職場環境最優良法人2024
【回答者数50人以上100人以下部門】
いろは出版株式会社さま

ドクタートラストのストレスチェックサービスでは、集団分析結果をもとに、職場の雰囲気を数値化した独自指標「TRUSTY SCORE」(職場環境指数)を算出、上位法人を職場環境優良法人として表彰しています。
今回は、2024年度のストレスチェックで、職場環境優良法人(回答者数50人以上100人以下部門)2位を受賞したいろは出版株式会社の井上美穂子さま(経営企画室)、木村美都里さま(経営企画室)に組織内でのコミュニケーション活性化への取り組みについて伺いました。
聞き手:楠原綾香(大阪支店 保健師)

まっすぐな人が集まるものづくりの会社
いろは出版さまについて教えてください
井上さま:
社名に「出版」とありますが、雑貨の企画や制作、販売、似顔絵の制作、直営店舗の運営など多岐にわたる事業を展開している会社です。
「ものづくりの会社」というのが一番しっくりくる表現です。
社風についても教えていただけますか
井上さま:
弊社には、「人を想うクリエイティビティでみんながうれしい世界をつくる」というパーパスがあります。実際に、人を想うこと、ものをつくることに「まっすぐな人」が集まっていて、パーパスでつながっている実感を持てていることが、会社のあり方を支える土台になっています。
社員の年齢層は幅広く、20代後半から40代までの人たちが集まっていて、もちろん上下関係がある場面もありますが、とにかく、みんなよく話すんです。だから、私はいつも「学校みたいやな」って思っています(笑)。
木村さま:
社員同士も下の名前や呼び名で呼びあっていて、苗字に「さん」付けで呼ぶことはほとんどないですね。
その呼び方からも、距離の近さが感じられますし、「学校みたい」といった雰囲気はお二人の明るいお人柄からも伝わってきます。
こういった活発なコミュニケーションが、結果としてメンタルヘルスにも良い影響を与えているのでしょうか
井上さま:
そうですね、「メンタルヘルス対策をしている」という意識はなくて。
ただ、ものづくりをしていく上で、職場が楽しく、気持ち良く過ごせて、自分が成長できると感じられる場所であることは大事だと考えているので、日々のコミュニケーションはとても重視しています。
コミュニケーション活性化への取り組みについて教えてください
井上さま:
コミュニケーションへの取り組みの一つに、月に1回の全社朝礼があり、部署関係なく、全社員が食堂に集まります。
そこで、連絡事項だけでなく、各部署の「先月のハイライト」や「うれしかったこと」なども話すんです。うれしかったことは全社で喜び、成果や頑張りには拍手を送るなど、みんなで出来事をシェアする場になっています。


「会社を一個体にしていく」取り組み
全社朝礼はどういったきっかけで始められたのですか
井上さま:
一時期は事業ごとに力を入れて強化していこうという動きがありました。反面、どうしても部署間のコミュニケーションが取りづらくなっていたんです。
そういった状況では、代表が目指す「ものづくりの会社」のあり方を実現できないと考え、「もう一度、会社を一個体にしよう」という方向性が示され、先ほどお伝えしたパーパスを定めました。そのタイミングで全社朝礼も始まったかたちです。
全社朝礼で行っている、パーパスの唱和や少人数でうれしかった出来事を共有する「ハッピー&サンクス」などは、もともと似た取り組みはしていたのですが、社員が増えたときに全社で行うことは一度なくなっていたんです。それを復活させました。
全社を一つにする姿勢がさまざまな施策につながっているのですね
井上さま:
春と秋には社員総会もやっており、なるべく多くの人に登壇してもらって、自部署の成果や自身のことを話す機会をつくっています。
これはうちの特徴かもしれないのですが、他部署や関わる人たちへの感謝やパーパスの話が本当によく出ます。
「自分たちの結果は、他部署の協力のおかげだ」「パーパスを意識してこういう取り組みをやってみた」など、パーパスとのつながりをものすごく感じる発表をしてくれたり、気持ちのつまった話をしてくれる社員がいたりして、「今日は泣いたな……」みたいな総会が結構ありますね(笑)。
木村さま:
弊社は100人規模の会社ですが、アイデアを生み出すところからお客さまに届けるところまで自社で担っており、業務内容が多岐にわたるので、社員同士でも全然違う仕事をしていたりするんですよね。
だからこそ、全社朝礼や社員総会のように、自分の業務内容などを伝え合う機会をすごく大事にしています。
ほかにはどんな取り組みを行っていますか
井上さま:
社内にはパーパスをみんなに浸透させることを目的としたPVPというチームがあり、コミュニケーションにつながるいろいろな取り組みを企画してくれています。たとえばお手洗いに社員の誕生日が書かれたカレンダーをかけて、みんながメッセージを書き込めるようにしたり、誕生日を迎えた人にインタビューをしたりしていました。
全社朝礼の最初には「朝トーク」といって、学生時代の話や趣味の話など、お互いを知ることができるようなテーマを考えて少人数で話をしています。
また、社内でサークル活動も行っており、英会話やコーヒー、バスケットや山登りのサークルなど業務以外のコミュニケーションの場も多いんです。
信頼関係を支える「感謝を伝え合う文化」
全社朝礼や社員総会などのコミュニケーションの場を設けて、感謝を伝え合う取り組みはどうやって生まれたのですか
井上さま:
特に「感謝を伝えよう」という声かけから生まれたのではなく、パーパスでつながっている人が自然と集まって生まれたものです。
先ほど木村からあったように、業務はそれぞれ違うのですが、「自分が渡したバトンを受け取って、全力で走ってくれる人がいるからこそ叶うものがある」ということをみんなが理解しているので、「自分だけの成果だ」とはならないんですよ。全員が全力だからこそ、お互いに信頼し合えています。
そういった部分が会社の文化を醸成して「まっすぐ」な人が集まる理由につながっていると感じました。では、福利厚生についても教えてください
木村さま:
特別休暇として「ハッピージョイント休暇」という制度があります。
有給休暇は入社から半年経たないと取得できないのですが、その間に体調を崩してしまったときに使える休暇です。
あとは、出産立ち合い休暇などのちょっと変わった休暇もあります。ただ、かなり休暇は取りやすい環境なので、特別な制度がなくても普通に休めますし、周りも何も言いません。
お子さんのいらっしゃる社員も多いので、子どもの行事などでも気兼ねなく休めます。
ドクタートラストのストレスチェックについて印象を教えてください
井上さま:
もともと状態が悪かったわけではないのですが、会社から「一個体になっていこう」というメッセージが発信されて、取り組みもどんどん増えていく中で、職場環境が一段と良くなっていくのが数字として見えました。
経営側としては、社員のストレスが軽減できているか、働きやすいと思ってもらえているか外からではわかりにくいこともあるので、今回表彰していただけて本当にうれしいなと思っています。
取り組みの継続と「個性の尊重」
さいごに、今後の展望について教えてください
木村さま:
これまでお伝えした取り組みも「ストレスを軽減させるためにやるぞ」と思って始めたというより、自分たちが過ごしやすいように、会社がより良くなっていくようにと思ってやってきたことです。
それが結果的に社員のストレス軽減につながったことはとてもうれしく思っています。
これからも、良い状態を維持するために、全社朝礼をはじめとした取り組みを継続していきたいです。
会社、チームの中にはいろいろな人がいます。一つのものに向かって全員で取り組む大切さと、それぞれの個性を大事にしていく。これからは、その両立ができるような取り組みをしていければと思っています。
井上さま:
業務外のコミュニケーションの機会が多くても、携わっている業務が違うと、相手がどんな仕事をしているのか知らないことも多くなってしまいます。
専門領域が違うので仕方ないですが、お互いに関心をもつことで「あの仕事どうなったの?」と声をかけることができますよね。こういう何気ない会話から、お互いに元気をもらえたり、幸せを感じたり、個人の働きやすさにつながっていくと思います。
だからこそ、お互いの業務や頑張っていることをシェアする場を、これからも会社として作っていきたいですね。
いろは出版さま、ありがとうございました!


いろは出版株式会社
人を想うことから始まり、“もの”としてつくり育て、実際にお客さまに届くまでのリレーを、企画、デザイン、生産、プロモーション、販売、物流までを自社一貫体制で行なっている京都市の会社。
公式サイト:https://hello-iroha.com/