性が高い

ゆううつや不安といったストレス状況を確認する設問のなかで「内心腹立たしい」に対する回答が最も不良であることがわかりました。
このことから、いじめやハラスメントを受けていると感じている人は、気分が落ち込んだり不安になったりする以上に、外からは見えにくい怒りを内に秘めていると考えられます。(図3)

(図3)

5. いじめなどのハラスメントを受けていると感じる人は、差別的な対応に敏感である可能性が高い

いじめやハラスメントを受けていると感じている人は設問「上司は誠実な態度で対応してくれない」の回答結果が不良であったことから、上司の態度が公正でないと考えているとわかります。
つまり、上司の自分への対応と周囲のそれとを比較し、温度差を感じているのでしょう。些細な対応の差にも気づき、理不尽な想いを抱えている様子がうかがえます。(図4)

(図4)

6. いじめなどのハラスメントを受けていると感じている人の所属部署は、親しみの持てない雰囲気である可能性が高い

また、いじめやハラスメントを受けていると感じている人は設問「職場の雰囲気が友好的ではない」の回答結果が不良であったことから、職場の雰囲気に疑問を持っているとわかります。
従業員同士の意見交換が消極的であるなどして、親しみを持ちにくい雰囲気であると考えられます。(図5)

(図5)

7. ハラスメント問題は、部署に問題があるのか? 本人の問題なのか?

本調査の結果から、ハラスメント問題に取り組む際には次の視点が重要であることがわかりました。

① ハラスメントは職場環境を起因として発生している可能性が考えられます。
② 一方で、ハラスメント被害者本人も常に怒りを秘めていることから、冷静な判断に欠ける可能性があることも見逃せません。
③ ハラスメントの行為者、被害者ともに互いの非を追求しあう関係にあるため、この問題は客観性を持つことが望ましく、そのためにも相談窓口や社内規定を整備し、組織として対応を進める姿勢が欠かせません。

参考データ【ストレス判定と職場でいじめにあっている人の割合】

ドクタートラストではストレス判定をA~Eの5段階評価で行っており、それぞれの判定の中で「職場でいじめにあっている(セクハラ、パワハラを含む)」人がどのくらいの割合で分布しているのかを本調査と合わせて算出しました。
E判定は高ストレス該当区分です。
この結果から、いじめやハラスメントを受けていると感じる人は高ストレス群に多く分布していることもわかります。(図6)

(図6)

よくある質問(FAQ)

Q1. ハラスメント被害者の4大特徴とは何ですか?

A. ストレスチェックの分析から、職場でいじめやハラスメントを受けている人には4つの特徴があることがわかりました。①「職場で互いに理解し認め合っていない」と感じている、②「内心腹立たしい」と感じイライラ感が強い、③「上司は誠実な態度で対応してくれない」と感じている、④「職場の雰囲気が友好的ではない」と感じている、という傾向が見られます。

Q2. この調査はどのようなデータに基づいていますか?

A. 2019年度にドクタートラストのストレスチェックサービスを利用した66,457人の受検者を対象に分析しました。設問数80項目のストレスチェック結果を用い、「職場でいじめにあっている(セクハラ、パワハラを含む)」と回答した人と、そうでない人の回答傾向を比較して特徴を導き出しています。

Q3. ハラスメント被害者の職場環境にはどんな特徴がありますか?

A. ハラスメント被害者が所属する職場には、一体感の欠如と友好的でない雰囲気という2つの環境的特徴があります。話を最後まで聞く姿勢に欠け、互いの立場や頑張りを認め合うことが稀で、従業員同士の意見交換が消極的な傾向が見られます。相互理解の不足により従業員は一体感を得にくい状態にあります。

Q4. ハラスメント被害者本人の心理状態にはどんな特徴がありますか?

A. ハラスメント被害者は、ゆううつや不安よりも「内心腹立たしい」という怒りの感情が強い傾向があります。外からは見えにくい怒りを内に秘めており、上司の対応が公正でないと考え、些細な対応の差にも敏感で理不尽な想いを抱えている様子が確認されています。

Q5. ハラスメント被害者は上司の対応をどう感じていますか?

A. ハラスメント被害者は「上司は誠実な態度で対応してくれない」と感じている傾向が強いことがわかりました。上司の自分への対応と周囲への対応を比較し、温度差を感じています。些細な対応の差にも気づき、差別的な扱いを受けていると敏感に反応している状態です。

Q6. ストレスチェックで高ストレス者とハラスメント被害の関係は?

A. ドクタートラストのストレス判定(A~Eの5段階評価)において、「職場でいじめにあっている」と回答した人は高ストレス該当区分であるE判定に多く分布しています。つまり、いじめやハラスメントを受けていると感じる人は高ストレス群に集中している傾向があります。

Q7. ハラスメント問題に企業はどう対応すべきですか?

A. ハラスメント問題には客観性を持って対応することが重要です。具体的には、相談窓口の整備、社内規定の明確化、組織としての対応体制の構築が必要です。行為者と被害者の双方の主張を公平に聞き、第三者的な立場から問題解決を図る姿勢が欠かせません。

Q8. 職場の一体感の欠如はどう確認できますか

A. ストレスチェックの設問「私たちの職場では、お互いに理解し認めあっている」の回答結果で確認できます。この項目で不良回答が多い職場では、話を最後まで聞く姿勢に欠けていたり、互いの立場や頑張りを認め合うことが少ない傾向があり、従業員は一体感を得にくい状態にあります。

Q9. ストレスチェックはハラスメント対策に活用できますか?

A. はい、ストレスチェックはハラスメント対策に非常に有効です。「職場でいじめにあっている」という設問や、職場の一体感、上司の対応、職場の雰囲気に関する設問の結果を分析することで、ハラスメントリスクの高い部署や個人を早期に発見し、予防的な対策を講じることができます。

Q10. なぜハラスメント被害者はイライラ感が強いのですか?

A. ストレスチェックの分析では、ハラスメント被害者は気分が落ち込んだり不安になったりする以上に、「内心腹立たしい」という怒りの感情が強いことがわかりました。これは、上司の不誠実な対応や職場の不公平な扱いに対する理不尽な想いが蓄積し、外からは見えにくい怒りとして内に秘められているためと考えられます。

Q11. 職場の雰囲気の友好性はなぜ重要ですか?

A. 職場の雰囲気が友好的でないと、従業員同士の意見交換が消極的になり、親しみを持ちにくい環境になります。ハラスメント被害者の多くがこの項目で不良回答をしており、友好的でない職場環境がハラスメントの温床となる可能性があるため、職場の雰囲気改善は重要なハラスメント予防策です。

調査概要

調査対象:ドクタートラスト・ストレスチェック実施サービス 2019年度受検者の一部
対象受検者数:66,457人

【全80項目一覧】
1.非常にたくさんの仕事をしなければならない、2.時間内に仕事が処理しきれない、3.一生懸命働かなければならない、4.かなり注意を集中する必要がある、5.高度の知識や技術が必要なむずかしい仕事だ、6.勤務時間中はいつも仕事のことを考えていなければならない、7.からだを大変よく使う仕事だ、8.自分のペースで仕事ができる、9.自分で仕事の順番・やり方を決めることができる、10.職場の仕事の方針に自分の意見を反映できる、11.自分の技術や知識を仕事で使うことが少ない、12.私の部署内で意見のくい違いがある、13.私の部署と他の部署とはうまが合わない、14.私の職場の雰囲気は友好的である、15.私の職場の作業環境(騒音、照明、温度、喚起など)はよくない、16.仕事の内容は自分にあっている、17.働きがいのある仕事だ、18.活気がわいてくる、19.元気がいっぱいだ、20.生き生きする、21.怒りを感じる、22.内心腹立たしい、23.イライラしている、24.ひどく疲れた、25.へとへとだ、26.だるい、27.気がはりつめている、28.不安だ、29.落着かない、30.ゆううつだ、31.何をするのも面倒だ、32.物事に集中できない、33.気分が晴れない、34.仕事が手につかない、35.悲しいと感じる、36.めまいがする、37.体のふしぶしが痛む、38.頭が重かったり頭痛がする、39.首筋や方がこる、40.腰が痛い、41.目が疲れる、42.動悸や息切れがする、43.胃腸の具合が悪い、44.食欲がない、45.便秘や下痢をする、46.よく眠れない、47.どのくらい気軽に話ができますか?(上司)、48.どのくらい気軽に話ができますか?(職場の同僚)、49.どのくらい気軽に話ができますか?(配偶者、家族、友人等)、50.あなたが困った時どのくらい頼りになりますか?(上司)、51.あなたが困った時どのくらい頼りになりますか?(職場の同僚)、52.あなたが困った時どのくらい頼りになりますか?(配偶者、家族、友人等)、53.あなたの個人的な問題を相談したらどのくらいきいてくれますか?(上司)、54.あなたの個人的な問題を相談したらどのくらいきいてくれますか?(職場の同僚)、55.あなたの個人的な問題を相談したらどのくらいきいてくれますか?(配偶者、家族、友人等)、56.仕事に満足だ、57.家庭生活に満足だ、58.感情面で負担になる仕事だ、59.複数の人からお互いに矛盾したことを要求される、60.自分の職務や責任が何であるか分かっている、61.仕事で自分の長所をのばす機会がある、62.自分の仕事に見合う給料やボーナスをもらっている、63.私は上司からふさわしい評価を受けている、64.職を失う恐れがある、65.上司は部下が能力を伸ばす機会を持てるように取り計らってくれる、66.上司は誠実な態度で対応してくれる、67.努力して仕事をすれば、ほめてもらえる、68.失敗しても挽回するチャンスがある職場だ、69.経営層からの情報は信頼できる、70.職場や仕事で変化があるときには、従業員の意見が聞かれている、71.一人ひとりの価値観を大事にしてくれる職場だ、72.人事評価の結果について十分な説明がなされている、73.職場では(正規、非正規、アルバイトなど)色々な立場の人が職場の一員として尊重されている、74.意欲を引き出したりキャリアに役立つ教育が行われている、75.仕事のことを考えているため自分の生活を充実させられない、76.仕事でエネルギーをもらうことで自分の生活がさらに充実している、77.職場で自分がいじめにあっている(セクハラ、パワハラを含む)、78.私たちの職場ではお互いに理解し認め合っている、79.仕事をしていると活力がみなぎるように感じる、80.自分の仕事に誇りを感じる

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