テスト

【最新版】企業のメンタルヘルスを「攻め」で強化!ポジティブ心理学に基づくウェルビーイング戦略

お問合わせはこちらから

「最近、職場に活気がない」
「メンタル不調による休職者が出るたびに、場当たり的な対応に追われている」

もしあなたが経営者や人事担当者としてこのような悩みを感じているなら、それは組織が「次のステージ」へ進むべき重要なサインかもしれません。
これまでの日本企業におけるメンタルヘルス対策は、いわば「守り」が中心でした。
法令遵守(コンプライアンス)やリスク管理の観点から、不調者を早期に発見し、休職・復職をいかに管理するかという「医療モデル」に基づいたアプローチです。
しかし、不調者をゼロに近づけるだけでは、組織の生産性向上や持続的な成長には限界があることが明らかになってきました。
今、求められているのは、従業員の「心の健康」を経営戦略のエンジンへと昇華させる「攻めのポジティブメンタルヘルス」です。
本コラムでは、産業保健・組織開発・キャリアなどの知見も交えながら、ポジティブ心理学に基づくウェルビーイング戦略を解説します。

目次
  1. なぜ今、「守り」から「攻め」への転換が必要なのか
  2. ポジティブメンタルヘルスを促進する5つの核となる戦略
  3. ポジティブメンタルヘルスを組織に根付かせるための4ステップ
  4. 実践企業の事例:成功の秘訣は?
  5. ポジティブメンタルヘルスに関するQ&A
  6. まとめ:企業の未来をつくる「攻め」のメンタル戦略
  7. よくある質問(Q&A)

なぜ今、「守り」から「攻め」への転換が必要なのか

かつてメンタルヘルスは「福利厚生」や「コスト」の文脈で語られてきました。
しかし、環境変化が激しく先行きが不透明なVUCA時代において、その常識は180度変わりつつあります。

※物事が激しく変化し、複雑かつ曖昧な様子が続いて将来の予測が難しい状態を指す言葉。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つのキーワードの頭文字で構成されている。

「病気ではない」=「最高のパフォーマンス」ではない

世界保健機関(WHO)は、健康を「単に病気でない状態ではなく、肉体的、精神的、社会的に満たされた状態(ウェルビーイング)」と定義しています。
従来の対策が「マイナスをゼロに戻す」ことだったのに対し、現代の企業が競争力を維持するには、ゼロからプラスの状態、すなわち「ワーク・エンゲイジメント(仕事への活力・熱意・没頭」」を高めることが不可欠です。

データが示すウェルビーイングの「投資対効果」

米ギャラップ社の調査によれば、従業員エンゲイジメントが高い企業は、そうでない企業に比べて利益率が21%高いという結果が出ています。
また、ポジティブな感情を持つ従業員は、そうでない従業員よりも生産性が31%高く、創造性は3倍になるという研究データも存在します。
さらに、心身の不調による「プレゼンティーズム(出勤しているがパフォーマンスが低下している状態)」による損失は、欠勤(アブセンティーズム)による損失の数倍に達するという指摘もあります。
つまり、メンタルヘルスへの投資はコストではなく、将来の利益を約束する「戦略的投資」なのです。

ポジティブメンタルヘルスを促進する5つの核となる戦略

具体的にどのように「攻め」の姿勢を組織に組み込むべきか。
ポジティブ心理学や組織行動論に基づいた5つの柱を紹介します。

心理的安全性:すべてのベースとなる「地盤」

心理的安全性とは、「対人関係のリスクを恐れずに自分の意見やミスをさらけ出せる状態」を指します。これが確立されることで、従業員の挑戦行動が増え、イノベーションが生まれやすい土壌が整います。

• 具体的施策: リーダーによる「弱さの自己開示(自らの失敗を共有する)」、反対意見を歓迎するフィードバック文化の醸成、会議での「チェックイン」による状態共有。

エンゲイジメント:仕事に「やりがい」を宿らせる

エンゲイジメントとは、単なる満足度を超え、仕事に熱意を持ち、組織に貢献したいと感じる「関与感」を指します。

• 具体的施策: 業務の裁量権を拡大する、個人の強みと組織のパーパス(存在意義)を接続する「ジョブ・クラフティング」の支援、定例の1on1ミーティングを通じた成長の承認。

レジリエンス:しなやかな「復元力」

VUCA環境では「ストレスをゼロにする」ことは不可能です。
大切なのは、逆境に直面したときに、うまく対処しながら回復し、成長する力(レジリエンス)を鍛えることです。

• 具体的施策: ネガティブな出来事の意味づけを柔軟に捉え直す「認知再構成」トレーニング、失敗を「学習の機会」として賞賛する文化の醸成。

マインドフルネス:脳の「メンテナンス」

「今、この瞬間の経験に評価を加えずに注意を向ける」マインドフルネスは、科学的に根拠のある脳のトレーニングです。集中力向上、ストレス反応の低減、感情コントロールに高い効果があります。

• 具体的施策: 朝会や会議前の1〜3分の短い呼吸瞑想(マイクロ・マインドフルネス)、マルチタスクの削減推奨。

ワーク・ライフ・バランス:人生の「相乗効果」

仕事と私生活を二者択一で捉えるのではなく、双方が良い影響を与え合う「ワーク・ライフ・エンリッチメント」を目指します。

• 具体的施策: フレックスタイムや在宅勤務などの柔軟な働き方の制度化、休暇取得の数値目標設定、男性育休の推進。

ポジティブメンタルヘルスを組織に根付かせるための4ステップ

戦略を一時的なイベントで終わらせず、組織文化として定着させるためのステップを整理します。

1. 経営層のコミットメント: メンタルヘルスを「人事の仕事」に留めず、経営陣が「ウェルビーイングは経営基盤である」と明文化し、自ら発信・実践します。
2. 現状把握(データの可視化): ストレスチェックの結果(集団分析)やエンゲイジメントサーベイ、離職率などを用いて、自社の課題を「見える化」します。
3. パイロット導入と全社展開: まずは一部の部署でスモールスタートし、現場の声を踏まえてブラッシュアップしながら全社へ広げます。
4. 評価制度への組み込み: 「長時間労働」ではなく「時間あたりの生産性」や「チームの心理的安全性を高めたマネジメント」を正当に評価する仕組みへとアップデートします。

実践企業の事例:成功の秘訣は?

ポジティブメンタルヘルスに取り組み、成果を上げている企業の具体例を見てみましょう。

IT企業A社:心理的安全性と1on1の徹底 

長時間労働と高い離職率が課題でしたが、全管理職への「心理的安全性マネジメント研修」と、月1回の1on1ミーティングを義務化しました。
その結果、2年後にはエンゲイジメントスコアが上昇し、離職率の低下と生産性指標の改善が確認されました。

SCSK株式会社:経済的インセンティブとの融合 

「残業削減」と「有給休暇取得」を徹底し、浮いた残業代を全額従業員に還元する「残業削減手当」を導入しました。
制度とインセンティブを紐づけることで従業員の「自分事化」を促進し、営業利益の大幅向上と離職率低下を両立させています。

株式会社丸井グループ:ボトムアップの推進 

「しあわせ」をビジネスの核に据え、社員が自ら立候補する「ウェルビーイング推進プロジェクト」をボトムアップで展開しています。
社員の自発性が組織文化を変え、新たなビジネスモデルの創出にも繋がっています。

金融系企業B社:レジリエンス研修の導入 

従来の不調者対応に加え、強みの棚卸しや呼吸瞑想を組み合わせた「レジリエンス研修」を実施しました。
受講後、休職者数の減少とともに「感情に振り回されにくくなった」といったポジティブな声が増加しました。

ポジティブメンタルヘルスに関するQ&A

導入にあたって、多くの企業が抱きやすい疑問に実際に携わる専門家の視点でお答えします。

Q1. 導入には多額の費用がかかりませんか? 

A. 高価なシステム導入だけが手段ではありません。会議のルールの見直しや、1on1の質の向上、短時間のマインドフルネスなど、ゼロ円で始められる「対話のデザイン」からスタートできます。
不調による損失コストを考えれば、投資対効果(ROI)は非常に高いといえます。

Q2. 効果測定はどのように行えばよいですか? 

A. 従来の「離職率」や「休職者数」に加え、「ワーク・エンゲイジメント・スコア」や、パルスサーベイによる「組織の幸福度」、ストレスチェックのポジティブ指標(活気・働きがい・ワーク・エンゲイジメントなど)を継続的にモニタリングすることをお勧めします。

Q3. 従業員から「新しい仕事が増える」と反発されませんか? 

A. 最も多く寄せられる不安であり、一番のハードルです。
だからこそ、これが「楽をするため」ではなく「より質の高い仕事を、健康に長く続けるため」の戦略であることを丁寧に説明する必要があります。
まずは現場の負担を減らす「ワーク・ライフ・バランス」の整備から着手し、成功体験を共有するのがコツです。

Q4. 中小企業でも実践可能ですか? 

A. もちろん可能です。大がかりな制度設計よりも、「全社での感謝・称賛の共有」や「月1回の対話」といった小さな習慣づくりから始めることで、コストを抑えながら文化を変えていくことができます。

まとめ:企業の未来をつくる「攻め」のメンタル戦略

メンタルヘルス対策を「コスト」や「義務」と捉える時代は終わりました。
これからの企業に必要なのは、従業員一人ひとりが強みを活かし、逆境を乗り越え、最高のパフォーマンスを発揮できる「土壌」を整えることです。
「攻め」のメンタルヘルスへの転換は、一朝一夕には成し遂げられません。
しかし、心理的安全性、エンゲイジメント、レジリエンスといった要素を一つずつ積み重ねていくことで、組織は確実に強く、しなやかになります。
いま目の前にいる従業員が、「ここで働いていてよかった」と心から言える状態をつくること。
そこから、採用・定着・生産性・イノベーションの好循環が始まります。
あなたの組織でも、今日から「心理的安全性を意識した声掛け一つ」から、ウェルビーイング戦略の第一歩を踏み出してみませんか?

<参考>
• 公益財団法人日本生産性本部「第12回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果」
• Gallup「Employee Engagement vs. Satisfaction」
• 厚生労働省「心の健康づくり実践事例集(PDF)」
• 経済産業省「健康経営における「心の健康」投資・実践ガイド~今日から始める人的資本への投資のヒント~」

よくある質問(Q&A)

Q1: ポジティブメンタルヘルスとは何ですか?

A: ポジティブメンタルヘルスとは、従来の「不調者を発見・対応する守りの対策」から、従業員の心の健康を経営戦略のエンジンへと昇華させる「攻めの対策」です。マイナスをゼロに戻すだけでなく、ゼロからプラスの状態、すなわちワーク・エンゲイジメント(仕事への活力・熱意・没頭)を高めることを目指します。

Q2: なぜ今「守り」から「攻め」への転換が必要なのですか?

A: VUCA時代において、「病気ではない」状態と「最高のパフォーマンス」は別物だからです。米ギャラップ社の調査では、従業員エンゲイジメントが高い企業は利益率が21%高く、ポジティブな感情を持つ従業員は生産性が31%高いという結果が出ています。メンタルヘルスへの投資は、将来の利益を約束する戦略的投資なのです。

Q3: 心理的安全性とは何ですか?

A: 心理的安全性とは、「対人関係のリスクを恐れずに自分の意見やミスをさらけ出せる状態」を指します。これが確立されることで、従業員の挑戦行動が増え、イノベーションが生まれやすい土壌が整います。ポジティブメンタルヘルスを促進する5つの核となる戦略の一つです。

Q4: ワーク・エンゲイジメントとは何ですか?

A: ワーク・エンゲイジメントとは、仕事への活力・熱意・没頭を指します。単なる満足度を超え、仕事に熱意を持ち、組織に貢献したいと感じる「関与感」を表します。現代の企業が競争力を維持するには、このワーク・エンゲイジメントを高めることが不可欠です。

Q5: レジリエンスとは何ですか?

A: レジリエンスとは、逆境に直面したときに、うまく対処しながら回復し、成長する力(復元力)を指します。VUCA環境では「ストレスをゼロにする」ことは不可能であるため、ネガティブな出来事の意味づけを柔軟に捉え直す「認知再構成」や、失敗を「学習の機会」として賞賛する文化の醸成が重要です。

Q6: マインドフルネスとは何ですか?

A: マインドフルネスとは、「今、この瞬間の経験に評価を加えずに注意を向ける」脳のトレーニングです。科学的に根拠があり、集中力向上、ストレス反応の低減、感情コントロールに高い効果があります。朝会や会議前の1〜3分の短い呼吸瞑想(マイクロ・マインドフルネス)などから始められます。

Q7: ワーク・ライフ・バランスとワーク・ライフ・エンリッチメントの違いは何ですか?

A: ワーク・ライフ・バランスが仕事と私生活の時間的なバランスを重視するのに対し、ワーク・ライフ・エンリッチメントは、仕事と私生活を二者択一で捉えるのではなく、双方が良い影響を与え合う「相乗効果」を目指します。フレックスタイムや在宅勤務、男性育休の推進などが具体的施策です。

Q8: ポジティブメンタルヘルスを組織に根付かせるステップは?

A: 4つのステップがあります。①経営層のコミットメント(メンタルヘルスを経営基盤と明文化)、②現状把握(ストレスチェックやエンゲイジメントサーベイでデータを可視化)、③パイロット導入と全社展開(一部署でスモールスタートして全社へ拡大)、④評価制度への組み込み(生産性や心理的安全性を高めたマネジメントを評価)です。

Q9: プレゼンティーズムとアブセンティーズムの違いは何ですか?

A: プレゼンティーズムは「出勤しているがパフォーマンスが低下している状態」、アブセンティーズムは「欠勤」を指します。心身の不調によるプレゼンティーズムによる損失は、アブセンティーズムによる損失の数倍に達するという指摘があり、メンタルヘルス対策の重要性を示しています。

Q10: ポジティブメンタルヘルスの導入に多額の費用は必要ですか?

A: 高価なシステム導入だけが手段ではありません。会議のルールの見直しや、1on1の質の向上、短時間のマインドフルネスなど、ゼロ円で始められる「対話のデザイン」からスタートできます。不調による損失コストを考えれば、投資対効果(ROI)は非常に高いといえます。

Q11: 中小企業でもポジティブメンタルヘルスは実践可能ですか?

A: もちろん可能です。大がかりな制度設計よりも、「全社での感謝・称賛の共有」や「月1回の対話」といった小さな習慣づくりから始めることで、コストを抑えながら文化を変えていくことができます。心理的安全性を意識した声掛け一つから、ウェルビーイング戦略の第一歩を踏み出せます。

Q12: ポジティブメンタルヘルスの効果測定方法は?

A: 従来の「離職率」や「休職者数」に加え、「ワーク・エンゲイジメント・スコア」、パルスサーベイによる「組織の幸福度」、ストレスチェックのポジティブ指標(活気・働きがい・ワーク・エンゲイジメントなど)を継続的にモニタリングすることをお勧めします。

ABOUT ME
【シニアコンサルタント】唐澤 崇
【保有資格】産業保健法務主任者/メンタルヘルス法務主任者/上級ハラスメントマネージャー/ハラスメントカウンセラー/健康経営アドバイザー 【コメント】人生の中での多くの時間を過ごす「職場」という環境において、「健康にいきいきと働き続ける」そんな当たり前の幸せを実現するお手伝いとして、企業へのコンサルティングだけでなく、実際に現場で働く従業員のみなさんとワークショップや研修、カウンセリングなどを通じてかかわりお手伝いをしています。