職場環境最優良法人2024
【回答者数101人以上500人以下部門】
株式会社プレシャスパートナーズさま

新規ではなく「既存施策の深化」で離職を防ぐ
3年連続の職場環境優良法人受賞おめでとうございます。一昨年は社内コミュニケーション活性化に向けた施策について、昨年はその後の変化などについて伺いました。
ここ1年で人事部として始めたことなどはありますか
中川さま:
新たに何か大きな取り組みを始めたというよりも、今までの施策のブラッシュアップや振り返りを主に行っています。特に当社は積極的に採用を行っており、今期は中途で60名弱、新卒で15~20人ぐらいの採用を年間で予定しています。
そのなかで人事部として力を入れているのが「離職者を出さないこと」です。具体的には、社内の「業務改善チーム」と人事の連携をより深め、現場の声をキャッチアップしていくことが挙げられます。
また、これまでにもサーベイ(※)の結果を踏まえた面談などを実施してきましたが、サーベイでわかる心理状況だけではなく、たとえばコンサルタントであれば営業成績など、会社のありとあらゆるデータを集約し、本人たちが自ら発信する心理的な内容以外の部分でもSOSがキャッチできるようにしていくのが大きな取り組みといえます。
※サーベイ:毎週簡単なアンケートを実施して、従業員の満足度や心の健康度を把握するもの

「業務改善チーム」との連携強化と人事の役割
お話いただいた2点のうち、一つ目の「業務改善チームと人事の連携」についてはどのように進めているのでしょうか
中川さま:
現在の業務改善チームは、エンゲージメント向上に取り組むチームと、業務効率・生産性向上に取り組むチームに分かれています。
このうち後者の生産性向上チームでは、業務工数削減に直結する部分の改善を進めています。具体的には「これは手動でやっているのに、あっちはシステムでやっている」など業務上の煩雑な部分や、現場で困っていることを課題として抽出してもらい、会社としてどう取り組んでいけるかを検討しています。エクセルで対応している作業をシステムで一本化するとか、個々がバラバラに保管してしまっているファイルを一つにまとめるとか、本当に小さなことも含めて生産性が向上するように取り組んでいるのです。
一方のエンゲージメント向上のチームに関しては、昨年ご紹介した「サンクス制度」やイベントの企画などを実施しています。
生産性向上チームにしても、エンゲージメント向上のチームにしても、その取り組みを会社の課題、施策に落とし込んで運用しているのが人事という構造でしょうか
中川さま:
そうですね。これまでは業務改善チームが課題を抽出したとしても、どこまで会社として改善に着手できるか不透明なところがありました。今お伝えしたシステムの一本化についても、人事部が業務として関与することで会社の課題、プロジェクトとして動くことができるのです。
エンゲージメント向上のチームも、細かい面ですが「社内イベントで備品って使っていいのだろうか?」など判断が難しい場面があります。こうしたときに、私達人事部は経営に近い立場から運営のサポートができるので、チームメンバーが「どこまでやっていいんだろうか、できるんだろうか」と迷ったとき、実現に向かって伴走しています。
実現のための支援を行っているのですね。これら業務改善チームの施策も最初にお話した離職防止に関連しているのでしょうか
中川さま:
エンゲージメント向上チームが取り組んでいる、職場の仲間とのコミュニケーション施策は「人間関係をより良くして楽しく働くこと」につながるため、離職防止にも影響があると思っています。
もう一つの生産性向上のチームは「楽しく働くこと」に直結するわけではありませんが、業務上の課題を改善することでストレスや業務量が減少し、自分の時間が増えることになります。
繁忙によって一時的に残業が増えることは仕方がない部分もありますが、日々の雑務などは減らしていくことで仕事のモチベーションや健康にも好影響を及ぼすのではないでしょうか。

データに基づき、声なきSOSをキャッチする
ありがとうございます。もう一つ、面談ではこれまでのサーベイの結果に加えて、業務プロセスなども確認するようになったと仰っていた点についても詳しく教えてください
中川さま:
営業成績などは、人事評価や配置転換のタイミングでは割と見てはいたものの、KPIの遅れや未達までは把握できていませんでした。
ただ、サーベイ上でネガティブな結果が出てこなくても、自分一人で悩みを抱え込んでいる社員がいることもわかってきたことから、これまでのやり方だけでは不十分と考え、今後はありとあらゆるデータを確認し、今までとは異なる角度から社員の声をキャッチアップして行ければと思います。
本人と向き合う中で、部署異動など環境を変えることでできることがあればと思い、取り組んでいます。
以前から社員一人ひとりを気にかけていらっしゃいましたが、より一層手厚くサポートされるようになったのですね
中川さま:
「会社は好きだけど今の仕事で成果が出せなくて気まずい、会社に対して申し訳ないから辞めたい」といった社員にも、その子が活躍できる環境がないかと手を尽くしているのです。

「継続」が生んだ変化と今後の展望
若い方ですと成長可能性を多分に秘めていますし、サポートした結果、定着してくれて、会社の核になってくれる存在になれば本当に大きな財産ですよね。
また、従業員数が増加しているのに対して、高ストレス者率自体は少なくなっている傾向が見られます。一般に規模が大きくなるほど、対応に難しさを感じる企業が多い印象があるので意外です
中川さま:
社員が増えるタイミングは社内風土の転換期になりやすいといいますか、人数が増えることにより意見の相違、齟齬が出てきたり、問題が大きくなりやすかったりしますので気にかけるようにしています。
ただ、大切なのは「人が増えるから新しい施策をやろう」ではなく、「継続」です。会社が大きくなっていく中で人事の本質の仕事は、人を入れる「入口の施策」ではなくて、社内にいる人たちが「生き生き働けるようにする」「働きがいがある環境を用意する」であると思って動いています。
人事部の役割についても教示いただきありがとうございます。お話しにもありました今回のストレスチェックについて、ご感想などはございますか
中川さま:
会社規模が大きくなるなど環境が変化していくなかでも、高ストレス者が少ない数値をキープできているのは嬉しい点です。
もう一点、集団分析の結果を見ると「業務の量」が引き続き課題になっているものの、部署によっては改善が見られているのも大きな発見でした。どうしても若い社員の場合は、経験が浅く、一つひとつの仕事に時間がかかってしまうことから「業務量が多い」と感じてしまう面もあるのかなと思っています。ですので、このあたりも、業務改善チームと連携して動いていこうというところです。
このほかに健康面などでも新たな施策を始めたそうですね
中川さま:
これは関東エリア限定で6月に始めたばかりなのですが、大手フィットネスクラブと法人契約をしました。
というのも、ジムに通っている社員が実は結構いるという情報がありまして。どうしても当社の仕事はデスクワークがメインで動く機会も少ないし、若手の社員にとってもフィットネスクラブの会費も決して安くはありません。法人契約をすることで1回あたりの利用料金が安くなるので、健康経営の観点からも導入してみました。
最後に今後の展望を教えてください
中川さま:
定例の面談やサーベイを2年ぐらい続けてきたなかで、上司の人たちにも浸透してきたかな、という手ごたえを感じています。初期の頃は、急に人事面談が入ると「これ、何なの?先に教えてほしかった」といった具合に、上司としては人事が現場に介入することに敏感になっていました。それが少しずつ人事部も社員の課題、悩みに向き合っていることが社内にも理解されているように思います。
「ちょっと困ったことがあったらこの人に相談したらいい」ということも根付いてきましたので、コミュニケーションの部分で連携しやすくなったのも変化としてはすごく大きいです。
人に関わる仕事をしていくなかでは、誰かの力を借りないとできないことが多いので、現場の上司や、プロジェクトチームで動いている方の理解などを受けながら、何かあったときになるべく早めにキャッチアップしていくことを引き続き大切にしたいです。
プレシャスパートナーズさま、ありがとうございました!


株式会社プレシャスパートナーズ
2008年創業。総合人財サービス企業として、人と企業が互いに誇れる社会を目指し、常に新たな事業・サービスを展開している。