研究レポート

ストレスチェックの不利益な取扱いは禁止!具体例や注意点を解説

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ストレスチェックの個人結果は非常にセンシティブな内容が含まれています。
そのため、ストレスチェック実施に際しては注意が必要です。
本記事ではストレスチェックの制度上、全面的に禁止されている「ストレスチェックにおける不利益な取扱い」をわかりやすくご紹介します。

ストレスチェックにおける不利益な取扱いの禁止とは

ストレスチェック制度は、従業員の個人情報が適切に保護され、不正目的で利用されないようにすることで、従業員は安心して受検ができ、会社としても適切な対応や改善につなげられます。
会社が従業員のストレスチェック結果や、面接指導の申出を理由に不利益な取扱いをすることは全面的に禁止されています。
ストレスチェックにおける不利益な取り扱いがあると、従業員からの正当な回答や産業医面談の申出が妨げられることにもつながり、ストレスチェックを実施する意味が失われるためです。

ストレスチェックの不利益な取扱いって具体的にどんなこと?

以下に、禁止されている具体的な行為についてご紹介します。

ストレスチェックの受検を拒否する従業員への不利益な扱い

ストレスチェックは会社として実施の義務がある一方で、従業員は受検の義務がありません。
そのため受検を強制するような周知や勧奨、就業規則で受検を義務づけたり、罰則を設けたりすることはできません。
また受検結果は、本人の同意がない限り会社側が確認することはできません。
会社側への提供を強制することや、提供を拒んだ従業員に対して不利益な取扱いをすることも禁止されています。

医師による面接指導が必要なのに申出がない従業員への不利益な扱い

高ストレス者と判定された従業員は、医師との面接指導を申し出る権利がありますが、医師による面接指導の実施は、本人からの申し出が必要です。
そのため申し出がない限りは面接指導を行うことはできません。
しかしながら、会社は常に「従業員の健康・安全について配慮する義務(安全配慮義務)」を負っています。
本人から申し出がなかったとはいえ、高ストレス者が結果としてメンタル不調となり、自殺にまで至るようなことがあれば、会社側は安全配慮義務違反に問われるリスクを抱えることとなります。
会社としては医師への面接指導を申し出やすい環境を整えることが重要です。

面接指導を申し出た従業員への不利益な扱い

面接指導の申し出を行わないことに対する不利益な取扱いは禁止されていますが、面接指導の申し出を行い、その結果を理由に以下の行為をすることも禁止されています。

・ 解雇すること
・ 契約の更新をしないこと
・ 退職勧奨を行うこと
・ 不当な動機・目的による配置転換・職位の変更を行うこと
・ その他労働契約法等の労働関係法令に違反する措置を講じること

集団分析結果を理由とした不利益な扱い

ストレスチェック制度における集団分析は「努力義務」という位置づけですが、集団分析を行った場合には、その結果を理由に不利益を被る従業員が発生しないよう注意しなければいけません。
たとえば、部署ごとの結果を分析し、全国平均や自社のほかの部署と比較し悪い結果となった部署があった場合でも、その部署のリーダーや上司を降格させてはいけません。
集団分析結果の数値ですべての良し悪しを判断するのではなく、数値に影響を与えている要因を実際に働いている人たちからヒアリングするなどして総合的に捉え、会社として職場環境改善に努めていく必要があります。

従業員の不利益にならないために!ストレスチェックの注意点

ストレスチェックは、従業員自身に自らのストレス状況について気付きを促し、メンタル不調を未然に防止する目的と、会社としてどこにストレスの要因があるかを知るために大変有効な制度です。
そのためストレスチェック自体が従業員の不利益となるような行為があってはいけません。
またストレスチェックの個人結果は大変機微な個人情報です。
メンタルヘルスというデリケートな領域であるからこそ、慎重に対応し、プライバシーへも配慮していくことが必要です。
会社で選任している産業医や外部委託業者を上手く活用し、アドバイスや意見をもらいながら進めていくことをおすすめします。

まとめ

今回はストレスチェックの不利益な取り扱いについて紹介しました。これらのポイントについて注意をしながら、職場環境改善に生かせるように取り組んでいただければと思います。
ドクタートラストでは、集団における数値をあらゆる側面から見た集団分析の提供、結果を活用した職場環境改善コンサルティングサービス「STELLA」も提供しています。
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DL
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【チーフアナリスト】服部 恭子
【職位】チーフアナリスト 【コメント】毎日多くの時間を過ごす職場環境が良いものになるように、また、健康で元気に働き続けられる人が増える社会になるように、ストレスチェックをきっかけに、職場環境改善に取り込もうとする企業様に役立つ情報をお届けできるように努めてまいります。