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ストレスチェックの受検率を上げるには?

最終更新日 2023-04-24

皆さんの企業のストレスチェック受検率はどのくらいでしょうか。
ストレスチェック実施後のフィードバックを行う際に、「受検率は何%くらいが目安なの?」「受検率ってどうやってあげればいいの?」「受検率が昨年よりも下がったけど対策は?」という質問をもらうことがあります。
そこで、この記事ではストレスチェックの受検率の目安となるデータや受検率向上のための方策についてお伝えしていきます。

成功と呼べる受検率はどのくらい?平均値は?

さっそくですが、受検率の目安はどれくらいなのでしょうか。
厚生労働省の調査によると、ストレスチェックを実施した企業の受検率は下記のとおりでした。

厚生労働省調査によるストレスチェックの受検率

受検率が80%を超える事業場が77.5%であり、90%以上を達成した企業も61.4%であることから、90%を超えることがひとつの目標となるでしょう。
ただし、ストレスチェックは社員全員が受検することで、職場の状況がより正確に把握できるため、100%の受検率を目指す姿勢が重要です。

なお、ドクタートラストで受検する940社の受検率の平均は90.5%で、下図からわかるように、受検率が90%を超える企業の割合は66.1%にのぼります。

ドクタートラストで受検した企業の受検率

ちなみに、ドクタートラストでは、義務化当初の2017年度の受検率の平均は78%であり、ここ数年で大幅に受検率平均が上昇しました。
受検対象者のストレスチェックへの理解や定着が進んでいることがうかがえます。
一方で、現在でも受検率が80%を下回る企業が13.9%ほどあることもわかります。

ストレスチェックの受検率を上げる方法は?

では、ストレスチェックの受検率を上げるためにはどうしたらよいのでしょうか。
受検率を上げる工夫についていくつかご紹介します。

従業員に受検のメリットを伝える

まずは受検者にストレスチェックを行う目的やメリットを伝えましょう。
ストレスチェックは、客観的に自分にストレスがどの程度あるのか、何が原因でストレスを感じているのかを確認することができます。
自分のストレス状況が分かれば、不調が起こる前にセルフケアを行うなど、なんらかの対策をとれるため、自身の健康を守ることにつながる点を伝えましょう。
また、高ストレス者となった場合には、産業医の面接指導によって、専門的な視点からストレスについてのアドバイスを受けることができます。
こうしたメリットや仕組みについて、ストレスチェックの案内文などで伝えましょう。

ストレスチェックに対する不安を取り除く

また、受検者の心配するところの大きなものが「個人情報の取り扱い」です。
「結果が上司にばれたらどうしよう」「評価につながってしまったらどうしよう」と心配する方も少なからずいるでしょう。
こうした不安から受検を思いとどまってしまう方もいるため、「受検者の同意なしに会社に受検結果が見られることはない」「集団分析結果は個人の情報がわからない状態で集計される」など、受検者にとって不利益な取り扱いがされない事実を十分に周知しましょう。

受検しやすい方法や受検期間を考える

ドクタートラストのストレスチェックでは、紙による受検とWEB受験、紙とWEBの併用受検が選択できます。
ドクタートラストの2021年度の受検結果では、WEB受験が71.5%を占めており、WEB受験を選択する企業が多いことが分かります。
WEB受験では、パソコン以外にもスマホやタブレットなどで受検できるので、社外での業務が多い企業などでの受検率アップに役立つでしょう。

また、受検期間を見直してみるのもひとつの方法です。
受検期間を1ヶ月や2ヶ月で設定すると「いつでも受けられる」という意識から受検率が低くなってしまう傾向があるため、受検期間を1週間や2週間などの短い期間で設定する企業もあります。
どんな方法で、どの程度の受検期間を設けるのが効果的かを実施前に検討しましょう。

受検結果をもとに会社としての姿勢を見せる

受検後の対応も重要です。
ストレスチェックを受けさせるだけで、会社として何の対応もしていない企業もあるのではないでしょうか。
これでは、「何のために受けさせられたのだろう」、「結局ストレスチェックをしても一緒か……」と社員の諦め感につながり、次年度の受検率低下につながりかねません。
ストレスチェックの受検が終わったら、たとえば受検協力の御礼や受検率の発表、会社としてどのように結果を受け止め改善を検討しているかの説明など、会社としてストレスチェックに真摯に向き合っている姿勢を周知しましょう。
こうした姿勢が見られれば、「自分の回答が活かされている」と感じることができるので、受検率の向上にもつながるでしょう。

ストレスチェックの受検率を上げ、改善すべき課題を抽出

ストレスチェックの受検率が上がれば、それだけ実際の社員の状況が反映された集団分析結果が確認できます。
集団分析結果をもとに、会社としての強み、そして改善すべき課題を把握し、取り組みを行っていきましょう。

まとめ

今回は、ストレスチェックの受検率向上についてお伝えしました。
ドクタートラストでは、ストレスチェックの実施が初めての企業でも安心して実施ができるよう、専門の部署がサポートしています。
また、それだけでなく集団分析結果の活用や職場環境改善についてのコンサルタントサービスも提供しています。
ストレスチェックの実施や活用に関してお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

<参考>
厚生労働省「ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて」

執筆者

【保健師】根本 裕美子
【保有資格】保健師/看護師/第一種衛生管理者/人間ドック健診情報管理指導士
【コメント】行政保健師として住民の方々の健康のサポートをしたのち、働く人々の健康づくりをサポートをしたいと考え、現在産業保健領域で活動しています。ストレスチェックの分析やセミナーなどを通して、働く皆さんが、体も心もいきいきと過ごせるよう、そして、楽しく安心して働ける職場を増やすことにつながるよう、情報をお伝えしていきます。

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