職場環境最優良法人2024
【回答者数50人未満部門】
株式会社ベストパートナーさま

ドクタートラストのストレスチェックサービスでは、集団分析結果をもとに職場の雰囲気を数値化した独自指標「TRUSTY SCORE」(職場環境指数)を算出、上位法人を職場環境優良法人として表彰しています。
今回は、2024年度ストレスチェックにおいて、職場環境優良法人(回答者数50人未満部門)3位を受賞した株式会社ベストパートナーの門和宏さま(代表取締役)、湯庭加與子さま(総務ご担当)に、企業風土や職場環境改善についてお話を伺いました。
聞き手:冨田さゆり(大阪支店 支店長)

地域に開かれたブックラウンジ併設の保険代理店
ベストパートナーさまの社風を教えてください
湯庭さま:
弊社は保険の代理店なのですが、店舗の前半分がブックラウンジ、後半分が事務所になっているんです。
事務所内やブックラウンジのデスクは木製のオーダーメイドで、スタッフもブックラウンジへドリンクを飲みに行ったり、お客さまとの商談で利用したりと広々とした良い環境で働けます。
門さま:
ブックラウンジ単体での営業もしていますが、単なる保険代理店の別事業というよりは「保険代理店がブックラウンジをやったらどうなるか」というコンセプトで運営しています。
狙いとしてはブランディング。あとは、お客さまに気軽に来店してもらうための動機づけです。
保険業界って、店舗に気軽に足を運ぶ機会が少ないじゃないですか。そこを覆したいという思いで、約半年ほど前から実験的に行っています。
業界の常識を変えていく
ベストパートナーさま独自の特徴にはどのようなものがありますか?
門さま:
これまでの保険代理店業界では、「どうやって保険をうまく売るか」という技術ばかりが重視されていて、それによって業界全体のイメージが悪くなったり、さまざまな問題が起きたりしているんです。
私は、この業界で当たり前になってしまっている、こうしたお金に縛られた考え方をひっくり返したいという思いがありました。
たとえば、採用の場面で、「この仕事で成功すればめちゃくちゃ儲かりますよ」と言ってもお金に縛られた人材しか集まらないんですよ。
でも、企業が持続的に成長していくためには採用が欠かせません。そこで、まずは社風を変えていく必要があると考えました。私たちで言うところの、ビジョンと理念の見直しから取り組んだんです。
スタッフの満足から始まる好循環
ベストパートナーさまのビジョンと理念について教えてください
門さま:
弊社には「最も働きたい会社になる」というビジョンと、「愛する地域、お客さま、働く仲間にとってのベストパートナーになる」という経営理念があります。ここには「売上No.1を目指す」という類の言葉はありません。
「地域で最も働きたい会社になるにはどうしたらいいか」を常に考えているので、徹底的に職場環境の改善に取り組んでいます。
さらに、単なる制度面だけではなく、おしゃれな内装や、働いている自分に誇りが持てる環境、人から羨ましがられる職場など、「働きたい会社」づくりを追求していきました。そうした取り組みの積み重ねが、今の職場環境につながっています。
経営理念で、働く仲間にとってもベストパートナーであることを掲げているので、お客さまファーストでただひたすらに売り上げを追い求める業界の一般的な価値観とは相反する理念を持っています。
つまり、スタッフも経営者側のお客さまのひとりなのです。
経営者が、この地域とお客さまとスタッフの満足度を追求することを経営理念で縛っています。これは一種の呪いみたいなものです。
呪いですか(笑)
門さま:
経営者が単にお金を追いかけると、スタッフは疲弊してしまいます。そうなると、売上が伸びてもスタッフのエンゲージメントは下がり、ストレスチェックの結果も悪化して「最も働きたい会社」ではなくなってしまうじゃないですか。
なので、経営者はまずスタッフの満足度を高めなければいけません。
そして、スタッフにはお客さまの満足度を高めてもらい、お客さまには地域に弊社の良さを発信していただくという好循環が良好なストレスチェック結果につながっていると思います。
民間企業から子育て世代を応援
福利厚生についても教えてください
湯庭さま:
制服の支給やフィットネスジムの無料利用、さらには社内にも運動器具を用意していて、休憩時間に気軽に使える環境です。
最近ではベビーサポートも新設しました。おむつやミルクを提供しており、スタッフが自由に持ち帰れるようにしています。
門さま:
明石市で行われている「おむつ定期便※1」を参考に、弊社でもベビーサポートを2024年6月からスタートしました。
2025年4月までの間に使用されたおむつは84袋、お尻拭きは40セット、粉ミルクは10缶、固形ミルクは12缶にのぼっています。スタッフがメーカーやサイズを選べるようにし、事務所に常備しています。
※1:0歳児を持つ家庭に紙おむつや粉ミルクを無料提供し、育児相談も行う施策。
お子さまを持つ方への支援が手厚いですね
門さま:
ちょうど産休に入るスタッフがいたタイミングでこの施策を始めました。産休中にも事務所に気軽に来られる環境を作ることが狙いです。
産休で1年以上休むと職場の人間と疎遠になって復職しづらくなることがあるじゃないですか。
無料のおむつやミルクを事務所に取りに来ることで自然に会話が生まれ、産休明けの気まずさを和らげて復職しやすくなります。
このような施策を通じて、子育て世代を大事にするメッセージを民間企業から発信していく必要があると考えています。

コミュニケーション活性化やメンタルヘルス対策について教えてください
湯庭さま:
毎年バーベキューなどのイベントを開催し、社員旅行もできる限り毎年実施しています。
上司と部下の垣根を越えてコミュニケーションをとれる良い場になっています。
門さま:
観光バスで温泉旅館に行き、大広間で宴会し、ゲームの景品を用意するという昔ながらの社員旅行です。
いわゆる昭和のコミュニケーションなのかもしれませんが、若いスタッフにも大変喜ばれています。
また、弊社には役職という肩書がなく、「課長」や「社長」といった呼び方はありません。
「ステージ」と呼ばれる役割が分かれていて、それぞれのステージの業務を行います。だから、僕も社長とは呼ばれないんですよ。「門さん、門さん」です(笑)
湯庭さま:
メンタルヘルス対策として、スタッフの不調に早く気づけるよう、私自身がメンタルヘルス・マネジメント検定やメンタルヘルスアドバイザーの資格を取得しました。
また、健康診断の再検査受診率は100%で、受診勧奨にも力を入れています。

「ステラ」がスタッフと企業の成長を促す
ベストパートナーさまは50人未満で、必ずしも実施義務がないなかでストレスチェックを実施された理由を教えてください
湯庭さま:
健康経営優良法人の取得を目指したことがきっかけです。加えて、メンタルヘルス不調者を出さないために面談や声掛けの参考にしたいという思いもありました。
ドクタートラストのストレスチェックの印象を教えてください
湯庭さま:
他社サービスと比較して価格が手頃で、集団分析が細かくわかりやすかったため利用しています。
あと、代表が気に入っているのが「STELLA(ステラ)※2」です。
門さま:
働きやすさは経営にとって危険でもあります。
働きやすいだけで会社に居続けると成長やチャレンジがなくなってしまう。スタッフの成長なくして会社の成長はありません。
だから「STELLA」のような、前向きで周囲に良い影響を与えられる人材が出てくることが重要だと考えています。
ストレスチェックの結果だけで会社の状態を測るのは危険で、多少のストレスはあっても成長ややりがいが必要です。
※2:ストレス状態が低く、周囲に良い影響を与えながら自らもいきいきと働くことができている理想的な人材。
コアバリューで企業文化を育む
ベストパートナーさまの企業文化を醸成するうえで、大切にしている価値観や取り組みはありますか?
湯庭さま:
弊社では「コアバリュー」という、社員一人ひとりの良いところを発見して表彰する取り組みを行っています。
門さま:
コアバリューは10項目あり、それぞれに当てはまる行動をしたスタッフにコメントを入れて投稿します。
年間で最も多く投稿された人が「ベストパートナーアワード」で表彰され、その中で最も称賛されるのがこのコアバリューなんです。
コアバリューは弊社で大切にしている価値観なので、表彰を通じて社風や企業文化の醸成につながっています。


コアバリューの表彰が一番すごいんですね!
門さま:
一番に表彰されるのがベストパートナーの社風を体現した人。そして、その次に売上の一位を表彰します。「とにかく売上が一番」という考えは弊社にはありません。
そのため、営業が売上によって業績給をもらう制度はなく、社内全体の売り上げが一定のフェーズを達成したときに、全社員に同額のインセンティブを支払っています。これは、全員で「ベストパートナーのファンを増やす」ことを念頭に置いているためです。
社内のモチベーションアップにつながりますね
門さま:
弊社にはコアバリューを認め合い、互いに承認し合っていく考えが根底にあり、社員同士が助け合う文化があります。
ストレスチェックにおけるエンゲージメントの値が高かったのも、コアバリューのおかげだと思います。
今後の展望について教えてください
湯庭さま:
社員旅行を毎年実施することがまず一つあります。
また、2025年4月からボランティア活動手当や資格取得手当、子供手当を新設しました。これらも含めた子育て支援がより手厚くなり、ボランティア活動も社会貢献やコミュニケーションの機会にもなると期待しています。
ベストパートナーさま、ありがとうございました!


株式会社ベストーパートナー
1998年創業。和歌山県新宮市の保険代理店。リスクコンサルティングや事故対応などに加え、SOHOブックラウンジなどの運営も行う。
健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)認定。
公式サイト:https://bp-co.jp/