職場環境最優良法人2025
【回答者数30〜49人部門】
有限会社アールスリーインスティテュートさま
ドクタートラストのストレスチェックサービスでは、集団分析結果をもとに職場の雰囲気を数値化した独自指標「TRUSTY SCORE」(職場環境指数)を算出、上位法人を職場環境最優良法人として表彰しています。
今回は、2025年ストレスチェックにおいて、職場環境最優良法人(回答者数30~49人部門)を受賞した有限会社アールスリーインスティテュートの林宏樹さま(取締役・SIグループ事業責任者・バックオフィスグループ統括責任者)、古田麻理恵さま(バックオフィスグループメンバー)、池上緑さま(マーケティンググループマネージャー)に、リモートワーク中心の組織で心理的安全性の高い職場環境をどのように育んできたか、その取り組みと考え方について伺いました。
聞き手:横野凌(大阪支店 保健師)
対策ではなく、自然に日常化したメンタルヘルスケア
メンタルヘルス対策やコミュニケーションの活性化について、どのような取り組みをされているか教えていただけますか
林さま:
当社の場合、「対策」として頑張っているという感じではなくて、自然に日常化した状態で、結果としてメンタルヘルス対策になっているというのが率直な実感です。
経営層を起点に、ちょっとしたルール作りや日々の声がけといったところから話しやすい環境が生まれ、それがだんだんとメンバーにも広まっていく。各グループのマネージャーやリーダーたちも、そうした雰囲気をうまく引き継いでくれています。
守り面の取り組みという意味では、ストレスチェックや産業医の導入が挙げられます。一般的には50名以上で義務が生じるものですが、当社は30人台、40名に満たないくらいのタイミングから始めました。

法令義務がない段階から始められたのは、どのような理由からでしょうか
林さま:
理由は大きく二つあります。一つは、人数が増えてきて、経営層の私も含めて少しずつ目の届かない部分が出てきたと感じたことです。
現状を客観的に把握することの大切さを痛感していました。
もう一つは、IT業界はメンタルヘルスの問題が起きやすいとも言われていますので、万一に備えて産業医や外部相談窓口なども用意しておこうと。いざという時に頼れる先を用意しておくことで、皆が安心して仕事できればいいなとの想いです。
リモートワーク中心だからこそ、「声で話す」文化を
「話しやすい環境作り」は、リモートワーク中心の働き方とも関係していますか
林さま:
当社はリモートワークが8割ほどを占めており、全国、南は沖縄から北は長野までメンバーがいます。普段はSlackなどの文字でのやり取りが多いのですが、それだけだとコミュニケーションが薄くなりがちになるので、口頭でのコミュニケーションを積極的に推奨していますし、それを促す取り組みも行っています。
具体的には、ヘッドセットを常にパソコンにつけっぱなしにしておくことをルールにしています。
Slackで「今から行ける?」と打ってOKと返事が来たら、すぐ音声会話が始まる。
オフィスにいたら「ちょっといいですか?」という軽いあのノリを、リモートでも実現したかったのです。
文字だけのやりとりだとどうしてもスムーズにいかないことがあるし、微妙なニュアンスが伝わらない。気楽に声で話せる環境が大切だと考えています。
そういうことの発展として弊社では雑談も推奨しています。上記のコミュニケーションをより話しやすくすることにも寄与しますが、仕事におけるアイデアや改善は雑談から生まれることが多いことも知っているためです。
出社の機会はどのように活かされていますか
林さま:
会って話をするとまた一段と関係が深まるものです。ですので、何かきっかけがある度に大阪オフィスも東京オフィスも使ってもらえるよう、過ごしやすい環境を用意するとともに、交通費等がかかることを気にしないで済むような声かけをしています。
また重要な会議や節目のタイミングでは、なるべく多くのメンバーに出社をしてもらうようにしています。
当社のオフィスには、社外にも無償で貸し出しているオープンスペース「gusuku Ashibinaa OSAKA」があります。
このスペースを活用して、ケータリングを手配し、パーティーを開催することもあります。
節目ごとに出社の機会をつくることで、普段会えないメンバー同士が交流でき、また来たいなと思える場にしたいと考えています。
ちなみに出社については「週に〇日」のようなルールはあるのでしょうか?
古田さま:
フレックス制度を導入しているので、月のトータルの労働時間を満たすことと、みんなが一緒に動けるコアタイムを守ることはお願いしています。
ただそれ以外はかなり柔軟です。お子さんがいるご家庭だと、突然昼間に学校の用事が入ることもありますよね。そうしたときの中抜けも認めています。
制度は社員のためにあるものであるべきで、ガチガチにしてしまうと何のための制度かわからなくなる。みんなで守れる形にしようね、という意識を大切にしています。

かなり自由度が高い反面、組織としての一体感が薄れることはないのでしょうか
林さま:
むしろ逆じゃないでしょうか。ビジネスマンであると共に、個々人のプライベートも当然ある。プライベートがある程度充実するからこそ、仕事にも打ち込むことができる。そういった両方のバランスをうまく取ることのできる環境づくりはこれからも大切だと考えています。
全社会議で育まれる、「発言していい」文化
コミュニケーション面で他に特筆すべき点はありますか
林さま:
年に2回、全員が出社し、各グループの報告を同じ場で聞く全社会議を行っています。
こういった多人数が集まる場では一般的には若い人ほど最初はおとなしく聞く側に徹しがちですが、当社では若いメンバーや新人からも普通に質問や意見が出てくる。
背景にあるのは、ミスや失敗をしても個人を責めないカルチャーかなと思っています。こうしたカルチャーにしているのは、もし現場から意見が出てこなくなると経営としても大変困る。言わずに我慢して飲み込まれたら、どんどん不健全な方向に向かってしまいますから。
質問が出るということは、その人の意見が引き出されるという価値もあるし、「そこが伝わっていなかったのか」という発見にもなる。発言に対して真剣に向き合うことを心がけています。
池上さま:
最近入ったメンバーが全社会議に初めて参加した際、若いメンバーが率先して手を挙げて質問していることにとても驚いていました。それ自体が、当社のカルチャーをよく表していると感じます。
カルチャーの変遷――「挨拶もなかった職場」から「何でも言える職場」へ
このようなカルチャーは、どのように育まれてきたのでしょうか
池上さま:
私が入ったころは、会社としてもビジネスの過渡期にありました。今は男女比が半々くらいなのですが、当時正社員という意味では私が唯一の女性でした。
女性が働きやすい職場だったかというと、必ずしもそうとは言えない状況でしたし、IT事業でSI(System Integration)をやっていたこともあって、考え方が硬い面もありました。
その後、さまざまなバックグラウンドを持つ人が増えていく中で、「今のままではいけないよね」という気運が生まれ、制度の見直しや会社としての方向性の共有が少しずつ進んでいきました。今の形になったのは、そういった流れの中でのことです。
林さま:
特に池上が入る前と後では、だいぶ変わったと思います。ターニングポイントがあったとすると、会社のロゴを切り替えた2017年ごろです。
具体的な話をすると、昔は朝出社してきても誰も挨拶しない、という職場でした。黙ってパソコンを開けて黙々とスタートする、そんな雰囲気でした。それを見てとても驚いたということを、当時の社員が今でも笑い話として語り継いでいます。
「パワーバジェット」と性善説の組織運営
ユニークな制度を取り揃えていらっしゃる中でも「パワーバジェット」が特に印象的でした。社員の自律性を大切にした制度という印象ですが、どのような考えから生まれたのでしょうか
林さま:
パワーバジェットとは、個々の社員が自由に使える予算という制度です。リッツカールトンホテルで使われていることを本で知って感銘をうけ、それを応用しました。自分の生産性向上や外部での学習など、働くうえで役立てられるものに幅広く使えます。
その中の一つにグリーン車の利用があります。数千円を出すことで、出張後の翌日のパフォーマンスが確実に上がる。それだけの価値があります。IT系のリモートワーク企業ではディスプレイやパソコンの話はよく聞きますが、移動にまで目を向けているところはあまりないかもしれません。
マッサージ費用の補助も同様の発想です。体が資本ですから。オフィスで社員と話していると、腰が痛いとか肩が凝っているという声を結構耳にする。そういう話を聞くと、なんとか解決できないかと考えるようになりました。
使った内容は可視化されるので、他の社員の使い方を見て「自分も使ってみよう」という空気が生まれやすいのも利点です。
制度全般の根底にある考え方を教えていただけますか
林さま:
人を性悪説で見るやり方と、性善説で見るやり方では、制度もルールもまったく変わってきます。
性善説で見ると、制度も組織もどんどんいい方向に向かっていく。何か悪いことがあったからと性悪説で縛るルールにしてしまうと、どんどん使いにくくなる。制度作りをしていて、つくづくそう感じます。
会社が従業員を信頼しているからこそ制度が機能し、従業員もまた会社を信じるという相互関係があってこそ、いろんな仕組みが成り立つのだと考えています。
古田さま:
会社が社員のためを思っていろんな嬉しい環境を用意してくれています。私たち社員はその会社の想いに答えるべく、ルールを悪用するとかではなく、想いに沿った使い方をすることによって、私たち自身も幸せに感じられ、会社も発展していく、という好循環が生まれればなと思っています。
ストレスチェック集団分析の活用と、今後の展望
ストレスチェックの集団分析結果は、どのように活用されていますか
林さま:
チーム別に分析していただいているので、チームごとの傾向を継続的にウォッチしています。数値の変化を追っていくことが大切で、レポートを渡されるだけでなく、担当の横野さんが口頭で丁寧に解説してくださるので、疑問をその場でぶつけながら理解を深められるのがありがたいです。
また、結果は各グループのマネージャーにもシェアしています。平均より良い数値はよしとしつつ、悪い部分にも目を向ける。改善しようというカルチャーが根付いているからこそで、課題に気づいたら自ら動き始めようとしている様子が感じられます。
組織が成長を続ける中で、この姿勢をどう保っていくかが今後の課題でもあります。
今後の展望を教えてください。
古田さま:
会社が成長を続けているので、今後のストレスチェックの結果は楽しみでもあり、少し心配でもあります。
ただ「話しやすい」という文化は引き続き大切に守っていきたい。コミュニケーションがすべての土台で、入ってくる方へのフォローをしっかりしながら、人数が増えても良い職場環境を保っていけたらと考えています。
林さま:
部門横断でコミュニケーションやカルチャーを強化することで、さらなるシナジー創出につなげていきたいですね。
また、各メンバーの強みや特性を踏まえ、アサインと育成を一体で捉えながら取り組んでいきたいと思っています。
アールスリーインスティテュートさま、ありがとうございました!

有限会社アールスリーインスティテュート
2000年創業。kintoneやAWSなどのクラウドサービスを活用したシステム開発・業務改善を手がけるIT企業。大阪に本社を置きながら、リモートワーク中心の体制で全国のクライアントを支援する。kintoneのカスタマイズサービス「gusuku Customine」をはじめとする自社製品も展開。
公式サイト:https://www.r3it.com/