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マスクを外すことがストレス?~ストレス対策とは~

最終更新日 2023-04-21

新型コロナウイルスが流行して3年がたち、もはやマスクは私たちの生活の一部となっています。
しかし、厚生労働省の発表により2023年3月からマスクの着用が個人の判断に委ねられました。
当初はマスクをつけることにストレスを感じていても、着用が日常化したため「マスクを外すことが怖い」「素顔を見られるのが恥ずかしい」などの理由から、マスクを外すことにストレスを感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は、マスクの着用についてのそれぞれの考えかたから、マスクを外したときに起こりうるストレスの影響について解説していきます。

マスク着用の考え方について

ここ2、3年でマスクの着用が当たり前になっていましたが、政府が新型コロナウイルスの感染症法上の分類を5類感染症に引き下げることを発表したことから、2023年3月13日よりマスク着用ルールが変更されました。
では、どのようにルールが変更されたのかを見ていきましょう。

■これまでの対応
【屋外】マスク着用は原則不要(人混みが多い場合は着用が必要)
【屋内】マスク着用が必要(人との距離が確保できる、会話をほとんど行わない場合は必要に応じて取り外し可能)

■これからの対応(2023年3月13日より)
屋外・屋内問わずマスクの着用は基本的に個人の判断に委ねられる

ただし、以下の場合は感染リスク防止や自身を守る観点からマスクを着用することをおすすめしています。

出所:厚生労働省「マスクの着用について」

ルールが変更になった現在でも、街中ではマスクをつけている人が多くみられますが、これは単に感染防止を目的としているだけではないようにも感じます。
では、着用が個人の判断になったいま、マスクを外したい人と外したくない人とではどのような考えかたの違いがあるのか、またそこから生まれるストレスについてみていきましょう。

マスクを外す考えは未だ少数派?

3月13日よりマスク着用が個人の判断に委ねられるようにはなりましたが、NHKが2023年2月に行ったマスク着用についての世論調査によると、以下の結果が判明しました。

出所:NHK「【世論調査】マスク着用について、みんなどう考える?」

この結果から半数の人が「引き続きつけると思う」と回答したことがわかります。
マスク着用義務化がうたわれた時期は、「早くマスクを外したい!」と思っていた人も、月日が経つにつれてマスクに対する考えかたが変化していったことが結果にあらわれたのではないかと考えられます。

しかし、「外すことが増えると思う」と回答した方も38%いました。
以下はマスク着用をすることで考えられるデメリットについてご紹介します。

熱中症リスクが高まる可能性

マスクを着用していない場合と比べると体感温度・心拍数の上昇などマスクを着用した場合のほうが身体への負担が大きいと予測されます。

頭痛、頭がぼんやりする

マスク着用によって、十分に酸素が体内に取り込めないため認知機能能力の低下やマスクのゴム部分の締め付けによる痛みが発生すると考えられています。

皮膚トラブルが起こる

マスクと皮膚の摩擦によってさまざまなトラブル(ニキビ・耳切れ・着色など)が起こると考えられます。


マスクを着用している時間が長い人やすでに何らかのトラブルが発生した人にとっては、このようなリスクを避けるためにマスクを外す選択をとる人も増えてくるのではないでしょうか。

マスクを外すことに対して考えられるストレスって?

「今後もマスク着用していく」と考える人のなかには、コロナ対策以外にも花粉症やインフルエンザ予防のためなど感染症予防のために着用している人もいるでしょう。
しかし、実際はそれ以外の理由で外せない人も多くいるのではないかと推測されます。
ここでは、マスクを外せない人たちの心理とそこから起こりうるストレスについて解説します。

① コミュニケーションへの不安

最も多くの方がこの問題によってマスクを外せないのではないかと推測されます。
マスクを着用することで、他人から目より下の部分の表情が見えなくなるため人とのコミュニケーションへの抵抗感が少なくなると考えられます。
コミュニケーションに苦手意識がある方にとってマスクは最大の味方になりますが、マスク無しの生活ではコミュニケーションへ壁を感じたり、表情の乏しさからさまざまな場面で難しさを感じたり、大きなストレスへとつながる可能性があります。

② 素の自分を見せることへの抵抗

マスクをしていることで安心感を得ている人は多いのかもしれません。
特に学生や新入社員の方々はマスク生活からのスタートでまともにお互いの顔を見たことがないということも珍しくはありません。
そのため、マスクを外して素顔を見られることで、恥ずかしさや緊張から大きなストレスを伴う可能性があります。

③ 周囲からの視線

マスク着用が自由化されましたが、コロナは完全には終息していません。
そのため、他の人に迷惑をかけてしまう不安から、周囲からの目線が気になってしまい、なかなかマスクを外しにくい環境にあります。
こうした背景もストレスに関係してくるのではないかと考えられます。

マスクを外すストレスへの対処法

世間が脱マスクを呼びかけているからといって無理にマスクを外す必要はありません。
無理に外そうとするとストレス負荷がかかり体調を崩しかねません。
その場合は、以下のような方法でゆっくりと自分のペースで脱マスクに慣らしていくことをおすすめします。

表情を豊かにする練習をする

長いマスク生活をするとどうしても表情筋が緩んでしまいます。
日頃から口角を上げることや笑うことを意識するのが大切です。
そうすることで、脱マスク生活に戻ったときへの心配や緊張がほぐれるでしょう。

呼吸法に注意する

マスクをしている時は、知らずに呼吸が短く・浅くなっています。
これはマスクをすることでストレスがかかり、交感神経が活発に働くことで緊張状態になるからです。
その結果、身体のなかに酸素が十分に行き渡らなくなり、酸欠免疫機能低下につながる可能性があります。
マスク着用時の呼吸法が身に沁みついてしまっている方も少なくはありません。
ゆっくりと深呼吸をして、呼吸を整えることを意識するとストレス解消効果があると言われています。

専門家に相談する

さまざまな方法を試してみてもマスクを外すことが怖いと感じてしまう方は専門機関を受診してみましょう。
マスクの着用で得られた安心感や自信が大きければ、それだけマスクを外すことへの恐怖や不安感も強くなります。
また近年では、マスクの習慣的着用はさまざまな器官への悪影響やうつ病を引き起こす可能性があることから「マスクシンドローム」という言葉が生まれ、産業保健分野で注目されています。
深刻な症状に陥る前に、精神科や専門カウンセラーに相談することで、自身の現状と解決策の把握が可能です。

着用義務期間と自由化後でどうストレスが変化した?~確認するには集団分析冊子が有効~

マスク着用義務時期とマスク着用が自由化となった今どのようなストレス変化があったのか気になる人も多いのではないでしょうか。
集団分析結果を活用することで、ストレス状況を数値で把握できるため、時期ごとの比較が可能です。
今回は集団分析で特に注目していただきたいポイントをご紹介します。

高ストレス者率・健康リスク(集団分析冊子)

時期ごとにストレス状況を把握するためには、前年度結果と比較してみましょう。
たとえば、今年度のマスク着用自由化以降にストレスチェックを実施した企業で、前年度結果と比較し高ストレス者率が下がったとしたら、マスク着用の自由化などによって社内のストレス状況が回復したと考えられます。

他にも健康リスクという視点から確認することもできます。
健康リスクとは従業員が疾病休業を起こしうるリスクを指し、仕事の量・質的負担(仕事面)上司同僚からの支援(サポート面)から総合的なリスクを算出します。
たとえば、今年度マスク着用が自由化されてからストレスチェックを実施した企業で、サポート面のリスク数値が前年度よりも悪化していたら、マスク着用の自由化などによって何かしらコミュニケーション障害が起こっている可能性が推測できます。

結果一覧(偏差値)

設問ごとに前年度との比較を確認したい場合は、サマリーシートがおすすめです。
42尺度の偏差値を前年度と比較することができ、折れ線グラフでも表示しているためストレス状況を可視化できます。
また、全国平均を偏差値50とし、それを下回った尺度には赤く色づけがされるため、注意すべき箇所を把握しやすいのも特徴です。

無料軸のテレワーク時間別結果

ドクタートラストでは昨年度から、多くの企業で注目したいポイントとしてあげた4つの項目(テレワーク・勤続年数・残業時間・職種)のうち、2項目を無料で分析するサービスを始めました。
なかでもテレワークは、コロナ禍になってから頻度が増えた企業も多いため、ストレス状況によって今後の勤務形態について検討していく必要があると考えられるでしょう。

このように、既存の問題点に対して見るべき要点を理解していることで、ストレス状況の変化やその原因を十分に把握できるでしょう。

まとめ

マスク着用が自由化になってから、外す場面とつける場面を区別するのが難しく、考えかたにはどうしても個人差があります。
「感染リスクを下げたい」「花粉を防止したい」という理由でマスクを着用している人もいれば、マスク生活の日常化により「マスクを外した素顔を見せることが怖い」「マスクをしていたほうがコミュニケーションを取りやすい」と考えている人がいるのも現状です。
つまり、「マスク外す=ストレスフリー」ではなく「マスクを外す=ストレスフル」という可能性もあるということです。

マスクを外すことにストレスを感じている方は、どこにストレスを感じているか原因を把握したうえで、できることから対策を考えていきましょう。
また、会社や部署など集団でのストレス状況を把握したい場合は集団分析冊子で数値を確認し、問題点を深堀りしていきましょう。
まだまだコロナ感染が終息しきっていない現在、マスクを着ける人、着けない人がお互いを尊重し、ストレス緩和を進めていくことが最も重要なのではないでしょうか。

DL

<参考>
厚生労働省「マスクの着用について」
NHK「【着用緩和】マスク外す?外さない?判断基準やポイント3つを専門家が解説」

執筆者

【アナリスト】押切 愛里
【職位】アナリスト
【コメント】前職で一緒に働いていた上司や同僚がメンタルヘルスに陥っている状況で私自身「改善する方法はないか」「何かしらサポートしたい」と思い、現在は「職場環境改善に効果的な情報」や「ストレスチェック結果から判明した最新情報」を中心に分析・発信しています。今後も多くの人がいきいきと元気に働ける職場づくりをモットーに役立つ情報をお届けします。

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