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「仕事を辞めたい」と言うのはストレスが原因?会社としての対処法

最終更新日 2023-01-10

転職が当たり前となった昨今でも、従業員の離職は、職場にとって大きな打撃の一つではないでしょうか。
人材流動はある程度避けられないものであっても、ネガティブな理由による離職の悪循環が続いている場合は、職場環境を見直すなど再発防止策を講じる必要があるかもしれません。

従業員に仕事を辞めたいと言われたら?

1人の離職によって、業務の引継ぎが発生し、他のメンバーに業務負荷がのしかかります。
また、離職した分を新たに採用する場合は、そのためのコストや労力が生じます。
従業員から離職を伝えられるのはいつも突然であり、職場としては混乱とともにその対応に追われるケースが多いのではないでしょうか。
なぜなら、退職や転職を迷っている段階で、上司や会社に相談することは珍しく、多くの場合、離職の意志決定後に初めて職場や上司にその旨を伝えるためです。
もし従業員から「仕事を辞めたい」と言われた場合、あなたならどのように対応しますか。
一つお伝えするとすれば、残念ながら、その場で引き留めようとしても、それほど効果がないでしょう。

離職を防ぐには、日頃の対応を見直すことが先決

従業員の離職を食い止めるためには、日頃から本人の言動をよく観察し、「兆し」を捉えることが必要です。
従業員が「仕事を辞めたい」と思うには必ず理由が存在するからです。

<仕事を辞めたい理由>
・ 自分の能力や個性を生かせない
・ 経営方針に不満がある
・ 処遇に納得していない
・ 業務負荷が大きすぎる
・ 人間関係の問題
・ 会社の将来性が不安

※厚生労働省「令和3年上半期雇用動向調査結果の概況」

離職を防ぐには、まず、これら「仕事を辞めたくなる理由」を防ぐことが重要です。
そのためには、以下のような施策により、従業員が声を発せられるような環境、仕事に関する相談がしやすい関係性を築いておくことが必要です。

・ コミュニケーション量を増やす
・ 部下が納得できる評価をする
・ 適切なフィードバック
・ 業務量の調整
・ キャリア支援
・ 仕事の適性をはかる

こうした環境や関係性が築かれていない場合は、突然の離職宣言を食い止めようとしても、成功は難しいでしょう。

仕事を辞めたい理由がストレスだった場合の対処法

もし離職理由がストレスやメンタルヘルスに関するものだった場合は、以下の対応も検討しましょう。

産業医面談を勧める

保健師やカウンセラーでも構いません。
第三者的な立場で話せる専門職が望ましいです。

休職を勧める

メンタルヘルス不調が考えられる場合は、重要な決断は先延ばしにしてもらいましょう。
具合の悪い状態で判断力が鈍っているため、まずは体調回復が優先です。

配置換えを検討する

ハラスメントや上司との関係性に起因する場合は、配置換えも検討しましょう。
また本人の適性や希望に沿って部署変更をすることで、メンタルヘルス不調が改善したりより能力を発揮できたりするケースもあります。

職場改善に取り組む

日々の業務フローやコミュニケーション方法の見直しを図ることで、離職の悪循環を断ち切るよう努めましょう。
ストレスチェック結果や従業員の声などから、どのようにすればより働きやすい職場になるか、検討する機会があると望ましいですね。

ストレスのない職場にするにはどうすればいい?

では、どのような取り組みを進めれば、「より働きやすい職場環境」になるでしょうか。
以下では、いくつか取り組み方法をご紹介します。

職場環境を整える

ストレスのない職場にするうえでは、「職場環境」の整備が欠かせません。
職場環境とは「物理的環境」および「人間関係」を指し、ドクタートラストでは、良好な職場環境の維持には以下4要素が必要と考えています。

・チームワークがある
・会話の回数が多い
・笑顔が溢れている
・いきいきと働き仕事に誇りを持っている

ストレスチェックを導入する

ドクタートラストのストレスチェック集団分析では、独自分析「職場環境指数 TRUSTY SCORE」を算出、信頼関係の構築された安心・安全な職場環境であるかを数値でお示ししています。
TRUSTY SCOREは、「尊重・尊敬」「問題解決・挽回」「助け合い・挑戦」「話しやすさ・自然体」の4軸から構成されており、これらが満たされているほど、信頼関係が強く、生産性の高い職場と考えられます。
メンタルヘルス不調を防ぐことはもちろん、組織としてはいきいきと生産性高く働ける状態を目指していきたいですね。

社内相談窓口を設置する

「社内相談窓口」は、ハラスメント対策の観点からも設置しなくてはなりません。
また、ただ設置するだけではなく、「安心して相談できる場所」として有効活用することが離職の予防となります。

<相談窓口のポイント>
・ 気兼ねなく話せる、聞いてもらえる
・ 相談したことが業務評価につながらない
・ 秘密が漏れない

このような条件を満たすうえでは、第三者機関のサービスを利用し外部相談窓口を設けることがお勧めです。

産業医や外部機関と連携する

相談を受けた場合、上司や人事などが単独で解決しようとする必要はありません。
もちろん個人情報保護は重要ですが、産業医やカウンセラーなどの専門家へ連携し、チーム単位で対応することが得策です。

まとめ

特にコロナ禍に入ってから職場のコミュニケーションは「ホウレンソウ」でなく「ザッソウ」が大事といわれるようになりました。
職場で必要なコミュニケーションは、報告・連絡・相談という一方通行のものでなく、雑談の延長で相談できるような双方向のものではないでしょうか。
上司も部下も一個人として尊重され、立場は異なれども同じチームの一員として気兼ねなく意見や相談をすることができる関係性が築ければおのずと「仕事を辞めたい」という突然の離職宣告は免れるのではないでしょうか。

DL

執筆者

【保健師】高橋 さなえ
【保有資格】保健師/看護師/公認心理師/第一種衛生管理者/人間ドック健診情報管理指導士/産業カウンセラー/上級心理カウンセラー
【コメント】ドクタートラスト創業初期メンバーの一人。保健師や公認心理師の目線を活かしてコンサルタント・研修講師として活動中。ストレスチェックは、個人だけのためのものでなく組織の成長や生産性向上に欠かせない重要なツールです。みなさまが思う目指す職場像に近づけるよう、役立つ情報をわかりやすく発信していきます。

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