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「上司に見られる?」「知られてしまう?」ストレスチェックの個人結果の取り扱いについて

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「ストレスチェック、正直に答えても大丈夫?」

そんなことを考えたことがある方はいらっしゃいませんか。
ストレスチェックは、その結果を用いて自分の状態を知りセルフケアに努めたり、回答結果を集計して職場環境改善に役立てたりすることができます。
そのため、正直に自身の状態を回答することが望ましい検査です。

しかし、ストレスチェックの受検者の中には、自分の結果が会社や上司に知られるかもしれないと不安に思う方も少なくありません。
そこで今回は、ストレスチェックの個人結果の取り扱いについて解説していきます。

ストレスチェックの結果を取り扱えるのは誰?

ストレスチェックの個人結果は個人情報に該当するため、取り扱える人が決まっています。

個人結果を取り扱える人

実施者:医師、保健師又は厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師若しくは精神保健福祉士であって、ストレスチェックを実施する者をいいます。

実施事務従事者:実施者のほか、実施者の指示により、ストレスチェックの実施の事務(個人の調査票のデータ入力、結果の出力又は結果の保存(事業者に指名された場合に限る)等を含む。)に携わる者をいいます。

<中略>

●ストレスチェック結果が労働者の意に反して人事上の不利益な取扱いに利用されることがないよう、労働者の人事に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者(人事部長等)は実施事務従事者にはなれず、ストレスチェックの実施の事務に従事してはいけません。

引用:厚生労働省「ストレスチェック制度導入ガイド」

実施者となれるのは事業所内の産業医や外部委託先の保健師などです。

また、実施者や実施事務従事者には守秘義務が課されており、違反した場合は刑罰の対象となります。

ストレスチェックや面接指導で個人の情報を取り扱った者(実施者とその補助をする実施事務従事者)には、法律で守秘義務が課され、違反した場合は刑罰の対象となります。

引用:厚生労働省「ストレスチェック制度導入ガイド」

守秘義務に違反した場合、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金となります
このように、ストレスチェック個人結果を見ることができる人は本人、実施者、実施事務従事者に限られます。

事業者(会社)が個人結果を見られるケースについて

原則、個人結果は本人と実施者・実施事務従事者しか見ることができませんが、以下のケースでは事業者は個人結果を確認することができます。

事業者が個人結果を確認できるケース条件
受検者本人が同意した場合本人が結果確認後に同意
面接指導を申し出をした場合事業者への提供に同意とみなされる

受検者本人が同意した場合

受検者本人が個人結果の提供に同意した場合は、事業者は個人結果を確認することができます。
事業者が従業員に同意を取るタイミングとしては、受検者本人が自分の結果を確認した後に限ります。
本人が自分の結果を確認する前に同意を取ることはできません。
また、事業者への結果の提供に同意しなかった場合に、それを理由に従業員に対して不利益な取扱いをすることは法律で禁止されています。

受検者が面接指導の申し出をした場合

面接指導の申出をした方は、事業者へ個人結果を提供することに同意をしたとみなしても差し支えないとされています。
面接指導を実施すると、面接指導を担当した医師から会社へ意見書が提出され、その意見書を基に会社は就業上の措置を検討します。
そのため、適切な労働環境を維持するために、必要と認められた範囲で個人結果を確認する可能性があります。
ちなみに、面接指導の結果を理由として解雇や退職勧奨、不当な動機・目的によると判断される配置転換等や、医師の意見と大きく異なる措置(労働者の不利益となるもの)を講じることは法律で禁止されています。

結果の提供に同意をした(みなされた)場合、会社側は自由に結果を見ることができる?

ストレスチェックの個人結果を会社に提供する場合でも、その結果の共有範囲については下記の通り制限がかけられています。

事業場におけるストレスチェック結果の共有範囲の制限

事業者は、本人の同意により事業者に提供されたストレスチェック結果を、当該労働者の健康確保のための就業上の措置に必要な範囲を超えて、当該労働者の上司又は同僚等に共有してはならないものとする。

引用:厚生労働省「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」

そのため、個人結果の提供に同意したとしても、誰もが自由に個人結果を見られるわけではありません。

個人結果の保管について

個人結果の保管方法および保管場所は、事前に衛生委員会等で話し合い、事業者が決定します。
保管した個人結果は第三者の目に触れないよう、データで保管する場合はログインパスワードの管理を、現物がある場合はキャビネットの鍵の管理等、厳重な保管・管理が必要です。
また、保管者は結果の提供への同意状況について変わります。

事業者への結果の提供の同意の有無保管者保管期間
同意有りの場合事業者5年間(義務)
同意無しの場合実施もしくは実施事務従事者5年間(努力義務)

まとめ

原則、個人結果は実施者および実施事務従事者しか取り扱いができません。
そのため、個人結果の提供に同意した場合、または、面接指導の申出をした場合を除いて、本人と実施者、実施事務従事者以外に自分の結果を見られることはありません。
結果の提供に同意したとしても、健康確保のための就業上の措置に必要な範囲を超えて、当該労働者の上司または同僚等に共有してはならないとされています。
ストレスチェックは職場環境改善にもつながる重要な機会です。
自分の状態を知るために、安心して受検しましょう!

<参考>

・厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」
・厚生労働省「ストレスチェック制度導入ガイド」
・厚生労働省「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」

ABOUT ME
藤澤 汐理
【職位】ストレスチェック市場開発部 主任 【保有資格】第二種衛生管理者、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種・Ⅲ種 【コメント】大学では精神保健福祉を中心に学び、特にうつ病や統合失調症への理解を深めてきました。卒業後、生命保険会社で事務職として働くなかで、メンタルヘルス不調で休職する方を見て、働くことで健康を損なうことがあってはならないと感じるようになったことから、「健康で、元気に楽しく働く人を増やす」を理念とするドクタートラストに入社しました。 「健康で、元気に楽しく働く人を増やす」ために、健康に役立つ情報をお届けしていきます。