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ストレスチェック制度とは?中小企業にも義務や罰則はある?

最終更新日 2023-01-10

50名以上の事業場で実施が義務づけられているストレスチェックに対して「中小企業でも義務なの?」「実施しなかった場合に罰則はあるの?」といった疑問をお持ちのご担当者もいるのではないでしょうか。
今回は、そんな中小企業でのストレスチェック実施の疑問について、解説します!

ストレスチェック制度とは?実施義務の範囲や中小企業への罰則について解説!

ストレスチェック制度について、その目的や実施義務の範囲、罰則について、まずは見ていきましょう。

ストレスチェック制度とは?

心理的な負担の程度を把握するための検査(以下、ストレスチェック)は、労働者がストレスの状況を把握しセルフケアにつなげること、企業の職場環境改善に役立てることを目的としています。
また、ストレスチェックの結果、「高ストレス者」とされた労働者から申し出があった場合は、産業医などの医師による面接指導を行うこととされています。
つまり、ストレスチェックは、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止する、一次予防を目的として行われます。

ストレスチェック制度導入の背景

では、ストレスチェックはなぜ導入されたのでしょうか。
ストレスチェック制度は、2015年12月1日から50名以上の事業所に実施が義務づけられました。
その背景には、仕事による強いストレスが原因で精神障害を発症し、労災認定される労働者が増加傾向にあること、仕事や職業生活に関して強い不安・悩みを感じている労働者が半数以上となっていることがあります。
ちなみに、厚生労働省の令和2年「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安やストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は 54.2%となっており、多くの労働者が何らかの悩みやストレスを抱えながら働いていることがわかります。
そのような背景のもと、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止するためのしくみとして導入されたのが、ストレスチェックです。

ストレスチェックの義務化対象企業

ストレスチェックの実施が義務づけられるのは、常時雇用する労働者が50名以上の事業場です。
これは、中小企業であっても変わりません。
事業場とは、原則的に、同じ場所にある職場、たとえば、店舗や工場、支店、営業所などの組織のことをいいます。

50名未満の事業場については、当面の間、努力義務とされています。
ただし、50名未満であっても、ストレスチェックを実施することで労働者のストレス状況の把握ができますし、メンタルへス不調の対策にもなります。
ドクタートラストでは、2021年度に受検頂いた企業のうち、50名未満の事業場は、全体の約10%となっており、小規模事業場での実施のお問い合わせも数多くいただいております。

中小企業には実施義務はある?罰則は?

では、ストレスチェックの実施に関する罰則はあるのでしょうか。
ストレスチェックの実施義務がある事業場で、未実施の場合でも罰則はありません。
しかし、ストレスチェック実施後は、所轄の労働基準監督署への報告義務があり、それを怠ると罰則が課せられる可能性があります。(労働安全衛生法第120条)
また、未実施に対する罰則はありませんが、ストレスチェック等を行わずに、従業員の健康の把握や対策を怠った場合に、安全配慮義務違反に問われる可能性もあります。
実施義務がある事業場では実施と報告を忘れずに行うようにしましょう。

中小企業のストレスチェック実施は企業規模で異なる

このように、中小企業であっても、常時50名以上の労働者を使用する事業場であれば実施義務があります。
なお、2017年の厚生労働省の「ストレスチェック制度の実施状況」によると、ストレスチェック制度を実施した事業場の割合は、50~99人では78.9%、100~299人では86.0%、300~999人では93.0%、1,000人以上では99.5%と報告されており、事業規模が小さいほどストレスチェック実施報告書の未提出率が高くなっています。

中小企業がストレスチェックを実施する際は助成金を活用しよう

初めてストレスチェックを実施する際には、費用の確保が重要となりますよね。
実は、50名未満の小規模事業場については、ストレスチェックを実施し、また、医師のストレスチェック後の面接指導等を受けた際に、費用の助成を受けることができる場合があります。
助成を受けるための事業場は以下の要件すべてを満たしている必要があります。

① 労働保険の適用事業場であること
② 中小事業主であること
③ 常時使用する労働者が派遣労働者を含めて50人未満の事業場であること

詳しい要件や助成額、手続き等については、以下の助成金の手引で確認できますので、まずは、チェックしてみましょう。

独立行政法人労働者健康安全機構「令和4年版ストレスチェック実施促進のための助成金の手引(PDF)」

まとめ

今回は、中小企業のストレスチェックについてお伝えしました。
初めてストレスチェックを実施する企業様では、対象者や実施の流れなどでご不安を抱えている方もいるかと思います。ドクタートラストでは、ストレスチェックの実施から職場環境の改善までトータルサポートを行っていますし、ストレスチェックの集団分析を活用した独自の人材育成・組織開発コンサルティングサービス「STELLA(ステラ)」をご提供しています。ぜひ一緒に高ストレス者軽減、生産性の高い職場構築について考えていきましょう!

DL

<参考>
・ 中央労働災害防止協会「ストレスチェックサービス」
・ 厚生労働省「ストレスチェック制度の実施状況」
・ 厚生労働省「令和2年「労働安全衛生調査(実態調査)」

執筆者

【チーフアナリスト】服部 恭子
【職位】チーフアナリスト
【コメント】毎日多くの時間を過ごす職場環境が良いものになるように、また、健康で元気に働き続けられる人が増える社会になるように、ストレスチェックをきっかけに、職場環境改善に取り込もうとする企業様に役立つ情報をお届けできるように努めてまいります。

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