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ストレスチェックの項目数の違いとは?~企業に合った項目数選びをしよう~

最終更新日 2023-03-17

ストレスチェックは50名以上の事業場であれば実施が義務づけられていますが、設問数の決まりはありません。
設問数が少なければ、担当者や受検者の負担は少なくなりますが、従業員数の多い企業であれば課題の抽出が難しくなるでしょう。

ストレスチェックでは、企業独自の設問を追加したり、最も身近な病気である生活習慣病の原因についての設問を追加したりすることで、さらに詳しくストレス状況の把握が可能です。
今回は、ストレスチェックの設問数の違いやそれぞれのメリット・デメリット、企業に合う設問数選びについて解説していきます。

ストレスチェックの基本!3つの領域

労働安全衛生法では、事業場がストレスチェックの質問票を作成する場合、下記の3つの領域の項目を全て盛り込むことが義務づけられています。

仕事のストレス要因:職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
心身のストレス反応:心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
周囲のサポート:職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目

また、ほかの設問においても一定の科学的な根拠をもとに選定しなければなりません。
独自でストレスチェックの質問票を作成する場合は注意しましょう。

調査票の種類とメリット・デメリットについて

ストレスチェックの設問は大きく分けて57項目80項目の2種類があり、近年では官公庁や大規模な企業などで80項目実施が主流になっています。
設問項目は企業の希望によって自由に選択可能です。
企業のストレスチェックにおける利用目的や納品形態によって設問数の決定を行うようにしましょう。

今回は57項目と80項目それぞれのメリット・デメリットを紹介します。

57項目版のメリット・デメリット

厚生労働省が推奨する一般的な調査項目数です。
57項目においても3つの基本領域が盛り込まれていて、労働者個人に関する質問を中心に構成されています。

メリット

  • 回答時間が短い
  • 紙受検の場合回答漏れの可能性が低い
  • 質問数が少ないため回答してもらいやすい

デメリット

  • 職場等についての設問がないため、職場環境に対するストレス要因を探ることが不可能

80項目版のメリット・デメリット

労働者個人に関する57項目に、職場環境や人事評価、ワーク・エンゲイジメント、ハラスメントなどを問う23項目を追加したのが80項目版の質問票です。

メリット

  • 職場環境を詳細に把握することができる

【57項目にプラスで把握できる項目】
・仕事について(情緒的負担、役割明確さ、成長の機会など)
・職場について(経済・地位報酬、上司のリーダーシップ、失敗を褒めてもらえる職場など)
・会社や組織について(経営層との信頼関係、公正な人事評価、キャリア形成など)
・仕事の状況や成果について(職場のハラスメント、ワーク・エンゲイジメントなど)

デメリット

  • 回答に時間を要する
  • 昨年度57項目受検した場合、経年変化が読み取りづらい

それぞれの費用について

なかには、「設問数によって費用が変わるのでは?」と心配されている担当者の方もいるのではないでしょうか。
しかし、設問数が変わったからといって費用が変わることはありませんのでご安心ください。
設問数によってのメリットとデメリットや費用を把握し、自社でストレスチェックをする際の設問数選定にぜひご活用ください。

設問の追加は可能?

既存の設問項目だけでなく、企業が独自で作成した設問を追加することも可能です。
もし、設問を追加する場合は、受検者や担当者の負担も考慮し2~3問が好ましいと言われています。
ただし、あくまでストレスチェックは自身のストレス状況の把握や職場の課題を掴むことが目的であり、目的から逸れた質問は事後対応が難しくなるため含めるべきではありません。

ドクタートラスト独自の無料追加分析

ドクタートラストでは、これまで受検してきた累計122万人のデータを分析するなかで、ストレスと日々の生活習慣は密接に関係があるのではないかと考えました。
そこで、2022年度よりWEB受検者を対象に、通常のストレスチェック項目に加えて、以下の生活習慣における6つの設問を無料で追加・分析するサービスを展開しました。

【睡眠について】
1. ここ1カ月間、あなたの1日の平均睡眠時間はどのくらいでしたか。
2. 寝る前1時間以内にスマホもしくはPC操作を行うことがありますか。(動画視聴、SNSなど)

【飲酒について】
3. 1週間に何日くらいお酒を飲みますか。

【喫煙について】
4. たばこを吸いますか。

【身体について】
5. この1年間で体重の変化はありましたか。

【生産性について】
6. 最もパフォーマンス(生産性)が高い時間帯は次のうちどれですか。

ストレスチェックには、身体反応を問う設問がいくつかあります。
しかし、「よく眠れない(睡眠についての設問)」「食欲がない(食についての設問)」など、身体の状況を大まかに問う設問にとどまっているため詳しい原因を見つけるのは困難です。

ドクタートラストで用意している追加設問は、生活習慣病の原因とされる食習慣や運動習慣、喫煙、飲酒などのなかで、特にわたしたちの健康被害に大きく影響していると考えられる項目で構成されています。
ストレスチェック契約時に「生活習慣設問の追加希望」の旨をお伝えいただければ、ほかの準備は不要です。
担当者への事務的な負担もありません。
ぜひ集団分析結果とともに、従業員のストレス状況把握のプラス情報としてお役立てください。

利用目的や企業特性によって項目数選定をしよう

「設問数によって費用は変わらないのだから、設問数が多ければ多いほど良いのではないか」「厚生労働省が57項目を推奨しているのだから80項目へ切り替えなくてもいい」と考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、「80項目で実施したが情報量が多すぎて自社で情報を上手く扱えなかった」「57項目で実施したが肝心な職場環境を改善するための情報がなかった」など、項目の選択を誤ると意味のない分析になってしまうでしょう。
それぞれの企業に合った項目数を選ぶために、以下のポイントをぜひ覚えておきましょう!

① どの範囲までのストレス状況を把握したいのか
② ストレスチェック結果をもとに実際にどのくらい対策が行えるのか
③ 回答率が下がらない適切な設問数であるか

①~③を衛生委員会でしっかり協議した上で企業に合う適切な設問数を決定しましょう。

まとめ

ストレスチェックの設問数の選定には、企業ごとの利用目的や事業場規模、「どの範囲まで計測をしたいか」などの方針をもとに企業内で協議し決定する必要があります。
また、企業が問題視している事項や知りたい情報を既存の設問に追加することも可能です。
しかし、ストレスチェックの主旨と異なる内容である場合は、追加設問としてはふさわしくありません。
追加する際は、適切な設問であるかを事前に社内で確認して判断をしましょう。

企業にとって最適な設問数を選び、ストレスチェック結果から効果的な職場環境改善に
つなげていきましょう。

DL

執筆者

【アナリスト】押切 愛里
【職位】アナリスト
【コメント】前職で一緒に働いていた上司や同僚がメンタルヘルスに陥っている状況で私自身「改善する方法はないか」「何かしらサポートしたい」と思い、現在は「職場環境改善に効果的な情報」や「ストレスチェック結果から判明した最新情報」を中心に分析・発信しています。今後も多くの人がいきいきと元気に働ける職場づくりをモットーに役立つ情報をお届けします。

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