職場環境最優良法人2024
【回答者数50人以上100人以下部門】
GCストーリー株式会社さま

ドクタートラストのストレスチェックサービスでは、集団分析結果をもとに、職場の雰囲気を数値化した独自指標「TRUSTY SCORE」(職場環境指数)を算出、上位法人を職場環境優良法人として表彰しています。
今回は、2024年度ストレスチェックにおいて、職場環境優良法人(回答者数50人以上100人以下部門)4年連続1位の栄冠に輝いたGCストーリー株式会社の萩原典子さま(Chief Happiness Officer)に心理的安全性を担保する新たなプログラムについて、櫻庭実咲さま(事業推進部)に、新卒採用でのお取り組みやご自身の体験などを伺いました。
※2023年度の記事はこちら
聞き手:根本裕美子(ストレスチェック研究所 保健師)
心理的安全性向上プログラムのアップデート:内省・傾聴・対話の3段階育成システム
GCストーリーさんには、これまで3年連続でお話を伺ってきました。最近のコミュニケーション面での新しい取り組みについて教えていただけますか
櫻庭さま:
当社には、深い内省およびコミュニケーションのサポートを目的とした「シフター制度」があります。「シフター」はGCストーリーの造語です。一般的に、アドバイスや成長支援を行う「メンター」が浸透していますが、GCストーリーでは意識をシフトさせ、意識変容を促すなど、本質的な成長をサポートする位置づけで「シフター」と呼んでいます。
しかし、社内に「シフター」になりうる人材が数名しかいなかったため、育成を明確化する取り組みとして、既存の「内省プログラム」をアップデートした3本立ての新たなプログラムを今年からスタートしました。具体的には、「内省」を深め、「傾聴」ができるようになった上で、「対話」ができるようになるための最短3年間のプログラムです。

このプログラムは御社オリジナルのものなのでしょうか
櫻庭さま:
そうです。萩原が開発しました。
萩原さま:
内省とは、自分を深く理解し、自己認知を高めることです。
これは、一人ひとりが組織のミッション、ビジョン、バリューを達成できるよう成長するための、あくまで手段だと考えています。
内省ができないと他者の話を聞くこと、つまり傾聴はできません。また、人の話を聴けないと、心理的安全性は築けませんし、他者の成長支援もできません。そのため、内省、傾聴、そして対話という流れになっています。
このプログラムが御社の心理的安全性の根幹になってくるのでしょうか
萩原さま:
もちろん、これだけではありませんが、コアの一つにはなっています。
社員の実感としてはどうだろう?
櫻庭さま:
内定者研修の段階でも対話をするので、そのときから心理的安全性を醸成してもらっていると感じていました。
また、仕事を進めていく中で、先輩とのコミュニケーションや、お客さまからお叱りを受けたこと、少しモヤモヤしたことを内省プログラムの中で共有し合ったり、皆と一緒に深めていったりする中で、俯瞰的に自分を見られるようになっていく経験は非常に大きかったです。
入社1~2年目の頃は、月に1回ペースでこうした取り組みを行ってきました。言いにくいようなことを口にしても皆が受け止めてくれる感覚や、他の人も同じように感じていると知ることで、より自分の本音を言いやすくなりました。
萩原さま:
当社の業務の一つである「施工管理」は、非常にストレス負荷の大きな業務です。そのような中で、職場の雰囲気が良い、職場環境指数が高いとされているのは、時間をかけて、一人ひとりが自分に向き合い、他者の支援も手厚く行っていることが大きいかもしれません。

自身の成長と採用への影響
櫻庭さんは新卒で入社されて、いま7年目ということですが、ご自身の成長を感じていますか
櫻庭さま:
入社当初の私は、スキル面でもマインド面でもご迷惑をおかけしていましたが、周りの方が諦めずに向き合ってくださり、ここまで来られました。
距離が近い先輩が話を聴いてくださるのはもちろん、違う部署の先輩であっても、話を聴いてくれたり、気にかけてくれたりしました。
「最近どうなの?」「日報読んでるよ」など、パーソナルスペースに入り込みすぎないものの、気にかけてくれていることをサインとして受け取れたことは大きかったです。
現在は採用の立場にいらっしゃいますが、その視点からはいかがでしょうか
櫻庭さま:
社員は一定レベルの対話スキルを持っているので、面接の場では学生さんから「他の会社さんと全然違う」という声を耳にします。
「ありのまま話せる」とか、ここまで言っていいのかなと思える部分、それこそプライベートや自分の弱い面も話せると学生の皆さんは言ってくださるのです。
内定者研修でも、しっかり対話を重ね、入社式では自分の一番大切な経験や想い(パーソナルミッション)を発表し、それを受け取ってもらうので、少しずつ「この会社でありのままの自分を出していい」という安心感は作れているのではないでしょうか。

採用プロセスにおける企業文化と候補者の幸福を重視する姿勢
萩原さま:
新卒採用のプロジェクトは、その時々の採用担当がブラッシュアップしてきていますが、他社さんと明確に違うのが、「採るか採らないか」のジャッジをする気持ちで採用していないという点です。採用面接を受けに来てくれた人たちに対して感謝の心を持ち、一緒に成長するにはどういう話をすればいいんだろうと向き合い、結果、GCストーリーに入ってきてくれるような文化は、新卒採用を立ち上げた当初から変わっていません。
また、この文化について、「こうするように」と指示していない中で、彼女(櫻庭さま)が受け継いでくれているのは、やはり当社の強みだと思いますし、何よりも入口のところで心理的安全性の土台ができているところに大きく影響しているのかなと思います。
社風の基盤が本当にしっかりしているのですね
萩原さま:
私は学生たちと最終面接でお会いするのですが、その際に見ているのは、「その子にとって一番幸せなのは何か」だけです。
時には「GCストーリーに入ったら辛いかもしれないから覚悟を決めてほしい」と伝えることもあります。
必ずしも御社に入ることが幸せとは限らないということでしょうか
萩原さま:
非常に頑丈な心の鎧を身に着けていて脱ぎたくないような人や、表現としては当社のエゴかもしれませんが、嘘の自分で生きていきたいと思っている人は、GCストーリーに入ると、少ししんどいかもしれません。

対話を通じた健全な職場環境の構築
櫻庭さま:
私の体験談で言いますと、難易度の高い業務に取り組んだ際、「できない自分を受け入れられない」といったことがありました。
GCストーリーが大好きで入ったのに、先輩たちがこんなに良くしてくれているのに、自分は何の貢献もできていないと、できない自分を責め続けていました。そのうち、フィードバックを自己否定と受け取って涙が出てくるような状態に陥ってしまったのです。
そこで萩原に1on1ミーティングをしてもらうことで、何が事実でどこからが私の解釈なのかに気づくことができ、内省の材料にすることができました。
先ほどおっしゃった、「内省」そのものですね
萩原さま:
できなくても、できるふうに見せるとか、できなくて本当は苦しいけれど、誰にも言わずに頑張る、我慢するのが一般の会社ですよね。
彼女の場合は、自分に向き合い、ありのままの心で泣いている。
もちろん本人はしんどいですが、それにちゃんと目を向けるのは本当に重要なことです。
GCストーリーの場合は、苦しいけれど、その苦しみと正面から向き合っている。だからそのうち抜けられるのです。
櫻庭さま:
GCストーリーは素の状態でいる人が非常に多いと思います。
もちろん仕事なので、丁寧な言葉遣いをしたり、仕事の考え方をしたりというのはありますが、他の会社さんに比べて「鎧」がかなり薄いのです。
このように素の状態で皆がいられるのは、自分の心をちゃんと見る、向き合う習慣が身についている、本音で対話をしたいという気持ちがあるからなのかなと思っています。
「素でいられる」というのは、会社組織ではなかなか珍しいことだと思います
萩原さま:
GCストーリーは、話すことが普通なのです。
しんどい時に話を聞いてもらった方が楽になることを、皆が経験しているから、「少ししんどいので話を聞いてください」ということは普通に起こりますし、逆に、誰かがモヤモヤしてそうだったら「最近どう?」といった声かけが自然に行われています。

ストレスチェックの活用と今後の展開
このような風土醸成の中でストレスチェックは現在、どのように活用されていますか
櫻庭さま:
いただいた分析結果をさらにこちらで分析して、各事業部長に全てフィードバックし、対話を重ねています。
そして事業部ごとに対策を打っています。
時には、萩原に組織作りのワークショップを1日かけてやってほしいというオファーをくれたりするなど、相互にフォローし合いながら進めています。
ここでも対話をしながら進めていくのですね
櫻庭さま:
組織の状態は、GCストーリーが開発し、サービスとして提供している「360度組織サーベイ」を半年に1回実施し、把握しています。
ここにストレスチェックを組み合わせて、答え合わせをしているような感じでしょうか。
精神発達の状態などは360度組織サーベイで見ることができますが、実際に仕事がきついと思っているかどうかや、仕事の質などはストレスチェックの方が分かりやすいので、両方を活かしています。
ありがとうございます。現時点で考えておられる、今後の展開などはございますか
萩原さま:
今回アップデートした、内省・傾聴・対話のプログラムを運用するのが、一旦のメインになると思います。
また、これから組織がホールディングス体制(分社化)に移行していく予定です。
そうしますと、会社ごとに必要なことも変わってきたり、状況やフェーズが変わってきたりすることもあると思うので、ヒアリングしながら、人事としての施策を検討していく見込みです。
GCストーリーさま、ありがとうございました!


GCストーリー株式会社
ビジョン「収益・事業の発展と、幸せな組織づくりを同時に実現することで、世界のモデルになる」を掲げ、看板広告をメインに、お客様の課題を解決するプロジェクトマネジメント、施工管理の知見を活かし、2015年から再生可能エネルギーに関わる事業を開始し、従業員も含めステークホルダー全体を幸せにする事業を展開している。
社員の自律を目的にマネージャー制度の撤廃など、特徴的な組織文化を持ち、他社の組織支援を実施する組織デザイン事業も現在拡大中。
公式サイト:https://gc-story.com/

ココシフ
ココシフとは、GCストーリーの組織デザイン事業部が提供する「自律共創型組織へのアップデートをサポートする組織変革プログラム」です。
ココシフに関する詳細は、下記の公式Webサイトをご参照ください。
公式サイト:https://kokoshift.jp/
写真提供:GCストーリー株式会社さま